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宇宙と生命の起源(岩波ジュニア新書) [本(生物学]

『宇宙と生命の起源』
嶺重慎(天体物理学者)
岩波ジュニア新書(2004)


ビッグバンから人類誕生までを語る。
著者複数でまとまり悪い。

生命のタンパク質はL体のみ。
宇宙からのアミノ酸はL体が多い。
地球外有機物が地球生命誕生に必要だったのである。

進化の後で獲得されたものほど早く退化しやすい。
古いものほど退化しにくいという。

脳の記憶喪失でも子ども時代の記憶は消えにくく、
大人になってからの記憶が先に失われる。
進化と記憶、すなわち遺伝子と脳に類似点があるのが面白い。

『ゲノム進化の読解法』
岸野洋久(生命科学)
岩波科学ライブラリー(2006)


進化や遺伝のメカニズムがわかる。

進化のメカニズム。
遺伝子重複により余った遺伝子が機能的な制約が解かれ、
自由に変異するようになる。
たまに運良く新しい機能ができるが、
ほとんどは遺伝子として機能しなくなり偽遺伝子となる。
遺伝子重複後に、
ラッキーな遺伝子が新しい機能を獲得する時間は300-700万年らしい。

『心とことばの起源を探る』
マイケル・トマセロ(心理学、進化人類学)
勁草書房(2006)


言語習得の文化側面を知る。

18-35ヶ月児に物を手渡すように求める。
名前を言って求めるとほぼ成功し、その名前の物を手渡してくれる。
ところが、おもちゃの模造品、プラスチックのハンマーなどを見せて、
ハンマーを求めると月齢の少ない子どもは失敗してしまう。
見た目がそっくりで簡単そうなのにできないのである。

それは物体をアフォーダンスとして捉えているからだ。
ハンマーを用途として認識すると、
プラスチックのハンマーは
ハンマーとして使うには軽すぎるので別の物と見なされる。
形よりも用途としての物の分類が先に発達するのである。

言語の得意な子どもはふり遊びをよくする。
言語と子どものふり遊びには関係あるのではないかという。

これは簡単で、
言語の発達はワーキングメモリの発達を促すからである。
言語は世界を分節し、記憶への負荷を弱くするので、
同時保存しやすくなり、ワーキングメモリが大きく使えるのである。
すると、ふり遊びに必要な、
実際と仮定の二重処理ができるようになるのだ。

『ネアンデルタール人の正体』
赤沢威(人類学者)
朝日選書(2005)


複数の著者が自分の専門を語りまとまり悪い。

ネアンデルタール人は一年を通じて同じ遺跡に居住していた。
現代人は季節的に移動していたという。

60種の石器を用途で分類すると2種類しかなかった。
槍先と切ったり削ったりする道具のみであるという。
ネアンデルタール人の知恵の限界を示すものだ。

・今日の一言
新しいものほど失われやすい。
Newer things are easy to lost.
보다 새로운 것이야말로 없어지기 쉽다.
越新的越容易失去。

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赤ちゃんは世界をどう見ているのか(平凡社新書) [本(生物学]

『赤ちゃんは世界をどう見ているのか』
山口真美(認知科学者)
平凡社新書(2006)


乳児の視覚世界を知る。

レンズの焦点は大人に合わせられているため
赤ちゃんには合っていない。
小さな眼球が外の刺激に合わせて成長する。

近視の人は眼球が大きすぎる、
過剰成長ということか?
言われてみれば、近眼の人は目が大きい気がする。

『ロボット化する子どもたち』
渡部信一(障害児心理学、認知科学、教育学)
大修館書店(2005)


ロボットと自閉症児の学習について。
まとまりがない。

自閉症児とコンピュータのフレーム問題の類似。
ネギを切ってうどんに入れるのに30分かかったのだが、
それがフレーム問題に悩むコンピュータに似ているのだ。

『無限の話』
ジョン・D.バロウ(数理物理学、天体物理学)
青土社(2006)


哲学、数学、神学、天文学の無限の話。

インフレーション宇宙では、光の地平線の外である、
宇宙の見える範囲の外はまったく違っているそうだ。
初耳。


『量子力学とはなんだろう』
長岡洋介(物理学者)
岩波ジュニア新書(2003)


良書。化学から量子力学までわかる。

金属の電流は
電子波の伝播としてはじめて理解できる。
量子力学が、
化学の構造までを説明して見せて面白い。


『MIND HACKS』
Tom stafford(コンピュータ認知神経科学者)
オライリー・ジャパン(2005)


ウェブとして連携して楽しむ錯覚と実験。

ホワイトクリスマスが隠されているという
ホワイトノイズ。
これを聞かされた人の三分の一が
歌が聞こえたという。
しかし、実際は何もないのである。
すなわち、
自分の聞きたいものを聞いてしまうのだ。

Blankeの実験
視点が三人称になる患者の頭頂側頭接合部を刺激する。
自分が天上近くを漂い手術室を見下ろしていると感じたという。
幽体離脱体験は脳に仕組みがあるのだ。

『記憶と情動の脳科学』
ジェームズ・L・マッガウ(脳科学)
講談社ブルーバックス(2006)


記憶の実験集。

ラットのT字路訓練
T字の左右どちらかに餌をおき、Tの下の部分にラットを入れる。
入れる前には餌が見えている。
すると、当然、餌を取りに行く。
7日繰り返した後に餌なしにすると餌のあった位置へ向かうが、
15日繰り返した後に餌なしにすると餌のあった方向へと曲がる。

最初は位置を覚えており、後は運動する方向を覚えているのだ。
そして、位置を覚えるのは海馬で、方向を覚えるのは尾状核だという。

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ネアンデルタール人類のなぞ(岩波ジュニア新書) [本(生物学]

『ネアンデルタール人類のなぞ/奈良貴史/岩波ジュニア新書/2003』
著者:古人類学、史学
評価:ネアンデルタールが詳しくわかる良書

ケニアの東ツルカナで3種の人類が共存していた。
まっすぐ人類へと一列の進化ではなく、
さまざまな異なる人類がいたのである。
現代人類も、3万年ぐらい前は、
ネアンデルタール人やジャワのフローレス原人がいた。
人類という種の一人勝ちは地球史のごく最近の現象だ。

シャニダールの片目片足の遺体。
あるいは東ツルカナ遺跡でビタミンA過剰症の遺体。
これらは介護の可能性を示すという。
人間は助け合う生き物なのだ。

現在も、女性はお産で年間60万人死亡する。
女性にとって出産は、本来危険なものなのである。

エドワード・S・ディーヴィの人口推定
30万年前のホモ・エレクトスは100万人
2万5千年前の現代人は334万人
ネアンデルタールは最盛期でも30万人
思ったより多いな。

『オランウータンの不思議社会/鈴木晃/岩波ジュニア新書/2003』
著者:霊長類研究
評価:オランウータンの生態と今の環境を知る良書

主食はドリアン、それに若葉や樹皮を食べる。
あの、ドリアンが主食!!!

オランウータンの雨傘行動、
大きな葉っぱをもぎ、茎を持って傘にするのである。

妊娠しているときに生姜の茎や果実よく食べるのは、
薬草として食べているかもしれないらしい。

メスの行動域は大幅に重複しており、
月に何度か遭遇すると血縁のある子ども同士が遊ぶという。
従来考えられていたほど孤立しているわけではないようだ。

キャンプに紅茶を飲みに来るようになったオランウータンがいるそうだ。

交尾時間比べ:
チンパンジーは2-3分
ゴリラが数分-8分
オランウータンは25-40分
人間は?

オランウータンは計3万前後しかいないらしい。
絶滅の危険があるのだ。

オランウータンのリハビリセンターがある。
そこで、孤児を養育してヘリで森に運び放すという
テレビでのやらせがあったそうだ。
森に返したオランウータンはそのほとんどがほどなく死んだらしい。
自然に帰せばよいというものでもないのだ。

『スズメの少子化、カラスのいじめ/安西英明/ソフトバンク新書/2006』
著者:日本野鳥の会普及室研究主任
評価:身近な鳥の不思議な世界

カラスの脳は10gでハトの4倍もある。
脳の神経細胞数でいうと、ハシブトは2億3000万、
カモ6000万、スズメ2000万だそうだ。
やはりカラスは賢い。

『われら以外の人類/内村直之/朝日選書/2005』
著者:朝日新聞科学医療部記者
評価:猿人からネアンデルタール人まで

インドネシア・フロレス島の原人、ホモ・フロレシエンスは、
身長1m、脳も380ccしかなかった。
島嶼性矮小化らしい。
敵がいないので大きい必要がなく、
食物が少ないので小さい方が有利なのだ。

サルやチンパンジーと現代人の違いは大きな犬歯。
現代人やアウストラロピテクスの犬歯は小さいのだ。

アフリカの類人猿化石は1300万年前から欠如。
ヨーロッパやインドでも1000-700万年前から類人猿化石が欠如。
これらは、類人猿がアフリカを出たり入ったりを繰り返したことを示す。

アフリカの真ん中で見つかったサヘラントロプス。
どうもイーストサイドストーリーは難しいらしい。
猿人は草原でなく森林あるいは川筋の林に住んでいたのだ。

同じ山のゴリラ2頭は違う大陸のヒトより遺伝子が違う。
ヒトの遺伝子はとても均質なのだ。

・今日の一言
人類は助け合う動物である。
Human beings are animals who help each other.
인류는 서로 돕는 동물이다.
人类是互相帮助的动物。

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歌うネアンデルタール-音楽と言語から見るヒトの進化 [本(生物学]

『歌うネアンデルタール/スティーヴン・ミズン/早川書房/2006』
著者:認知考古学者
評価:音楽と言語の進化・面白い・なぜカバーはゴリラ?

音楽と言語の単一先駆体"Hmmmmm"、
ネアンデルタールはHmmmmmを使っていたという。
ネアンデルタールの言語には品詞がなく分節されていなかったのだ。

D'Amato:オマキザルには絶対音感があるという。
絶対音感は、獲得するものではなく、
失われるべきものが失われなかったケースなのである。

人間と類人猿を言語で分けるキーの一つ。
チンパンジーは訓練しても拍子をとることができないこと。
リズムを取ることができる動物というのは、人間だけなのである。
道具を使ったり、遊んだりという人間的といわれた特徴が
次々と動物で発見される中、
これだけはどうも人間特有のようだ。

考古学者トマス・ウィンと心理学者フレデリック・クーリッジ。
現代人と分けるのは、作業記憶の違いだと。
同感である、作業記憶=ワーキングメモリの容量が重要なのだ。
リズムも作業記憶と関係するだろう。

歯の成長を調べた研究がある。
ネアンデルタールの子ども成長速度が現代人より速い。
壁画に適した洞窟に住むも絵を描かなかった、

ローラ・バーク。
靴ひもの結び方をならったり算数の問題を解くとき、
声に出す子どもの方が速く学習する。
あるいは、体の動きが学習の助けになる。
外国語の学習をするとき、
手が動いたり体が動いたりするのはとてもよいことである。

しかし何でこの本のカバーデザインはゴリラなんだ?
ゴリラの話なんてほとんど出てこないぞ。
タイトルはネアンデルタール人やで。
区別もつかんやつが描いてるのか?

・今日の一言
人間以外の動物はリズムを取ることができない。
Animals other than human can't keep time by clapping.
인류 이외의 동물은 리듬을 취할 수 없다.
人类以外的动物不能打拍子。

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「私」はいつ生まれるか(ちくま新書) [本(生物学]

『「私」はいつ生まれるか』
板倉昭二(比較認知発達科学者)
ちくま新書(2006)


私という認識はいつ生まれるのかを知る。研究が面白い。

イヌはヒトの視線を理解するという。
ヒトが見たところに何かがあることに気づくのである。
しかもより知能が高いチンパンジーより成績が良いのだ。
ところがイヌの先祖たるオオカミは視線を理解しない。
対して、イヌは子どもでも理解する。
イヌは生まれつき遺伝的に視線理解能力が高いのだ。
ヒトとイヌの共同生活の中で遺伝的に発達したと考えられるのだ。

カラスの仲間スクラップ・ジェイの思考力のエピソード。
自分が他のカラスの隠した木の実を盗んだ経験があると、
自分が隠すのを他のカラスに見られたとき、
一度、隠した餌を他のカラスがいないときに
こそっと別の場所に移しておくのだ。
カラスの知恵というのはかなり凄い。

ロボットの不気味の谷。
ロボットがヒトに似ると親近感が増す。
ところが、非常に似てくると親近感が急激に減少する。
そして、さらにそこを乗り越え人間と同じだと親近感が高くなるのだ。

タグ:板倉昭二
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人体-失敗の進化史(光文社新書) [本(生物学]

『人体-失敗の進化史/遠藤秀紀/光文社新書/2006』
著者:獣医師、遺体科学
評価:人体の歴史

動物の体は改造に改造を重ねたつぎはぎだ。

もともと4本足で歩く設計の人体を二足歩行にして体をおこしたため、
人体にさまざまなトラブルが生まれた。
ヘルニア、腰痛、股関節異常、貧血、冷え性、肩こりなどなど。
設計時と重力の方向が90度違うのだから当然なのだ。

タグ:遠藤秀紀
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病原体から見た人間(ちくま新書) [本(生物学]

『病原体から見た人間』
増田昭吾(黄色ブドウ球菌の病原性)
ちくま新書(2007)


前半の病原菌は面白いが、後半は単なる連想ゲーム。

人間と地球環境の関係と、病原菌と人間の関係を類比して考えている。
面白いけれども、個人的な連想ゲームに過ぎず、
該当する研究をあたっていないのであまり意味がない。

人間が感染症にかかるのは人間がその病原菌の本来の宿主でないから。
細菌は本来、病原菌ではなく、間違った生き物に住むことで、
病原菌となるわけ。

著者は世界を以下のように分類している。
A世界:アトムの世界
B世界:バイオやボディの世界
K世界:記号の世界
X世界:理性の世界
Y世界:欲の世界
……既存の哲学との比較した方が意義があると思う。

人間に体毛が少ないのは身体を意識するためという。
生物学者なら、もう少し説得力のある説明ができると思うのだが……

タグ:増田昭吾
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