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『ダーウィニズム心理学』について注記 [Darwinism Psychology]


 本の内容を簡単に解説すると、
・記憶は、認知神経科学の話
・言語は、認知言語学の話
・感情は、進化心理学の話
・意識は、哲学の話

 キーワード:アージ理論、アフォーダンス、ダーウィニズム、認知言語学、心身問題



この本ができるまでの流れ

私はもともと心理学が好きで、オリバー・サックスと宮城音弥が愛読書だった。


あるとき、戸田正直『感情:人を動かしている適応プログラム』東京大学出版会(1992)を読み、感情が行動で分類定義できることを知る。


キャロル・イザードなど感情心理学の本を集めてデータ整理、さらに辞書から感情語彙を集め分類して分析し、各感情の論理分岐関係を解析することに成功し、感情進化論=「感情のロジックツリー理論」を構築。

世に出すことを画策し、1998年に新風舎がフーコー研究論文コンテストを募集しているのを発見、『7つの記憶、7つの感情』と題して応募し、大賞となり、賞金10万円と出版権をもらう。


2001年になり『ココロを動かす技術、ココロを読み解く科学』として発売される。

その後、改訂版の発売を考えるが進展なし。内容は現状の科学理論の延長であり、論理的推論と分析的思考だけで見出すことができるものであるから、どのみち他の研究者が同じことを発表するだろう、私が意地になって出そうとしなくてもよいと、いったん諦める。

5年、10年、15年たっても、誰も感情について正答に到達できないことに驚き、再度、自分の力で世に問うことを考える。意識や言語に関する考察などを追記し、論理的連関関係をより明確にした『ダーウィニズム心理学』として今回の出版に至る。

全体が網の目のように連関していること。『ダーウィニズム心理学』は全体が網の目のように連関しており、相互の正しさを支持する構造になっている。良い論理循環を持つことがこの理論の特徴である。



序章のウィトゲンシュタインの引用は『論理哲学論考』から。『論理哲学論考』は「語りうることと語りえないこと」との境界を明らかにすることで哲学の役割を明確化するもの。

この本は、科学の前段階としてダーウィニズムによって語り得ることを語り切ることで、心理学研究のスタートラインを提供するのが目的である。この本は自然科学的心理学研究の土台を提示する本である。

記憶の章について。記憶の仕組みとして提示したものが、なぜその仕組みでなければならないのかわかりにくいと思う。故に以下の文章を追記したいと思っている。

 脳の仕組みを考えるときに注意しなければならないのは、進化のルールです。生物の進化がどのようにして起こるのかには法則があります。
 遺伝子の重複による相同器官の形成、そして余剰器官の新機能の獲得です。
 進化は遺伝子の突然変異により起こるのですが、そのときよく起こるのは、同じ遺伝子が二重になって、器官を2つ作ってしまうことです。同じ機能の器官が2つあると、作るエネルギーが無駄ですが、すでにある器官の予備として役に立つので、すぐに淘汰されることはありません。
 しかし無くてもよい予備の器官ですから、片方の器官には進化の淘汰圧がかからず、自由な変化が起こります。このとき器官が新しい機能を獲得するのです。
 この変化のときに多いのは、調節遺伝子の変化です。質的な変化よりも、量的な変化が生まれます。例としては、脳の右脳と左脳の違いなどが挙げられるでしょう。脳の障害で、脳の半分を切除することがありますが、残り半分が順応することで生活することができます。脳は本来、左右とも同じ機能だからできることです。これは調節遺伝子の違いで左脳に言語機能が生まれていると考えられるのです。
 海馬と大脳皮質の関係も似たものと考えられます。
 この2つもできた当初は同じ機能を持っていたと考えられます。それが調節遺伝子の変化により、記憶の期間や方法を変化させることで、こうした違いが生まれたのです。

意識の章において、我々が知覚するものはすべて行為であるといい、色もまた行為であるとしていること。これはわかりにくいと思う。色には三原色などの構造があり、それは明らかに外部の物理構造と異なるように見えるからだ。脳が生み出した幻想ではないかと思ってしまう。

これにはまず音から考えるとわかりやすい。音とは物質の振動であり、その波長は0から無限に可能である。それに対して神経細胞は生きた生物であり、無限に対応することができない。どうするか。反復を利用する。それがオクターブである。1オクターブ上がっても我々は同じ音と感じることができる。これは算数の桁上がりと同じである。1から百までの数字をそのまま表すと、百の細胞が必要だが、1の桁と10の桁に分けて対応すれば10個で表すことができる。音が1オクターブで反復するのも、少ない細胞で無限の音を詳しく分類するための変形なのである。

これと同じ事が色でも起こる。色では三原色ということで、3つの組合せで色を変形されているのである。

我々は遠くの星を観察するときに望遠鏡を使う。望遠鏡のレンズに変形があれば、見るものも変形して見える。音や色における構造はこのレンズの変形に対応している。

比べるならメルカトル図法を思い浮かべるのがよい。メルカトル図法ではカナダやグリーランドが巨大になるが、それは歪みであって幻想とは異なる。球体を平面で表現したための変形なのである。

1オクターブといい、三原色といい、それらは無限の外界の構造を有限の細胞を使って、可能な限り細かく分類しようとした結果生まれた「レンズの歪み」のようなものなのであり、決して脳が生み出した幻想などではないのである。

私は唯物論還元主義者であり、一元論者であり、自然科学としての心理学を支持している。故に、科学が価値や意味、倫理を扱えないとする、広く膾炙した言明に対して全く同意しない。なぜならここには2つの誤謬があるからだ。

1つはダブルスタンダードである。

科学では扱えないが、哲学や宗教が扱えるというとき、あきらかに条件が同じではない。確かに「現在」の科学でわかることは少ないが、哲学や宗教でわかることはもっと少ない。哲学や宗教の価値や意味、倫理への主張の説得力は、科学に「劣るとも勝らない」。科学が価値や意味、倫理を扱えないとするなら、少なくとも、哲学や宗教はそれよりももっと無力である。哲学や宗教が価値や意味、倫理を扱えるのなら、科学はより正確に扱うと言わざるを得ない。

2つは人間中心主義の傲慢さである。

現代は環境問題などの高まりから、自然の一部としての人間という観点が強まっているはずだ。人間が自然の一部であるなら、当然、人間もまた自然科学の対象であり、人間の行動や精神も自然科学によってこそ解き明かされると考えるべきである。

これらの誤解の最大の鍵は「時間」である。意識の章で説明したように、言語概念には時間を含んだものがたくさんある。それには対応する物質がないように思われる。

しかし誤解がある。まず我々人間のような生命体は、食事と排泄の循環により絶えず物質が入れ替わり、3年でほとんどの物質が交代するされる。すなわち生命体にはもともと対応する物質などないのである。

さらに自由意志の章で解説したように、意志というのは過去であり、現在に存在していないように見える。しかし宇宙はもともと時空間として時間を含んで変形している。過去は常に現在に存在しており、非実在ではない。すべての過去は実在である。感情語彙に対して対応する物質はないが、対応する行為はあり、物質の位置変化としての対応は存在する。

さらに問題はあらゆる物質は時間を包含した存在であること。素粒子としての超ひもならば、振動数があってこそ、超ひもは定義される。振動数は時間を包含していなければ確定できない。振動のように継続して同じ現象を継続しているものを我々は物質と呼ぶ。物質というのは、安定的継続現象のことである。

すなわち自然科学が対象としているのは、もともと現象であり、変化なのであり、時間を含んでいるのである。
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『ダーウィニズム心理学』出版されました! [Darwinism Psychology]

2019.10.21

『ダーウィニズム心理学:記憶、感情、意識の謎に答える』
シャスタインターナショナル(2019)


記憶、言語、思考、感情、性格、意識など心についての根源的な謎に、生物進化の観点から生まれた「感情のロジック・ツリー理論」「意識のトポロジカル・ループ理論」「言語の意味の身体運動感覚説」の3つの理論で、明解かつ簡潔に答える。

坂下 景(さかした あきら)
1969年大阪府生まれ。日本語教師、全国通訳案内士(中国語・韓国語)、心理学検定特1級。多文化共生時代の日本を見据え、外国系児童を主な対象として学習支援活動をしている。ベトナム語と手話を学習中。現在は『ダーウィニズム心理学』の英語版の準備と、心理学理論の数式化のため位相幾何学に取り組んでいる。

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