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仏教と資本主義(新潮新書) [本(日本文化]

『仏教と資本主義』
長部日出雄(作家)
新潮新書(2004)


仏教と労働との関係を示す。

光明皇后の楽毅論、サインは藤三娘。
光明皇后の千人洗垢伝説は、
金光明最勝王経に原型があるらしい。

商業はずるいという感覚、
この商業詐欺観が共産主義を生んだとする。

日本仏教思想の理論的指導者は源信。
その地獄極楽絵図こそが日本人の仏教イメージとする。

日本の仏教系思想と西洋思想の比較。
神の前に同等とするルターの僧侶観と、
行基の労働による利他の菩薩行が類似するとする。

ルソーの共通感覚/良心と仏教の本覚/仏性、
あるいは鈴木正三の真仏の比較など。

どうも私はヴェーバーの、
プロテスタントの倫理が欧米の近代資本主義を生んだ
という考えは同意できないので、
あまり感心しない。文化差別的だしね。
私は単に情報集積量の違いが欧米を有利しただけと思う。

・今日の文中の一言
商業精神と戦争は両立しない。(カント)
상업정신과 전쟁은 양립하지 않는다.(칸트)
商业精神和战争不并存。(康德)
Commercial spirit cannot exist along with war.(Kant)

タグ:長部日出雄
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女の民俗誌(岩波現代文庫) [本(日本文化]

『女の民俗誌/宮本常一/岩波現代文庫/2001』
著者:民俗学者
評価:女性へのインタビュー集


満州は貧乏な日本人もたくさん移住した。
満州の馬賊の夫人に日本女性が多い。
日本女性の我慢強さが人気だったらしい。

女性や子どもに過酷な時代。
貧乏な家では子供は売るもの。
女は10歳で女郎屋行きだった。

・今日の一言
満州の馬賊の夫人には日本女性が多かった。
A lot of Manchu mounted bandit wives are Japanese women.
만주 마적의 부인에게는 일본 여성이 많았다.
满洲胡匪的夫人中日本女性相当多。

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日本妖怪異聞録(講談社学術文庫) [本(日本文化]

『日本妖怪異聞録』
小松和彦(文化人類学、民俗学)
講談社学術文庫(2007)


日本の代表的妖怪の概略を知る。

酒呑童子、玉藻前、是害坊天狗、崇徳天皇、
紅葉、つくも神、大嶽丸、橋姫について。

妖怪を語るのは誰か?
陰陽師が鬼や妖狐を想定して異常を説明し、
天台の密教僧は天狗を想定して異常を説明した。

器物の妖怪化。
鬼や動物のような手足を器物につける、
あるいは鬼の体に器物を付ける。
つくも神=器物の妖怪。

草木非情発心修行成仏
情のあるはずのない草木や器物も情を宿すことがあり、
そしてそれらも修行を積めば人間同様に成仏できる。
日本的な独特の考え方だ。
動物が妖怪化する話は世界に多いけど、
器物が妖怪化するのは珍しいのかも。

・今日の一言
草木非情発心修行成仏。
草木や器物は情のないものだが心を宿すことがあり修行を積めば成仏することができる。
초목이나 물건은 혼이 없는 것이지만 마음을 내포하는 것이 있고 그도것 수행을 쌓으면 성불할 수 있다.
没有生命的草木和器具有时候会产生灵魂,而且它们也会修道成佛。
Trees, plants and utensils have not souls originally, but they get a mind on rare occasions, and they can become a Buddha if they practice asceticism.

タグ:小松和彦
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日本の文化(岩波ジュニア新書) [本(日本文化]

『日本の文化』
村井康彦(日本古代史、中世史、日本文化史)
岩波ジュニア新書(2002)


日本の文化の特徴を知る。

日本文化は日常的な生活次元で物事をとらえ、
私的なレベルで展開するのが特徴。
著者はこれを生活文化と呼ぶ。

9世紀後半に唐商船が頻繁に来航し、遣唐使が不要になった。
遣唐使がなくなった理由は民間貿易の増加のためであった。

9世紀半ば、紫宸殿前の梅が桜に植え替えられた。
中国文化から日本文化への移行の瞬間である。

日本の日記文化。
日本には天皇自身が書き留めた日記が残る。
対して中国の皇帝は起居注官が記録する。

日々の雑事を書く男日記。
主題がある人生省察の女日記。

太平洋戦争中の日本兵もたくさん日記をつけていて、
そのため米軍が日記回収することで軍事機密が筒抜けになった。
あるいは日本軍の戦争犯罪のほとんどは、
日本兵がつけていた日記により、証明されていたりする。

茶勝負、闘茶とは、日本では茶の銘柄や産地を飲み当てること。
中国では品質を競うこと。

正座は畳とともに生まれた。
それまでは立て膝やあぐらが普通だったらしい。

ドイツ人ケンペルが驚いた日本人の旅好き。
江戸時代の日本人の旅行量は相当なものであったらしい。

思うに、日本人が誇るものは多く生活の中で生まれたもの。
世界に広まったメイド・イン・ジャパンの商品も、
ほとんどは生活家電だった。
生活に密着した思考こそ日本人らしいのかもしれない。


タグ:村井康彦
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日本の思想(岩波新書) [本(日本文化]

『日本の思想/丸山真男/岩波新書/1961』
著者:政治学、日本政治思想史
評価:日本の思想の特性・日本の学問や政治思想の構造を知る

日本には個別的思想の座標軸になる思想的伝統が形成されなかった。
あるのは、理論信仰と実感信仰など。
日本の自由主義者の自己意識も、マルクス主義によって初めて作られた。

学問の形態2種。ササラ型とタコツボ型。
ヨーロッパの個別科学の根は共通の自然哲学などのの学問から生まれ、
それぞれの専門の個別科学へと広がるササラ型。
日本はタコツボ型。横の連絡はないが外の外国にはつながっている。
学問同士が近いジャンルでも連絡がなく、会話すらできないことも。
ところが同じジャンルの外国とは話が通じる。
明治に個別科学がバラバラに導入にされたためらしい。
哲学とはあらゆる学問の源泉であるから、
専門化など不可能なはずだが、
日本では哲学も専門として分離してしまう。
日本では哲学自身までが専門化するという矛盾。
まあこれは、哲学じゃなくて思想史になってるということだろう。

官僚は巨大な権力を持っているように見えるが、
当人たちには支配者権力者意識はないらしい。

権利の上に眠るものは民法の保護に値しないもの。
自由と権利は国民の不断の努力によって保持されると
憲法に定められている。

である価値からする価値への歴史的変革。
今は身分や立場など何であるかが評価されるのではなく、
何をするかが評価される時代である。

・今日の一言
自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。
The freedoms and rights shall be maintained by the constant endeavor of the people.
자유 및 권리는 국민의 부단한 노력에 의하며, 이를 보지하지 않을 수 없다.
自由与权利,国民必须以不断的努力保持之。

タグ:丸山真男
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部落問題とは何か(三一新書) [本(日本文化]

『部落問題とは何か/川元祥一/三一新書/1994』
著者:作家、ルポライター、部落出身
評価:面白い・良書・貴賤観と浄穢観から部落を語る

部落問題は貴賤観と浄穢観の二つの構造がある。
ケガレ=気が枯れるが来るらしい。
空気の汚れと考えるわけか。
動物の死体などを扱うと、伝染病との関連もあるしね。

会社と親戚を気にして娘の結婚に反対した例。
自立した精神がないから差別するという。
これは違うだろう。
社会学レベルの問題を心理学レベルに下げないで欲しいな。

江戸時代の部落の実態が面白い。
関所は武士が、小さい番所や交番は賤民が担当していた。
部落による警察機構。街道守と警備役と牢番など。
部落は警察組織を兼ねていたのだ。
目明かしにも被差別者が多いらしい。

古代中国でも、
亭長といった下っ端の警察組織は貧民やヤクザが担っていた。
税金が納められないので亭長になったりもする。
普通の庶民は、亭長になるのを嫌がったものだ。
漢を建国した高祖劉邦なんて、典型的な貧民ヤクザである。

解体新書で実際に解剖したのは穢多。何人もの人を解体した老人である。

動物被害を守る山番や畑番も被差別者がしていた。
富山の薬の牛黄は牛の胆石。どんな病気にも効く。
これも部落の知恵である。
天保飢饉と安政飢饉のとき部落が提供した動物汁で多く人が助かった。

毛皮は軍事産業である。馬具や太鼓を作る。
部落の産業は軍事産業でもある。
部落と農民を分けることで、地方が軍事力を持つことを防いだのだ。

部落の由来。
中世の非定着者の毛皮仕事や神社の浄めが穢多の由来。
賤民が政治的に作られるケースもある。
反体制政治活動の結果として穢多になった武士や農民もいる。

明治になり、
賤民解放令で仕事を失い都市の被差別部落はスラム化した。
脱共同体的存在が、被差別部落になったのである。

脱共同体的存在という意味では、
最大の被差別部落は天皇家かもしれない。

『戦後和解/小菅信子/中公新書/2005』
著者:政治行政学、史学
評価:日中を考えるヒントとして日英和解を解説する

死者の民間人戦闘員の比率
第一次大戦1:18・第二次大戦1:1
第二次の民間人死亡の凄さがわかる。

英国大衆紙サンは、天皇が危篤になると、
"地獄が天皇を待っている"と書いた。
村山謝罪のときには、英国では日本大使館への抗議デモが起こった。
日英間は非常に険悪だったのだ。

『謎解き アクセサリーが消えた日本史/浜本隆志/光文社新書/2004』
著者:西欧文学
評価:ミステリーふうに考える日本文化史

奈良時代以降に日本から、
指輪・勾玉・耳飾り・首飾り・腕飾りなどの文化が
忽然と消えるのはなぜか?

アクセサリーは外から見える開口部や弱点部につける。
護符として悪霊が弱点部から侵入するのを防ぐためという。

それは後付けの理由ではなかろうか?
単に、付けやすいところ、見えやすいところにつけ、
後から理由を絞り出しただけに思える。

結論は3つ
天皇祭祀や仏教により吸収された
農耕定住に不要で邪魔。
他の民族との接触の欠如。
とのこと。

『村からみた日本史/田中圭一/ちくま新書/2002』
著者:日本近代史
評価:江戸時代の実像を知る・野心作

検地は大名の民衆支配という意味ではない。
検地の実施は大名が百姓の要求をのんだ。
土地の所有を確立したということ。
発想の逆転である。

江戸の年貢の重さは検地帳の上の計算のみ。
実際はその半分程度だった。
検地帳の公定レートは実際より相当低かったのである。

民衆が一方的に弱かったわけではない。
幕府に非理があれば代官側だけが罰されることもあったという。

千両を故郷に送る出稼ぎ人の記録。
実態は醸造資本家であった。
江戸時代は、資本主義が芽生えつつあったのである。

・今日の一言
かつて被差別部落は警察であった。
In the past, the discriminated hamlet "Hisabetsu-buraku" was the police structure.
옛날에 "히사베츠부라쿠"는 경찰이었다.
从前"被差别部落"是警察。

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