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部落問題とは何か(三一新書) [本(日本文化]

『部落問題とは何か/川元祥一/三一新書/1994』
著者:作家、ルポライター、部落出身
評価:面白い・良書・貴賤観と浄穢観から部落を語る

部落問題は貴賤観と浄穢観の二つの構造がある。
ケガレ=気が枯れるが来るらしい。
空気の汚れと考えるわけか。
動物の死体などを扱うと、伝染病との関連もあるしね。

会社と親戚を気にして娘の結婚に反対した例。
自立した精神がないから差別するという。
これは違うだろう。
社会学レベルの問題を心理学レベルに下げないで欲しいな。

江戸時代の部落の実態が面白い。
関所は武士が、小さい番所や交番は賤民が担当していた。
部落による警察機構。街道守と警備役と牢番など。
部落は警察組織を兼ねていたのだ。
目明かしにも被差別者が多いらしい。

古代中国でも、
亭長といった下っ端の警察組織は貧民やヤクザが担っていた。
税金が納められないので亭長になったりもする。
普通の庶民は、亭長になるのを嫌がったものだ。
漢を建国した高祖劉邦なんて、典型的な貧民ヤクザである。

解体新書で実際に解剖したのは穢多。何人もの人を解体した老人である。

動物被害を守る山番や畑番も被差別者がしていた。
富山の薬の牛黄は牛の胆石。どんな病気にも効く。
これも部落の知恵である。
天保飢饉と安政飢饉のとき部落が提供した動物汁で多く人が助かった。

毛皮は軍事産業である。馬具や太鼓を作る。
部落の産業は軍事産業でもある。
部落と農民を分けることで、地方が軍事力を持つことを防いだのだ。

部落の由来。
中世の非定着者の毛皮仕事や神社の浄めが穢多の由来。
賤民が政治的に作られるケースもある。
反体制政治活動の結果として穢多になった武士や農民もいる。

明治になり、
賤民解放令で仕事を失い都市の被差別部落はスラム化した。
脱共同体的存在が、被差別部落になったのである。

脱共同体的存在という意味では、
最大の被差別部落は天皇家かもしれない。

『戦後和解/小菅信子/中公新書/2005』
著者:政治行政学、史学
評価:日中を考えるヒントとして日英和解を解説する

死者の民間人戦闘員の比率
第一次大戦1:18・第二次大戦1:1
第二次の民間人死亡の凄さがわかる。

英国大衆紙サンは、天皇が危篤になると、
"地獄が天皇を待っている"と書いた。
村山謝罪のときには、英国では日本大使館への抗議デモが起こった。
日英間は非常に険悪だったのだ。

『謎解き アクセサリーが消えた日本史/浜本隆志/光文社新書/2004』
著者:西欧文学
評価:ミステリーふうに考える日本文化史

奈良時代以降に日本から、
指輪・勾玉・耳飾り・首飾り・腕飾りなどの文化が
忽然と消えるのはなぜか?

アクセサリーは外から見える開口部や弱点部につける。
護符として悪霊が弱点部から侵入するのを防ぐためという。

それは後付けの理由ではなかろうか?
単に、付けやすいところ、見えやすいところにつけ、
後から理由を絞り出しただけに思える。

結論は3つ
天皇祭祀や仏教により吸収された
農耕定住に不要で邪魔。
他の民族との接触の欠如。
とのこと。

『村からみた日本史/田中圭一/ちくま新書/2002』
著者:日本近代史
評価:江戸時代の実像を知る・野心作

検地は大名の民衆支配という意味ではない。
検地の実施は大名が百姓の要求をのんだ。
土地の所有を確立したということ。
発想の逆転である。

江戸の年貢の重さは検地帳の上の計算のみ。
実際はその半分程度だった。
検地帳の公定レートは実際より相当低かったのである。

民衆が一方的に弱かったわけではない。
幕府に非理があれば代官側だけが罰されることもあったという。

千両を故郷に送る出稼ぎ人の記録。
実態は醸造資本家であった。
江戸時代は、資本主義が芽生えつつあったのである。

・今日の一言
かつて被差別部落は警察であった。
In the past, the discriminated hamlet "Hisabetsu-buraku" was the police structure.
옛날에 "히사베츠부라쿠"는 경찰이었다.
从前"被差别部落"是警察。

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