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<玉砕>の軍隊、<生還>の軍隊:日米兵士が見た太平洋戦争(講談社学術文庫) [本(軍事]

『<玉砕>の軍隊、<生還>の軍隊:日米兵士が見た太平洋戦争』
河野仁(軍事社会学、歴史社会学)
講談社学術文庫(2013)


米兵は自殺を宗教的な罪と考え、
降伏して捕虜となることは戦死につぐ名誉と考えたが、
日本兵は捕虜となることは不名誉であり
自決を名誉ある戦死と考えた。

戦闘員の戦死行方不明者数万人。
ソ連600、中国150、米国55、
英国40、ドイツ325、日本256

民衆が「権力の中央集権化」を望むかどうかは、
ひとびとが「平等」というものを経験する以前に、
「自由」を享受していたかどうかによる。トクヴィル

自由を享受してきた国は中央集権を嫌う
1863年ニューヨーク市徴兵暴動、死者1200人
志願社会アメリカ
地方分権徴兵制度

日本軍。給与レベルは教育程度と対応
部下たちの気に入らない上官が手榴弾で爆殺される事件。
1969年96回70年209回
軍隊独自のきまりの存在が戦場で人を殺すことを受け入れやすくする
中等教育以上あれば幹部候補生として将校になれる
貴様は農家の一人息子だから絶対に下士官志願はさせない

一ドル欲しさに州兵に
州兵は市民兵であって職業軍人ではない
14歳で18歳と詐称して入隊
真珠湾攻撃によって
それまでばらばらだったアメリカ国民がひとつにまとまった

米軍の兵営は同年兵が主体で古年兵の暴力による制裁はほぼ皆無だった
南部出身者と北部出身者が対立することも。戦地に行くと解消
日本軍の私的制裁も戦地に行くと自然になくなった
米軍にも兵営家族主義

手榴弾は当初七秒後爆発だったため待ちきれず
投げた手榴弾が投げ返されることも。四秒に短縮
銃剣刺殺用の中国人捕虜を放免した士官
白兵突撃は中国軍に有効だった

弾の音で距離がわかる。
ブンブンは15-20m、
ピュンピュン、バチバチは5m、
パーッスパーッスはすぐ近くで自分が狙われている

日米共通の第一次集団の絆、
米軍はヨコの連帯、日本ではタテの連帯が強い

日本軍ほど日記をつける習慣を持った兵士を大量にかかえていた軍隊はない
米軍兵士が日記をつけることは厳禁
偽名を使う降伏した日本兵、
姓名生年月日兵籍番号を正確に申告する米兵捕虜

色覚異常の兵士はカモフラージュされた陣地をいち早く発見する
機関銃の分解と組み立てを目隠しで45秒でできるように訓練
一師団につき38名のナバホ族兵士。暗号話者

拷問惨殺された戦友のための復讐心
自分ならしないこと、
あるいは自分がしたことのないことを部下にさせない。スタナード軍曹

西欧の軍隊なら戦死者が
全兵力の四分の一から三分の一に達すれば降伏するのが常識

終戦間近のフィリピン戦線での組織的投降
日露戦争ではロシア軍捕虜が厚遇され
日本兵捕虜は帰国後も歓迎されて勲章を授けられた
第二次大戦で捕虜になることが禁止だったのは日本軍、ソ連軍、中共軍

戦友同士は親子兄弟以上
戦友会では毎年同じことばっかり話す

日本兵がベストだった
天皇陛下万歳と言って死ぬ者もいるが多くはない

☆☆☆☆☆
日米の兵士の違いを的確に捉えたお薦めの良書。
私的制裁のストレス耐性向上説というがあるが、
これは典型的な認知不協和だろう。

・今日の一言(本文より)
Your soul may belong to God, but your ass belongs to me!
貴様たちの精神は神様のものかもしれんが、貴様たちの身体はこの俺が預かったぞ!
니들의 영혼은 하느님의 것일지 모르겠지만 니들의 몸은 내가 맡았다!
你们的灵魂可能属于上帝,但你们的肉体却属于我。

タグ:河野仁
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