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第2回将棋電王戦 [本(将棋]

今年楽しみなのが第2回将棋電王戦


この動画はすごい出来だと思う。冒頭の"宇宙をさまよう魂"とか、"会長の仇は私がとります"という発言など、この時点で米長会長(米長永世棋聖)が故人のようだが、亡くなったのはこの動画の公開数日後である。

おそらくこれは米長永世棋聖の読みの内だと思う。棋士とは先を読んで手を打つものであり、米長永世棋聖はおそらく自分の死を織り込んでいたのだろう。米長邦雄は最期にコンピュータに敗れて失意の内に亡くなり、残された棋士たちが仇を討つという物語をイメージして、作ったのだと考えられる。

第2回 将棋電王戦 第1局 阿部光瑠四段 vs 習甦 放送予定 03/23 10:00 -
 阿部光瑠四段は、史上7番目の若さとなる16歳でプロ入りし、早指し棋戦でA級を三連破するなど、期待の高い若手で全棋士中最年少の居飛車党。ただし早指しには強いが、持ち時間の長い棋戦ではまだあまり勝っていない。対コンピュータ戦について本人は"五分五分かな"と言っている。普通の定跡で真っ向勝負したいとしている。レーティング57位。

第2回 将棋電王戦 第2局 佐藤慎一四段 vs ponanza 放送予定 03/30 10:00 -
 佐藤慎一四段は、阿部四段とは正反対に年齢制限ギリギリの26歳でプロ入りした苦労人。後手番では振り飛車も採用し、あらゆる戦法を指すオールラウンダー。先手番で横歩取らず相懸かりを採用するなど、序盤から工夫するタイプなので、阿部四段とは反対に研究の秘策の一手を見せるかもしれない。レーティング92位。

第2回 将棋電王戦 第3局 船江恒平五段 vs ツツカナ 放送予定 04/06 10:00 -
 船江五段は、詰め将棋大会で優勝するなど抜群の終盤力を誇る居飛車党。若手のみの棋戦、加古川青流戦の初代優勝者であり、実力者である。早い時期から対戦が決まっていて、コンピュータ対策もできていると考えられる。レーティング38位。

第2回 将棋電王戦 第4局 塚田泰明九段 vs Puella α 放送予定 04/13 10:00 -
 塚田九段は元王座であり、公式戦22連勝を記録したベテランであり五人の中では最高齢。塚田スペシャルなど知られる攻め100%の豪快な棋風の居飛車党。コンピュータ相手なので、どこまで自分の棋風を調整できるかが鍵になる。レーティング91位。
 Puella αは、米長永世棋聖を倒したボンクラーズの改良版。

第2回 将棋電王戦 第5局 三浦弘行八段 vs GPS将棋 放送予定 04/20 10:00 -
 三浦弘行八段は順位戦はA級で2敗を維持し名人挑戦レースに残っている最強棋士の一人。研究家として有名な居飛車党。年齢的にも最も脂ののった時期であり、人間側の大将である。レーティング15位。
 GPS将棋は、東大駒場の788台のコンピュータでクラスタを組み、一秒で2億8000万手を読むという怪物。持ち時間は4時間で、相手の時間も考えることから、最大で8時間に8兆640億手読むことになってしまうが、果たして三浦八段に勝機はあるのか?

●コンピュータはどのぐらい強いのか?
コンピュータの棋力は、2007年3月のボナンザで奨励会初段前後とされる。ちなみに女流の最強棋士の里見香奈女流四冠が奨励会で初段である。これを考えると、その三年後、2010年10月のあから2010対清水女流王将(当時)の対決は相当に厳しいものだったとわかる。

2012年1月にボンクラーズが米長永世棋聖を破るが、米長永世棋聖は引退して八年、イベントなどで指す将棋の対戦結果を見る限り、すでに棋力はC2ぐらいまで低下していたと考えられる。対するボンクラーズは、将棋倶楽部24においてbonkrasとして3364点というもの凄い数値を記録した。

ただしレーティングにはインフレがあり、後になると自然に高くなるので注意が必要だ。2011年12月31日のボンクラーズbonkrasの3364点が、2004年6月5日の最高点であるデクシdcsyhiの3003点より高いのかはっきりしない。この両方の時期に指していたHAHAHAHAHA氏のレーティングも300点以上高くなっているからである。HAHAHAHAHA氏の棋力がほぼ同じとするならば、bonkrasとdcsyhiの棋力差はほとんどないと考えられる。

デクシdcsyhiは、その棋譜を見たプロから、これはタイトルホルダーとしか考えられないと判定され、しばしば羽生三冠だという噂が流れた。ただし振り飛車採用時の勝率が明らかに低いことから疑問も残る。

将棋倶楽部24では、若手時代の渡辺竜王が指していたとも言われ、また早指し最強と言われる糸谷哲郎六段が奨励会時代に I-houshin の名前で指してことも知られる。

将棋倶楽部24は持ち時間一分、秒読み30秒の早指しであり、もともと見落としのないコンピュータが有利とされるフィールドである。故に、プロ棋士とコンピュータの差はまだはっきりしないと言えよう。

●コンピュータに立ちはだかるのは誰か?
最期の切り札は渡辺明竜王である。最も重厚かつ慎重な棋風で知られ、コンピュータとの対戦体験もある渡辺竜王が最もコンピュータに強いと考えられる。

羽生善治三冠はコンピュータ戦では苦しいと見られる。というのも、そもそもすべてのコンピュータソフトは羽生三冠を基準にして作られているのだ。

その他の点においても羽生三冠はもともとコンピュータと類似性がある。羽生マジックとは、相手の読み筋にない手を指すということだが、それは切り捨てる手が少ないということであり、コンピュータと共通しているのである。また持ち時間が短いほど強くなる点もコンピュータと共通である。

●コンピュータ将棋の特徴
コンピュータは序盤は定跡が完全に組み込まれているため間違えないし、終盤に詰みが出ると相当に長い詰みでも瞬時に解いてしまう。故にコンピュータ相手に定跡形で戦うのはそれほど有利ではないし、終盤で詰むか詰まないかの争いで勝負するのも勝ち目があまりない。

ただし長すぎる詰みは読めないことがある。人間と違い余分な筋も読むためである。水平線効果と呼ばれている。また詰めろは読むものの、駒得より詰めろを積極的に採用することはまだないようだ。

人間との重大な違いは、コンピュータは二手スキ、三手スキなどを理解しないこと。コンピュータは今の盤面から先を読むのだが、人間は詰み上がり図から逆算するのである。ここに人間の勝機があるのだ。この段階ではコンピュータはまだ駒得を基準に手を選ぶのである。

●コンピュータを倒す方法
終盤では駒得から速度、すなわち敵玉への距離が大事なのだが、コンピュータはこの切り換えがまだうまくない。従って、この人間のみが持つ距離感を利用して、二手スキ、三手スキの距離をおいたままで長手数を維持してポイントを稼ぎ、局面に差をつけてしまい、大差で終盤に持ち込めば倒すことができる。

コンピュータには定跡形が組み込まれているが、その定跡を作るのはプロ棋士である。定跡とは最も優れた作戦であり、その範囲では五分五分の手順である。終盤まで定跡形に持ち込みコンピュータのまだ知らない最新研究をぶつけて、変化の余地のない罠に追い込んで倒すことも考えられる。

人間は縦に深く読めるが、コンピュータは横に広く見落としなく読むことに特徴がある。人間がこの縦の深さを利用して、コンピュータより先に相手玉の詰み筋を見つけられるかが勝負になるのである。

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