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デフレと円高の何が「悪」か(光文社新書) [本(日本の問題]

『デフレと円高の何が「悪」か/上念司/光文社新書/2010』
著者:経済学マニア
評価:トンデモ経済論を斬る


著者はtwitterにおける反デフレ署名運動の管理人である。

CPI上方バイアスについて。
日本の消費者物価指数は+1.8%高めになっているという。
すなわち日本のデフレは数値よりも強いのである。

"金利を上げれば消費が増える"という奇妙なエコノミストたち。
この人たちは投資アドバイザーとして
自分の顧客ばかり見ているので、
頭が腐っているのだと思う。

よく聞かさせれる話。
お金を刷っても金融機関に滞留し、
個人も溜め込むだけでインフレにならないというもの。

著者はそれなら政府の支出を紙幣で調達できると反論しているが、
これは会話が少しかみ合っていない。
インフレ起こせない論者はそれを禁じ手として無視しているからだ。
インフレ起こせない論者も、
ただ政府が紙幣を刷って直接支出に使えばインフレになることには
反論しないはずである。

ハイパーインフレは起こらないことについて。
終戦直後の日本ですらハイパーインフレではなかった。
年率59%でしかなかったとのこと。

これは知らなかった。
確かに戦後ですら起こらないことを起こすのはちょっと難しいと思う。
もちろん年率59%は困るが、
それを防ぐためにこそインフレターゲットがあるわけだし。

財政再建には名目GDPを増加させるしかないこと。
この名目というのがミソ。
高度成長みたいな凄いものは必要ない。
数字上の成長があればよいので難しいことではないのである。

日本の借金が実は本質的な問題ではないこと。
借金相手が同じ日本国内であるため、
実はこれは税制問題なのである。

デフレは、円という貨幣が国内で不足しているということだし、
円高も、円という貨幣が国外で不足しているということだ。
デフレも円高も、日本の貨幣たる円が過小であるため、
適正値よりも過剰に価値があるということであり、
これが日本経済の循環を破壊しているのだ。
これは速やかに解消されるべきだし、難しくもないのである。

著者は、読んだ経済学者の本の数は100冊程度とそれほど多くないが、
(もしかすると私よりも少ないかも?)
多くの経済学者の助言や確認を得た上で書かかれており、
内容は正確に書かれている。

ただし専門の経済学者ではないこともあり、
この本もあくまでも基本的なことしか押さえていない。
より詳しい問題については、
岩田規久男、野口旭、原田泰、山家悠紀夫、小野善康
を読むことをお薦めする。

デフレを喰らう池池悪霊退散!

・今日の一言(文中より魯迅『故郷』竹内好訳)
思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
我想:希望本是无所谓有,无所谓无的。这正如地上的路;其实地上本没有路,走的人多了,也便成了路。
I think : Hope cannot be said to exist, nor can it be said not to exist. It is just like roads across the earth. For actually the earth had no roads to begin with, but when many pass one way, a road is made.
내 생각엔 말입니다. 희망이라는 것은 원래 있다고도 할 수 없고, 없다고도 할 수 없는 것입니다. 이것은 땅위의 길과 같습니다. 사실, 본래 땅위의 길은 없었습니다. 가는 사람이 많으면 그것이 길이 되는거지요.

タグ:上念司
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コメント 2

smith796000

感想をアップしていただいてありがとうございます。
正に私の言いたかったことを端的にまとめていただきまして感謝です。
今後ともよろしくお願いします。

上念
by smith796000 (2010-02-17 11:03) 

Kay-akira_Hirota

ダーウィンのブルドッグことトマス・ヘンリー・ハクスリーのように、岩田規久男&田中秀臣のブルドッグと化して、学者を代弁して戦ってくださることを期待しています。
by Kay-akira_Hirota (2010-02-17 15:09) 

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