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暮らしに思いを馳せる経済学 [本(経済学思考法]

『暮らしに思いを馳せる経済学/山家悠紀夫/新日本出版社/2008』
著者:経済学者
評価:日本経済の実情を知る良書


需要に占める輸出は、2002年10%が07年16%。
実態のない好景気の正体は単に輸出によるもの。
アメリカ景気の回復と中国経済が順調だったための好景気なのだ。
アメリカと中国次第で失われるものでしかない。

就業者総数は5年で30万人減少した。
景気回復と言いながら労働現場そのものは減ったのである。

だが企業利益は最高である。
戦後最高だったバブル期の経常利益は39兆だったが、
2006年は54兆を記録した。
日本企業は戦後最高の繁栄を記録したのだ。
そして、この十年で国民所得は7兆減少した。
日本国民を絞ることで達成した虚像の繁栄である。

日本の財政赤字は97年以降の鰻登り。
ところが、97年当時の日本の財政状況は先進国中最善だった。
借金も残っているが資産も残っていたのだ。
まさに構造改革こそが日本を借金漬けにしているのだ。

著者の提言。
最低賃金は1000円にする。
労働基準監督署の増員し、残業代不払いを摘発すること。
日本の国際競争力を心配する人が出そうだが、
日本の経常黒字は先進国一であり、
日本が国際競争力を心配するのはほとんど失笑ものでしかない。

20兆以上の公共投資を減らすこと。
高額所得者の最高税率を戻すこと。98年以前は88%だったのだ。
株式配当や売買益の課税税率が引き上げることなど。

全く同感なことが多い。
日本の景気回復に本当に必要なのは税制改革なのである。
経済を決めるのは需要であり、供給ではない。
供給が経済を決定できるというのは、
共産主義や社会主義に等しい妄想である。
需要を回復してこそ日本経済も回復するし、
日本政府の借金も減るのである。

p130の2行目・高所得者は大幅な増税⇒減税の誤植かな。

・今日の一言
日本の景気回復はアメリカと中国の需要によるものに過ぎなかった。
The economic recovery in Japan was really just the illusion caused by the demand of the United States and China.
일본의 경기회복은 미국과 중국의 수요에 인한 것뿐이었다.
日本的经济复苏只不过是由于美国和中国的需求而产生的。

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