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哲学ディベート-〈倫理〉を〈論理〉する(NHKブックス) [本(論理思考]

『哲学ディベート』
高橋昌一郎(論理学、哲学)
NHKブックス(2007)


これぞ本当の道徳の授業というべき良書。

倫理問題の問題を洗い出す議論するディベート。
勝ち負けでなく、
問題を洗い出し検討するディベートである。
さまざまな倫理問題が提示され、
それが多角的に議論されていく。

思うに、各章の最後に、
バランスシートを書いてまとめてくれると、もっとよかったと思う。

兵士の倫理の厳しさ。帝国陸軍マニュアル。
手榴弾が投げ込まれたら近くにいる兵士が覆い被さること。
そうすれば本人は死ぬが周囲の人たちは助かるのである。

カントの実践理性批判の簡潔なまとめ。
君がやったことを皆もやっていいと思うかい?

動物虐待な世界の珍味。
満漢全席の猿脳とは、
猿を生きたまま意識のある状態で頭蓋骨を開いて脳を食べること。
恐怖でおびえた猿を見ながら、
スプーンで脳みそをすくって食べるらしい。
怖すぎる。

フランスのフォアグラ。
チューブで胃に蒸しトウモロコシを詰め込んで、
ガチョウの肝臓を20倍に肥大させる。
これもほとんど拷問のような方法である。

宅間守の異常な生涯。
猫焼き殺し、暴行、強姦、近親相姦の末の殺人事件だった。
しかも死刑を希望していたので犯人の望みが叶ったのである。
これは明白に脳の異常だと思う。精神病院の体制に問題がある。

"目には目を"は復讐を勧めているのではない。
"目には目を"とはそれ以上の復讐は禁止ということ。
ハンムラビ法典では、
死刑にしろと訴えて被告が死刑に相当しなければ、
原告が死刑になるらしい。
それでは訴えられないような……

終身刑は死刑の代わりになるか。
終身刑は死刑よりも残虐だとする人もいる。
終身刑者から死刑の嘆願がフランスであったらしい。

死刑を肯定する論法。
人に襲われたときに殺した場合、
正当防衛で無罪になることがある。
国家が代わって正当防衛したと考えれば死刑が肯定可能だという。

日本の自殺の問題点。
日本では自殺幇助は犯罪だが自殺は犯罪ではない。
自殺未遂者に罰則をという考え方もあるようだ。

世界の国の10万人当たり世界の自殺率で気になった国を挙げる。
リトアニア 44.7
ロシア 38.7
日本 24.1
フィンランド 21.0
韓国 14.5
中国 13.9
カナダ 11.7
アメリカ 10.4

フィンランドは教育大国として注目されるが意外に自殺率が高い。
閉塞した側面もあるようだ。

またアメリカの自殺率は日本の半分以下だ。
ちなみに10万人あたりの殺人事件数は、
日本 1.2
アメリカ 5.5

さて私は思うに、自殺は自分を殺す殺人である。
また自殺者のほとんどは鬱病が原因であり、
社会に殺されるということもできる。

だから自殺も殺人であることに変わりはない。すると、
日本の殺人率は 24.1+1.2=25.3
アメリカの殺人率は 10.4+5.5=15.9

日本人はアメリカ人より約1.6倍も人を殺すということがわかる。

・今日の三言
君がやったことを皆もやっていいと思うかい?
Is it right that everyone behaves what you did?
니가 한 일을 모두가 해도 좋다고 생각하는가?
你认为大家可以做跟你一样的事情吗?

手榴弾が投げ込まれたら一番近くにいる兵士が覆い被さって皆を助けるべし。
When a hand grenade is thrown, the nearest available soldier must throw himself over the grenade to help everyone.
수류탄이 떨어지면 제일 가까이에 있는 병사는 수류탄 위에 몸을 던져 모두를 살려야 한다.
假如手榴弹被投到,最近的士兵应该用自己的身体掩盖手榴弹,救大家。

日本人はアメリカ人より約1.6倍も人を殺す。
Japanese kills people about 1.6 times more frequently than Americans.
일본 사람은 미국 사람보다 약1.6배도 사람을 죽인다.
日本人杀人的比率是美国人的1.6倍。

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