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人口学への招待-少子・高齢化はどこまで解明されたか(中公新書) [本(世界事情]

『人口学への招待/河野稠果/中公新書/2007』
著者:人口学、社会学
評価:人口学研究とその歴史、人口増減の秘密を知る

日本人は長生きするようになったか?
70歳男子の余命は、1935年は7.6年、2005年は14.4年。
70歳女子の余命は、1935年は9.0年、2005年は18.9年。

実は老人が長生きするようになったのではなく、
子どもが死ななくなったのである。

かつて子どもは死にやすかった。
1921-26年の男子は、生まれて一年以内に16%死亡した。
5歳までに生きるのは76%で、成人するのは69%である。
そのため、江戸時代の人口維持には子どもは4人必要であったのだ。

エマニュエル・トッドの出生率分割線。
ヨーロッパを出生率で区分したもの。
すると、伝統的な家族志向の制度を維持し、
男女の役割分業が残る国ほど出生率が低いことがわかる。
出生率の高いのは、英、仏、ベネルクスと北欧。
これらの国の自由主義、個人主義、反権威主義、反全体主義が
出生率に関係するようである。
やはり女性の生きやすさが出生率の鍵を握るのだろう。

東アジアには、日本よりもさらに出生率が低い国がある。
韓国、シンガポール、台湾、香港である。
これらに共通するものは何か?
受験戦争である。
受験戦争による親の負担の大きさが子どもの数を減らしているのだ。
受験戦争に必要な費用が大きすぎ、
子どもを育てることを躊躇させるのである。

ここで大事なことは、学歴社会の圧力ではないことだ。
日本や韓国、シンガポール、台湾、香港などは、
実は欧米に比べれば学歴社会ではないのである。

・今日の一言
受験戦争による親の大きな負担が子どもの数を減らしている。
The large burden of parents in the struggle to pass entrance examinations is reducing the number of children.
수험 전쟁으로 인한 부모의 큰 부담이 아이들의 인원수를 줄이고 있다.
由应试战争的父母的负担减少着孩子的人数。

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コメント 2

Sanchai

読もうと思います。ご紹介ありがとうございました。
因みに、中国・上海の合計特殊出生率も1を下回っています。
by Sanchai (2007-11-28 06:35) 

Kay-akira_Hirota

なるほど。上海も受験が大変なのかもしれませんね。
by Kay-akira_Hirota (2007-11-29 00:34) 

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