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満州事変から日中戦争へ(岩波新書・シリーズ日本近現代史⑤) [本(日本史]

『満州事変から日中戦争へ/加藤陽子/岩波新書/2007』
著者:日本近代史
評価:事実を確実に追って戦争への道筋を知る。良書。

日本は第一次大戦で儲けた。
第一次大戦開戦時に15億の債務国だったのが、
1918年には3億弱の債権国になったのだ。

国民党は必ずしも自由主義陣営とは言えない。
23年11月、国民党はロシア、ドイツ、中国の同盟を提案した。
資本主義の影響力と戦うと宣言したのだ。

満州事変は、相手国指導者の不在を衝いたもの。
事変前の兵力は10400人、東北軍は19万と戦力差が大きいのだ。

28年5月から12月。対中貿易額の2割がボイコットされていた。
日本の知識人は、
満州問題は、国際法を守らない中国の問題と認識していた。
日中戦争を討匪戦と考え報償と復仇を目指すとしたのだ。
結果、双方が相手国が国際不法行為を行ったと主張することとなる。

日本に対して非常に好意的だったリットン報告書。
しかし、時勢が変化したのに、
満蒙へに優先権があるとする日本の態度だけが変化しなかったという。

アメリカの恐慌の凄さ。
1933年の国民総生産は、1929年の三分の一になった。
そして四人に一人が失業者であった。

1936年ドイツの武器輸出の57.5%は中国だった。
日本はその1%以下である。
後の同盟を考えると意外な事実である。

後備兵率の高さが犯罪率の高さに直結する。
戦争犯罪の半数以上が後備兵によるものなのだ。
日中戦争では精鋭の職業軍人はソ連に備えて温存され、
投入されていないのだ。

上海戦の中国軍は70万いたが、19万が犠牲になった。
数は日本軍を圧倒しているのに、どうしてここまで弱いのか。
しかもこれで、ドイツから武器を導入した最精鋭の部隊らしい。
中国人は、世界で一番戦争に向かない民族と思う。

・今日の一言
日中両国ともに相手国が国際不法行為を行ったと主張した。
Japan and China insisted that the other country did international illegal acts.
일중 양국은 서로 상대국이 국제불법 행위를 한다고 주장했다.
中日两国都主张对方做国际非法行为。

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コメント 2

krause

この時代については、加藤陽子氏の本はとても参考になります。
by krause (2007-10-26 06:39) 

Kay-akira_Hirota

歴史背景と文脈を捉えて事実を把握することが何より大切ですよね。
by Kay-akira_Hirota (2007-10-27 00:07) 

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