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一寸法師 ほか5話(日本・中国・韓国の昔話集2) [本(言語学]

『一寸法師 ほか5話:日本・中国・韓国の昔話集2』
日中韓子ども童話交流事業実行委員会
国立オリンピック記念青少年総合センター(2004)


日中韓の代表的な昔話6話の日中韓訳。良書。

●一寸法師
大きくなったら、やけに格好いい美少年だったのね。

●木の鳥
まるでロールプレイングゲームのようなストーリー。

●ひきがえるの報恩
イラストのひきがえるが可愛い。
エンディングがとぼけていて楽しい。

●やまなしとり
長男と次男が阿呆過ぎ。

●高亮、水を取りもどす
韓国語の部分を写して、スペルチェックのため自動翻訳にかけたら、

 永楽帝 ⇒ まったく楽しみ皇帝
 劉伯温 ⇒ ユベゴン

と出てきた。永楽帝がこんな陽気な皇帝だとは。
劉基/劉伯温は、まるで怪獣みたいだ。
まあ韓国語読みそのままなんだけど。
永楽帝と劉伯温は時代が少し違うけど、民話らしい適当さである。

●むすこを埋めようとした孝行者のはなし
子どもがまるまると太っているのを、
"ひきがえる"のように太ってという。
韓国では、動物に対する親しみが高いのかもしれない。


『天人女房 ほか5話-日本・中国・韓国の昔話集1』
日中韓子ども童話交流事業実行委員会
国立オリンピック記念青少年総合センター(2004)


の、後半の話も面白い。

かねのくさり(日本)
熊ばあさん(中国)
お日様とお月様になったきょうだい(韓国)

人喰いがお母さんに化けて子どもを襲う話。
3つとも、赤頭巾ちゃんの東洋バージョンです。
お母さんだけでなく、妹や赤ちゃんも喰われ、
お前も食えとその切れ端を渡される、ホラーなお話です。

この3つの比較で特徴的なのはやはり中国です。
日本と韓国は、
天からロープが下りてきてそれにつかまって助かるのですが、
中国だけは、
子ども、しかも女の子が直接対決して倒してしまうのです。
何でも自己責任、最後に頼れるのは自分だけというのはまさに中国。
中国大陸には天の助けなどないのです!

韓国の言葉の理屈好きも面白い。

"お日様とお月様になったきょうだい"では、
お母さんが虎に襲われるとき、
お餅一つくれたら助けてやるといい、
無くなると腕一本脚一本と要求されて、ついには食べられてしまいます。

また"天女と木こり"では、子ども4人つくれば、
背に負って一人、両手に一人ずつで計3人までは天に連れて帰られるが、
4人だと無理なので天に帰れないとなっています。

議論好きの韓国人の感覚が、言語における筋を重んじるのでしょう。

さらにこのシリーズはもう一冊ある。


『さるとかえるのもちころがし ほか10話:日本・中国・韓国の昔話集3』
日中韓子ども童話交流事業実行委員会
国立オリンピック記念青少年総合センター(2004)



・今日の一言
一寸法師とまったく楽しみ皇帝の放浪記が読みたい。
I'd like to read the wandering tale of the Inch-High Samurai and the Completely Joyful Emperor.
한치동이와 전혀 즐거운 황제의 방랑기가 읽고 싶다.
我很想看一寸法师和完全快乐皇帝的流浪记。

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