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国際協力の現場から-開発にたずさわる若き専門家たち(岩波ジュニア新書) [本(世界事情]

『国際協力の現場から』
山本一巳(発展途上国経済論、アジア経済論)
岩波ジュニア新書(2007)


志を持って世界で活躍する人たちを知る良書。

アジア経済研究所開発スクール・イデアスの卒業生たちが筆者。

貧しさと不平等の違い。
携帯電話を持ちフリースを着るケニアのお手伝いさん。
何も持たないバングラディッシュの貧民。
ところが一人当たり所得は、
バングラディッシュ440ドル、ケニア460ドルとほとんど同じ。
さらに購買力平価に換算すると、
バングラディッシュ1980ドル、ケニア1050ドルと逆転してしまう。
ケニアは貧しく"とも"平等だが、
バングラディッシュは貧しい"上に"不平等なのだ。

人権の守られない国。
バングラディッシュの売買される娼婦たち。
両腕に烙印が押されている。
これが未だ現代の話。

バングラディッシュの小学校卒業率はわずか6割。
そんな中で、給与が十分でなくとも教師は努力する。
子どもの成長生き生きと学習する子どもの姿、
そのものが教師という仕事の報酬であるという。
日本の教育も、この精神で長時間労働をこなしているのだと思う。

子ども権利条約を批准しない国。
アメリカとソマリア。
なぜこの二ヵ国なのか気になるところ。

エイズが猛威をふるうアフリカ。
成人HIV感染率、レソト23.2%、スワジランド33.4%。

エイズ教育として教える"HIV予防のABCD"
Abstinence,Being faithful,Condom use,or Die
禁欲、貞節、コンドーム使用、さもなくば死ぬ。

援助プロジェクトの持続可能性の問題。
援助プロジェクトは援助終了とともに無に帰すことがある。
それはオーナーシップの欠如のため。
途上国側に決定させて、自分のものという認識を与える必要があるのだ。

『民主主義の逆説』
シャンタル・ムフ(政治理論)
以文社(2006)


典型的な議論論文なので議論の流れがわからないと難解。

民主主義政体において対立と衝突は、
不完全性を示すのではなく民主主義が生きている証拠。
民主主義とは静的なものではなく動き続けるものなのだ。

カール・シュミット
代表制の原理の自由主義と、
同質性の原理の民主主義とは両立不可能という。

自由主義は人類の自由を、民主主義は人民の平等を求める。
自由主義と民主主義は矛盾するものだ。
自由民主党って、名前がまさに矛盾そのものの存在だな。

民主主義の論理は人民とそのその外部の線引きをともなう。
どこまでがその国の人民なのかが問題だ。

ムフは闘技的複数主義の民主主義を提示し、
ギデンズらの第三の道を批判している。

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