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戦争の日本近現代史-東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで(講談社現代新書) [本(歴史]

『戦争の日本近現代史/加藤陽子/講談社現代新書/2002』
著者:日本近代史
評価:戦争を選択する国民と為政者の論理を知る・良書

なぜ戦争しなければならないと為政者や国民が考えるようになったのか。
戦争の論理を解き明かす良書である。

このサブタイトルは紛らわしい。
てっきり受験勉強用の高校生向けの本と思って、スルーしていた。
"戦争の論理を解く歴史学"ぐらいが正しいと思う。

歴史学とは人々の認識の変化を捉える学問という。
歴史の中で人々の心の変化を知るのが歴史学である。

戦前まで戦争で戦争を語るのが日常的だったという。
日露戦争を日清戦争で語るなど、戦争が連鎖しているのだ。
このあたり、戦争の連鎖が途切れた日本人には理解しにくいが、
アメリカ人なら、イラク戦争を湾岸戦争で語り、
湾岸戦争をベトナム戦争で語り、
ベトナム戦争を朝鮮戦争で語り、
朝鮮戦争を第二次大戦で語るのは当然のことと理解するだろう。

明治憲法の生みの親シュタインは、朝鮮が日本の利益線と明言した。
ロシアと日本の対決という構造の中で、
中国と朝鮮は舞台扱いされたわけ。

日清戦争時の人口は3938万人。
意外と少ない。

日露戦争を
"進んだ国日本と遅れた国ロシアとの戦争"と認識したレーニン。
ロシアは帝政で、日本より政治体制が遅れていたから。

マーク・ピーティー
日露戦争の頃の日本ほど戦略的思考に導かれ、
慎重な考察と広範な見解の一致した国はなかった。
司馬史観みたいだ。

日本の短期決戦論は非常識ではなかった。
短期決戦論はアメリカ海軍でも唱えられていたという。
軍艦を造るのに2年以上かかるかららしい。
新しい軍艦ができて、
訓練して使える頃には普通は戦争は終わっているものだから。
戦争は在庫一掃セールのように戦うのが常識なわけ。
湾岸戦争もイラク戦争もそうだ。

石原莞爾の考え。
日本から一厘も金を出させず、占領地の徴税物資で自活する。
戦争を以て戦争を養うという。
この方針では中国がどんな悲惨な状況になるか、
目に見えるというものだ。

不戦条約と中立法のため、
日中米ともに日中戦争を戦争と呼ばないことに利益を見出したという。
戦争を戦争と呼ばない謎は、こんなところにあったのである。

アメリカの在米日本資産凍結と対日石油禁輸はソ連に対する援護。
ドイツ側にソ連をつかせないため日本を敵に回したわけ。

・今日の一言
なぜ国民は戦争しなければならないと考えたのか?
Why did the people want to go to war?
왜 국민은 전쟁 해야 하다고 생각한 것인가?
为什么国民认为需要战争?

※091230追記:トライラインさま
コメントの意図が全く理解できません。写真など個人データが含まれるようなので公開を保留しています。前回も告知しましたが返事がありませんのでしたので前回分のコメントは消去しました。台湾の方で、日本語が苦手でしたら、中国語でコメントしていただいて構いません。

タグ:加藤陽子
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コメント 2

krause

加藤陽子の著作は何冊か読みましたが、どれも歴史学者としての正確な情報ときちんと自身の見解を述べているもので、とても満足しました。氏は、まだ47歳と若いのにも驚きました(私よりは年上ですが・・・)。
by krause (2007-10-08 08:10) 

Kay-akira_Hirota

氏の他の本も読むつもりです。いい仕事してますよね。
by Kay-akira_Hirota (2007-10-09 00:55) 

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