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金融NPO-新しいお金の流れをつくる(岩波新書) [本(日本の問題]

『金融NPO』
藤井良広(環境金融論、ジャーナリスト)
岩波新書(2007)


金融の新しい姿を知る。良書。

世界の裕福な1%の人。そのうちの27%は日本人だそうだ。
アメリカの比率を考えてもかなり多い。超大金持ちは少なくても、
小金持ちはけっこういるみたいだ。

NPOバンクは貸出金利は低利で、営利目的でない金融。
しかし、貸金業登録が必要で法律上はサラ金と同じという。
新しく別の法律が必要ということ。

有名なグラミン銀行。
5人一人の互助グループで、他の人も返済責任を持つ。
返済率は98.9%にも及ぶという。

芸能人の主催のものも。
ミスチルの桜井、坂本龍一、小林武史のアーチスト・パワー。
これは音楽関係に貸すのかな。

ホームレスの6割は多重債務が原因。東京では8割。
借金から家を追われることが多いようだ。

英米は金利に上限制限なし。年利100%以上もざらだ。
ちゃんと審査して返せる人にだけ貸せばこれでも問題ないわけ。

ある発展途上国では、窓口の銀行員の数倍の監視員がいた。
行員の不正監視のためという。
実に非効率だ。

自然エネルギー発電では風力が一番採算性が高いらしい。
オランダが有名だ。

金融だけでなく株式会社もある。
非営利株式会社NPC。
剰余金の分配をしない。
株式会社なのに営利ではないなんて、矛盾しているようだが、
ちゃんと成立するのが面白い。

『株式会社という病』
平川克美(リナックスカフェ社長)
NTT出版(2007)



市場原理主義批判書。論理力、読解力とも問題多し。

事故を回避するには、
事故が誰かのミスで起きたのではないと認めることという。

原因追及に否定的だ。
しかし、これは違うでしょう。
ミスを特定して普遍性を取り出すことに意味があるんですよ。

百通りの原因が挙げられても原因が百というわけではないという。
そうじゃなくて、原因には強弱があるということです。

原因を明らかにして取り除けば事故がなくなるというのは絶望的だと、
現実が証明しているという。

全然、逆でしょう。
現実はそれができることを証明しています。
ただ事故は一つ一つ別であるから、
同じ事故は防げても違う事故は防げないだけです。
事故は一つ一つ減らすことしかできないんです。
そうした一つ一つの努力の積み重ねが少しずつ安全へと向かうのですよ。
これを否定するのはむしろ、
何か一挙に変化するような奇跡の対策を夢みているだけです。

自己責任とはイラクで捕虜になった人に使うのでなく、
株で損した人へ向けるべきという。
株を買うのは株主のリスク。
働かずに利益が得られるのはそのリスクのためという。

これはその通り。働かずというか、
そのリスクを見極めるための働きに対して利益があるんです。
だからその働きに失敗すれば損するのは当然なんですよね。

この本には、ベストセラー批判があるが内容がひどい。
本を読まずに、あるいは理解できずに批判するのはよくないことだ。
たぶん仕事が忙しいので片手間で書いているのだろうが……
それにしてもねえ。

『ウェブ進化論』批判
情報はいくら集めても量の増大に過ぎない。
一生かかっても読み切れない情報に、
アクセス可能なことに意味があるのかという。

あのね。本を読んでよ。
この本では、グーグルなどのシステムが、
量を質に変えることを発明したという内容の本でしょう。
著者のこの本への質問は、その本が答えていることなのに。

ネットへの忌避と思考停止は何も生まないというが、
それこそ思考停止という。
そういうこの著者は、
ちっとも思考停止ではないので、元の批判と全くかみ合わない。
思考停止というのは、そこで考えるのを止めることで、
批判する人は思考停止には入りませんよ。

『国家の品格』批判
日本文化を褒め、ヨーロッパを遅れた地域と呼ぶことを、
ヨーロッパ文化への誹謗とし、ルネッサンス文化を知らないのかという。

……自分でこの本の内容を引用してるのに気づかないんですか。
"5世紀から15世紀のヨーロッパ"と引用しているでしょう?
15世紀までということは、ルネッサンス文化までという意味でしょう。
「ルネッサンス文化までヨーロッパは文化の遅れた地域だ」
「ヨーロッパ文化への誹謗だ。ルネッサンス文化を忘れている!」
……会話がバカ過ぎます。

『とてつもない日本』
麻生太郎(衆議院議員、オリンピッククレー射撃日本代表)
新潮新書(2007)


政治家の知識不足がよくわかる。

カローシなど働き過ぎというのは自虐的だ。
ノーキなど時間を守る勤勉さは素晴らしいことという。
変です。この二つは関連がないでしょう。
ドイツ人は時間を守るが働き過ぎではありません。

日本人は過去を総括して経験を隣人に説かなければならない。
総括は恥ではないという。
これは同感。過去の反省や責任は今の人の恥とは関係ないのだ。

日本経済のエネルギー効率は北米の2倍、アジア主要国の4倍という。
これは日本の素晴らしいところ……だけど、
90年以降急激に低下しています。
今はこんなに差がないですね。残念なことです。

ニートはスローライフだ。
ニートのペースで生きることを認めるべきという。
これは同感。
非競争的な人がスローライフを送ることを容認すべきなのだ。

ジダンやトッティが見ていたキャプテン翼。
イラクの自衛隊給水車にキャプテン翼のロゴマークがあったという。
アニメは人気がありますが、
制作工程のかなりの部分が既に韓国中国に流失しているので、
危ないですよ。

中学を義務教育から外してはどうか。
同じ教育では専門バカが増えるという。
これは逆ですよ!
自由化したら専門バカが増えるんですよ。
義務教育が長くて、
みなが共通の知識を持っているから専門バカが少なくて済むんです。

2500万人高齢者で痴呆や寝たきりは15%以下。
そう。高齢化といっても、その分元気なんだから本質的には問題がない。
ただ、年金など制度を修正するのが難しいだけです。

競争を奨励するサッチャー首相の言葉を再考すべきときという。
一体いつの時代の人ですか?
イギリスではそのサッチャー首相の考えから方向転換していますよ。

教育格差は格差感だといい、大学の話をする。
しかし、いま問題なのは初等教育や中等教育での格差で、
大学の格差ではないでしょう?

国家に命を捧げた人を靖国に祀るのに問題があるのかという。
捧げてない人や無駄に命を失わせた人まで祀るから問題なのです。

靖国は国営化せよ、招魂社の姿へ回帰させようという。
これはいいかもしれません。
ですが、純粋に戦場で命を落とした兵士だけを祀ることにして欲しいです。

私は、政治家のほとんどは志が高く、
いわれるような悪人はいないと思っている。
ただ、知識が不足しているし、頭がいいとは限らないだけだ。
人気投票であるから、政治家に必要な能力は、
何と言っても、人間的魅力と神経の太さと体力。
それ以外の能力は政治家にはもともと必要ない。
頭のいい人は確かにいるが、必要な知識を持てるほど暇な人もいない。
小泉純一郎は頭は良かったけど、必要な知識がなかった。
これは政治家を選び出すシステムに問題があるのだと思う。

『美しい国へ』は、
当たり障りのない表現が多く、ゴーストライターっぽかったけど、
この本の荒削りさは、自分で書いたという感じをさせる。

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