前頭葉は脳の社長さん？－意志決定とホムンクルス問題（講談社ブルーバックス）

『前頭葉は脳の社長さん？』
坂井克之（認知神経科学）
講談社ブルーバックス（2007）

前頭前野の役割分担と意識のしくみを知る。良書。

意志、道徳判断、動作記憶などがどこで行われているか。
このタイトルは、ビジネス書を意識したのだろうか？
内容とあまりかみ合ってないと思う。
本来の読者を遠ざけてしまったのではないだろうか？

8野と46野に空間位置情報の保持機能があり、頭頂葉と結合。
特定物体情報の保持、45野と47/12野、側頭葉と結合。

前頭前野と頭頂葉は信号をやりとりしながら空間情報を保持し、
前頭前野と側頭葉下部が特定の物体情報の保持する。

前頭前野と側頭葉の違い。
側頭葉細胞は最初見た図形に反応するが、次回から活動低下する。
前頭前野は活動を持続すること。

これらは２種のワーキングメモリ回路があるわけ。

意識とは神経細胞活動の戦いの様子を実況中継したようなもの。
意識とは自己観察なのである。

補足運動野に電流を流すと手を動かしたいという衝動を感じるという。
意志を外から作れるというのはなかなか恐ろしい。

写真の好悪判断。
ただ長く見た方でなく目を動かす実際の行動があって好みが強まる。
報酬価にもとづいた行動が自分の意思と感じられる。
意志が脳活動の結果として生まれるという話。

『眼と精神』
彦坂興秀（サルを使った大脳基底核の研究）
医学書院（2003）

大脳基底核研究を知る。

クロード・ベルナールの言葉
"私はただ一つのことについて誇ることができる。
それは私の無知ということである。"

何を知らないかを知ることは本当に難しいことだ。
けれども、何を知らないか知ることで、
知るべきことを知ることができる。大切なことである。

サルに報酬を与えて実験することはよくある話。
イギリスでは、人間相手の報酬実験があった。
何と16時間絶食させてからするらしい。
まあ、サルと同じような条件にはなるけど。

剣道を習っている子のチック。
木刀を振り下ろしたり大声を出す。習慣になった動作が出るわけ。

小脳脚を介してブローカ野と小脳前葉に連絡。
言語と小脳の関係の深さを物語るもの。

ダーウィンの描いた人間の表情がリアルなのに驚き。
絵がうまいのが羨ましいな。

『ヒトはいかにして知恵者となったのか』
ペーテル・ヤーデンフォシュ（認知科学、哲学）
研究社（2005）

話題が広すぎて散漫な印象。

アカゲザルのエゴンとの対話形式でわかりやすくなっている。

ヒトの特徴とは？
類人猿はビートを一定に打てない。
テンポを合わせる能力はヒトだけの特質。
リズム能力、リズムを作る能力はいまだヒト以外では発見されていない。
リズム能力は、脳の中の意識の再帰回路と関係している。
ヒトのみが脳に強い再帰回路を持っており、
その回路の循環を利用してリズムを作り出すからである。

ヒトは他の類人猿より多量に汗をかく。
人間は水から離れられない。
これはヒトがどこで誕生したかと関係あるのだろう。

因果関係の４つのレベル
1.自分の行為の予測
2.他者の行為の予測
3.他者の行為の原因理解
4.物理事象の原因理解

思考は常に自己を参照することから始まるのだ。

マルクハーン
中世まで"読む"とは音読を意味した。
アルファベットを獲得して言語の音声学構造と文法構造に気づいた。
文字が言語を教えたのである。

童話交流で日本人の子がどうしても韓国語の発音に困っていたが、
それは韓国語には子音だけで発音することがあるから。
子音はアルファベットがないと意識困難なのだ。
文字が世界を分析するのである。

・今日の一言
意識とは神経細胞活動の戦いの実況中継である。
Consciousness is the live coverage of the fight of neuronal activity.
의식은 신경 세포 활동의 싸움의 실황중계다.
意识是神经细胞活动的战斗的实况转播。

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