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これが正しい!英語学習法(ちくまプリマー新書) [本(英語学習]

『これが正しい!英語学習法/斉藤兆史/ちくまプリマー新書/2007』
著者:英文学
評価:正しくて大事なことと非論理的勘違いが混在

文法を気にしないとは、文法が気にならなくなるまで体で覚えること。
決して文法を学ばないことではない。

母語能力を超える外国語能力は有り得ない。
すなわち、国語能力が外国語能力に影響するのだ。

最初は日本語を使って英語を理解すること。
よく英語だけで勉強しろという人がいるが、
非効率きわまりない間違いである。
英語だけで勉強し考えるべきなのは上級者になってからなのだ。

著者は文章を写すことを勧める。
それは手書きすべきでタイプやワープロで写しては駄目という。
これは間違い。
苦労した方が覚えられるという典型的な認知不協和による錯覚である。
タイプでも、アルファベットを打つからスペルは覚えるし、
手書きより疲れないから長時間続けられ、
速いからたくさん練習できる。
すなわち、英語はキーボードで打って写すべきである。
日本語の漢字を覚えるのとは全く違うのだ。

和文英訳より自由作文を奨励するのは問題という。
日本人が英語で考えてもまともな英文は思い浮かばないからだ。
全く同感。
自由作文は、和文英訳を十分クリアしてからの学習法だ。

母語話者は、
正しい発音しか聞いたことがないから発音を間違えないという。
さらに、プロ棋士は本筋の手が目に浮かばないのは、
そういう手しか見たことがないし指したこともないからという。
これは間違い。
そういう手を一度指して訂正されたから、浮かばなくなったのである。
発音も、間違ったときに正しい発音と比較して修正するのである。

英語は楽しみながら自然に身につけるというが
そんな人は聞いたことがないという。
しかし楽しみながら自然に身につけたという人の本が
たくさんあるようですが?

英語が論理的で日本語が曖昧というのは全くの誤解という。
これはその通り。
翻訳すると必ず元の意味通りに表すことができない。
英語を日本語にすると意味の幅が広がってしまうのを勘違いして、
日本語は曖昧だと思っているに過ぎないのだ。

『英文法の論理/斉藤兆史/NHKブックス/2007』
著者:英文学
評価:英文読解による英語学習の勧め

ヤコブソンの選択軸/語彙と結合軸/構文。
語学とは、選択軸を広げ、結合軸を安定させることが重要だ。

チョムスキーの、文法規則は正しく意味のない言葉。
Colorless green ideas sleep furiously.
意味不明だが文法は正しい。文法規則の存在を明確化したもの。

物語の全知の語り手は常に全知の視点から語るわけではない。
小説における神の視点とは、個別の視点の集合である。

Japaneseは日本語の意味で、The Japaneseとすると日本人という。
ちょっと誤解を招くような気がする。
Japaneseでも日本人の意味になることはあるんだから。

『英語学習7つの誤解/大津由紀雄/生活人新書/2007』
著者:言語の認知科学
評価:微妙な勘違いあり

イメージによる理解ではonは理解できないという。
できます。元の本をちゃんと読むべきです。
そしてonは接触なら理解できるという。
接触はイメージより意味が広いだけである。
onが接触と言えても、接触がonとは言えないのだから無意味である。

イメージのコアと拡張は後付けの説明ではないかという。
間違い。コアと拡張の考えは言語構造の発展として正しいものである。
むしろ既存の英文法の体系こそ
後付けによるものだということを忘れている。

英語で考えるとは日本語を思い浮かべないこと、という。
そうじゃなくて日本語のかわりに英語を思い浮かべることです。

母語を対象にことばへの気づきを高めると外国語学習にも有効。
母語である日本語を分析的に見る訓練をするとよいのだ。

さてここまでの3冊は、
どれも正しさと間違いが入り交じった本ばかりである。
前にも書いたが、語学学習法がこれほど混乱しているのは、

・入門/初級と中級/上級の違い
・インプットとアウトプットの違い
を理解していないことに起因している。

多読や会話を実践を強調する人は、
自分たちが学校でしてきた学習を全く無駄と主張する。
しかしそれは実は、自分たちが既に上級になったため、
初級の学習が不要になっただけなのだ。

文法からの丁寧な学習を主張する人は、
会話では本当の語学力を獲得できないとする。
しかしそれは多くの学習者が初級でつまづく理由を忘れている。
学校英語はアウトプットが貧弱なため、
インプットだけになってしまい、学習効果が定着しないのだ。

文法派はインプットとアウトプットの違いを理解しておらず、
会話派は入門/初級と中級/上級の違いを理解していないのである。

『英語名言集/加島祥造/岩波ジュニア新書/1993』
著者:英文学、著述業
評価:英文学における名言

歴史上の名言とか、科学史の名言とか期待したんだけど……
私に感性がないせいか、どれも名言とは感じられませんでした。


・今日の一言
色のない緑の概念が猛烈に眠る。(チョムスキー)
Colorless green ideas sleep furiously. (Noam Chomsky)
색깔 없는 초록색 아이디어가 난폭하게 잠자고 있다.(노암 촘스키)
没有色彩的绿色念头睡得好猛。(艾弗拉姆·诺姆·乔姆斯)

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