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九十歳の省察-哲学的断想 [本(哲学思想]

『九十歳の省察/沢田允茂/岩波書店/2006』
著者:哲学、分析哲学、サイバネティクス
評価:哲学の本質から離れずに、死の直前までの探究を続けた書

私は自身の体の中にいるのではなく
生きる多くの人々の中にいると言わねばならないという。
自己とは自分を頂点としながらも、
その周囲の世界へと溶け込む存在である。
独立した個人というものは存在しないのだ。

哲学は個別科学の揺り籠。
認識論⇒認知科学
論理学⇒数学基礎論
哲学史⇒社会学と社会思想史
歴史哲学⇒歴史学と社会学
法哲学⇒法律基礎論
経済哲学⇒経済学
科学哲学⇒科学史と科学基礎論
言語哲学⇒言語学

と変化してきた。著者は、残るのは倫理学だけだという。
しかし私が思うに、
倫理学⇒心理学と社会生物学
となるのは避けられないだろう。

東西の言葉の違い。
宗教の漢字の語義は、神を祀る家の教え。
英語のreligionは一緒に結びつけるという意味。
religionと宗教は全く違う考えのものなのだ。

カント:宗教の本質は道徳的実践にあり
宗教の本質は行動することにあるのだ。
科学の本質が思索することにあるのと対照的である。

では哲学とは?
哲学は、そのときどきの歴史的状況の中で、
いろいろな現象をどのように説明し、
どのように関連づけるかという説明書と配置図を作ることで、
いかに生きるかという、行為の指令書の役割を果たすという。
できるだけ多くの現象と関連づけながら◯◯は△△だと説明すること。
これが哲学なのだ。
行為を展望しない哲学は不毛であると思う。

『権力の予期理論/宮台真司/勁草書房/1989』
著者:理論社会学者
評価:人間関係を権力形態により分類整理

権力を服従者の予期的了解の内部で記述する。予期理論的権力。
期待形成権力には、威嚇権力、報償権力、威嚇報償権力がある。
これらをマトリックスに描いていく。

権力は自由を要請し自由は権力を呼び寄せる。
自由と権力の関係は張り合わせた両面のような関係だ。

超越的審級とは道徳などのこと。

目に見える権力は氷山の一角。
隠れた権力を取り出すことは社会学の役割でもある。

ルーマンのコミュニケーション・メディア論
権力、愛、真理、貨幣などをコミュニケーションの媒介と考えるもの。
なかなか面白そうなのでいつか読もうと思う。

その他、
ウェーバーの類型論
パーソンズのシステム論
バーナードの権威受容説
なども面白そうだ。

・今日の一言
哲学は知識世界の地図を作り、我々の行き先を指し示す。(沢田允茂)
Philosophy makes a map of the knowledge world and shows our destination. (Nobushige Sawada)
철학은 지식세계의 지도를 만들고 우리들의 행선지를 지시한다. (사와다 노부시게)
哲学做出知识世界的地图,指示我们的目的地。(泽田允茂)

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