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新版 ごみから地球を考える(岩波ジュニア新書) [本(農業と環境]

『新版 ごみから地球を考える』
八太昭道(ごみのシンクタンク、発明工学)
岩波ジュニア新書(2006)


ゴミ問題の基本を知る。
でも少し変。

牛乳瓶は30回使えるので紙パックに換えるとゴミは30倍になるという。
これはいくら何でも変だ。
紙の軽さや収縮性や回収費用などを無視している。
牛乳瓶3本で1リットルぐらいとして30回なら、
1リットルの紙パックが10個分。
1リットルの紙パックが10個と牛乳瓶1本ならそう変わらない気がする。
それに牛乳瓶はその間9回余分に回収するんだし。
実際、リターナブル瓶の1リットル処理費用は2.3円。
紙パックは2.8円だそうで、けっこういい勝負していると思う。

ビール瓶は平均15回使う。
ビール瓶を同じ大きさのアルミ缶にするとゴミ容積は15倍になるという。
でも、アルミ缶はつぶせるでしょう?

中村氏の発明報酬が200億だったら理系離れが防げるという。
これはひどい。
効果などないし、むしろ他の人の意欲を奪うだろう。
そもそも中村氏の訴訟は、
発明報酬が安くても問題がないことを証明した事件
だ。
だって、中村氏は安い報酬で実際に発明したんだから。
報酬の高さで人間がそれほど動機づけられると思ったら大間違いである。

リサイクル状況。
スチール缶の85%は再び鉄となる。
素材原料のゴミ比率。
鉄25%、アルミ50%、ガラス60%、
ビン90%、新聞50%、ダンボール90%
けっこうリサイクルできている感じだ。

リサイクルの問題点。
家電リサイクル会社は家電メーカーが集まって作った会社。
2社しかなく競争原理なし、また法律で利益を禁止されている。
このあたりには改善の余地があるようだ。

行うべき政策は二つ。拡大生産者責任炭素税

・すべての商品に拡大生産者責任を適用
EUでは消費者が捨てるとそのときから生産者の責任だ。
容器包装の量は日本よりずっと少ないのもそのためらしい。
消費者がゴミを出すのが生産者の責任になるため、
メーカーがゴミにならない商品を工夫するようになるからだ。
著者はまた、拡大生産者責任はメーカーのビジネスチャンスだという。
ヨーロッパがその基準を採用しているから、
同じ条件にしないと、世界での販売に不利になるのだ。

以前のエントリーの本
『環境問題はなぜウソがまかり通るのか/武田邦彦/洋泉社/2007』
で、リサイクルを始めたらペットボトルが増えたといっているが、
拡大生産者責任が採用されていないのが、問題なのだと思う。

・炭素税の導入
環境省によると、
京都議定書はGDP比0.23%の炭素税で達成できるらしい。
やっぱり炭素税が効果的だ。
誤解されやすいが、炭素税は税金を取るのが目的ではない。
二酸化炭素を多く排出する製品を高くすることで、
環境に負荷のない製品が競争に有利になり、
売れるようにするのがその効果である。
だから、炭素税を導入したら、環境技術のない企業が損をするわけ。
そして、日本の環境技術は世界トップクラスなので、
炭素税が高ければ高いほど日本企業は有利になるのだ。
だから、炭素税に反対する日本企業は、
はっきりいってただの馬鹿である。

『環境経済学』
細田衛士・横山彰(環境経済学)
有斐閣アルマ(2007)


教科書。

飲料容器の1リットル当たりの処理費用(円)があった。
アルミ缶 10.2
スチール缶 17.0
リターナブル瓶 2.3
ワンウェイ瓶 46.2
紙パック 2.8
PRTボトル 6.1

・今日の一言
GDP比0.23%の炭素税で京都議定書を達成できる。(環境省)
GDP비 0.23% 탄소세로 교토의정서를 달성할 수 있다. (환경성)
实行GDP比0.23%的碳税就能成就京都协议。(环境省)
The Kyoto Protocol can be achieved by carbon-emissions tax equivalent to 0.23% of GDP. (Ministry of the Environment)

タグ:八太昭道
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