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リンカーン:南北分裂の危機に生きて(清水新書) [本(人物伝記]

『リンカーン:南北分裂の危機に生きて』
井出義光(アメリカ史、アメリカ南部史)
清水新書(1984)


南北戦争中心にリンカーンを知る。良書。

微笑ましいエピソード。
リンカーンに髭を生やすように勧めた少女・グレース=ベデル。
選挙運動中に彼女を見つけて頬にキスした。

ちょっと感動の言葉。
リンカーンが弁護士から代議士になって事務所を去ると、
弁護士時代の同僚ハーンドンに、
「看板はそのままにしておこう、
生きて帰ったらまた法律の仕事をしよう」
と言って、事務所の看板はずっと
「Lincoln-Herndon Law Office」
のままだった。
もちろん、リンカーンの言葉は実現しなかった。

アメリカ人が持つ共通の信念。
アメリカは独自の価値を持つ素晴らしい国。
ヨーロッパと対比する形で、自国に誇りを持っているらしい。
自由、平等、幸福の追求というのがアメリカ・デモクラシー。

奴隷解放運動の大きな力となった、
ストウ夫人の『アンクル・トムの小屋』
リンカーンが夫人に会ったときの言葉は、
"あなたがこの大戦争をひきおこした本を書かれた小さいご婦人ですね"
という冗談だった。ちょっときつい気もする。
リンカーンの冗談は笑えるものより、
わけのわからないものが多い感じだ。

南北戦争では、もともと南北の国力が違っていた。
人口は、北部23州2200万、南部11州900万でその内に黒人奴隷350万。
北部は工場の80%を占め、銀行預金も3倍あった。

リンカーンの夫人はどうも評判が悪いらしい。
南部出身なので南部連合のスパイの噂も流され、
そのたびにリンカーンがかばっていた。

大統領の任期の最初から戦後の再建策を念頭に置いていた。
このあたりも、光武帝との共通点と思う。
最初から、終わりに向けての構想を持っていたということ。

『荻生徂徠』
野口武彦(日本文学、日本思想)
中公新書(1993)


江戸の人気者の変人儒者の話。

講談、落語、浪花節の主人公にもなり吉宗に政策を具申もした有名人。
古今の人物の悪口をいうのが唯一の趣味とのこと。

漢文は、中国語発音で読む。
これは私の考えも同じ。
書き下し文ってどうも本当に理解したように感じられないんだよね。

書を読むは書を看るに如かず。
漢文を速読をするそうです。

老子化胡説=老子がインドに行って仏陀になったという説。
後漢書の襄楷伝が出典らしい。
すると、後漢では老子=仏陀説がある程度広まっていたということか。

『明末の文人 李卓吾』
劉岸偉(比較文学、比較文化)
中公新書(1994)


明末の過激な変人儒者の話。

後期倭寇の大半は中国人。
略奪や密売買から中継貿易に移行。
中国の物産を異国へ運び品物を仕入れると利益は十倍になるという。
明太祖の"ひときれの板も海に浮かべてはならぬ"の影響らしい。
裏産業は、需要を無視する法律により生まれるものだ。

明への朝貢では、国内の費用はすべて中国もちで、
相当な見返りの商品を渡した上に関税も免除だった。

『天才たちは10代、20代に何をしたか』
芹沢俊介(教育評論家)
中経出版(2002)


何をしたかただ記述したもの。

理想主義の欠けたリンカーン。
破滅的側面のない、優柔不断な現実主義者だったらしい。
光武帝劉秀そっくりではないか。
しかも奴隷解放と人権という共通要素もある。


・今日の一言
あなたがこの大戦争をひきおこした本を書かれた小さいご婦人ですね。(リンカン)
So you're the little woman who wrote the book that started this Great War!(Lincoln)
부인이 바로 이 큰 전쟁을 일으킨 작은 여성이라는 말입니까?(링컨)
这就是引起大战争的女士小姐呀!(林肯)

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