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動物たちのゆたかな心(学術選書022 心の宇宙) [本(生物学]

『動物たちのゆたかな心』
藤田和生(比較認知科学)
京都大学学術出版会(2007)


動物の知覚世界と知力を知る。良書。

類人猿を類人と呼ぶことを提唱している。
チンパンジーやゴリラは、サルよりヒトに近いからである。
サルとチンパンジーは全然違うんですよ、みなさん。

色覚は動物ごとさまざま。
イヌやネコは二色だが、
アゲハチョウやモンシロチョウは五色の赤、緑、青、紫、紫外。
ミツバチは緑、青、紫外の三色。
こればっかりは想像困難な世界である。

ハトのエビングハウス錯視。大きさがヒトと逆に錯覚するという。
非常に不思議な結果だ。何でだろう?

アリの経路統合。
自身の移動した経路を合算して常に巣の方向のベクトルを保持する。
ジャイロスコープみたいですね。

アリのスナップ写真能力。
目標を訪れて離れるとき、何度か振り返って静止する。
そのとき、その視野の画像を写真のように記憶するらしい。
それを後に網膜像に重ねて位置確認するという。
アリって携帯電話みたいだ。

ヒトはヒトの顔は区別できるがチンパンジーの区別は難しい。
チンパンジーはチンパンジー同士の顔が識別しやすいが、
ヒトの顔の区別は苦手。
当然と言えば当然だけど。

カミンスキーのイヌのリコ。
前に物体を並べる。一つだけは名前を知らない物体。
"それ"を取って来てと言うと、知らない物体を取ってくる。
名前がついているのは違うとわかるわけ。

シュワルツのゴリラのキング。
ヒトがけつまづくと、不幸を喜ぶような表情をするらしい。
嫌なゴリラだなあ……
もしすかすると、吉本新喜劇を見せたら大喜びだったりして。

『言葉を使うサル』
ロビンズ・バーリング(言語人類学)
青土社(2007)


言語の起源と進化を考える。

言語を学ぶ5つの前提とは?
・概念理解の共有
・共同注意
・模倣能力
・指さしと身ぶりの理解
・言語の反復パターン
この5つがあるから知らない言葉も学ぶことができるのだ。

音楽が言語の始まりを助けたと考えた、
チャールズ・ダーウィンとオットー・イェスペルセン。
まず音楽=歌から言語へと進化するというのは面白い考えだ。

自動詞と他動詞の違いとは因果関係の問題。
原因が主語になるのが他動詞というわけ。

人間が理論や仮説を立てるのは言語を学習するためかもしれない。
仮説と検証のサイクルが言語学習にも有効なのかも。

・今日の一言
アゲハチョウの五原色は赤、緑、青、紫、紫外線である。
The five primary colors of swallowtail are red, green, blue, purple and ultraviolet.
호랑나비의 오원색은 빨강, 녹색, 청색, 자색, 자외선이다.
凤蝶的五原色是红色、绿色、蓝色、紫色和紫外线。

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コメント 2

ノース

一風変わった脳内構造のホームページがあるのですが、気分転換にでも、いかがでしょうか?
by ノース (2007-07-29 19:09) 

Kay-akira_Hirota

 イラストがいいですね。私も脳と心を扱ったHPや著書がありますが、絵がないので面白くないです。単細胞生物から人間までの、神経細胞と生物行動の進化を追うことで心を解くというスタンスで書いています。もしよろしければ参考にどうぞ。
by Kay-akira_Hirota (2007-07-29 20:30) 

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