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フランス7つの謎(文春新書) [本(哲学思想]

『フランス7つの謎/小田中直樹/文春新書/2005』
著者:フランス社会経済史
評価:学問への誠実さが伝わる良書・とにかく平易に書かれている

フランスのお役所仕事はすごい。
著者は滞在許可証を受け取るのに7ヵ月もかかったのである。
1年滞在なのに、何のための許可証なんだろ。

フランスと日本の対比
宗教は政治に口を出さないフランス⇔政治は宗教に口を出さない日本
不寛容と対等性のフランス⇔不干渉と差別の日本
同じ政教分離という言葉でも意味が違うらしい。

網野善彦史観
東日本は落葉広葉樹林、シベリアと交流し、タテ社会。
西日本は照葉樹林、朝鮮半島と交流、ヨコ社会であり、
統一は豊臣秀吉の登場によるという。
江戸時代以前には、日本の文化的統一というのはまだなかったのだ。

フランス語
コンピュータはオルディナトゥール
ソフトウエアはロジシエルという。
独自の言葉を作るらしい。
このあたりは中国語にも似ている。
中国語も外来語をそのまま入れるのを嫌う。
コンピュータは電脳(でぃえんなお)、
ソフトウェアは軟件(るあんじえん)である。

グランド・ゼコールの在校生には給与が支給されるという。
学費がただどころか、給与まで出るのに驚き。

岩波ジュニア新書みたいな易しい口調に、
読書案内までつく丁寧な本である。
小田中直樹[本業以外]ネタ帳
ブログでもいい人オーラと誠実さが出まくってます。

『日本の個人主義/小田中直樹/ちくま新書/2006』
著者:フランス社会経済史
評価:大塚久雄の説を参照して個人の自律を考える

大塚久雄と個人の自律とそれを称揚する個人主義の問題点。
自律を強制するという矛盾をどう乗り越えるか。
教育の強制とその後の自律ということなんだろうけども。

言語と対象の恣意性。
計算のプログラムが特定できるなら
言語と対象は恣意的な関係ではないという。
恣意的の意味が違うのではないだろうか。
言語の恣意性は普通、対象にどんな音声を当て嵌めるかは、
法則がなく恣意的という意味だと思う。
対象と計算プログラムの関係は恣意的ではないが、
計算プログラムと音声の関係は社会により恣意的なはず。
現代思想ではおかしな意味で使うのかもしれないな。

イギリスの農業:土地生産性は低いが労働生産性は高い
日本の農業:土地生産性は高いが労働生産性は低い
この農業の東西対比はしばしば聞くが、
科学的定量的に分析したデータはあるのだろうか、気になるところ。

オルテガの大衆とは、
独自の思想を持たず他者に追随するが
何かあると自分の権利だけは主張するもの。
日本では、大衆というより、マスコミな気がするな。
日本の大衆は権利すら主張してないようだ。

『人間の安全保障/アマルティア・セン/集英社新書/2006』
著者:インドの経済学者
評価:興味深い問題提起だが、翻訳は読みにくく、内容も非論理的

テーマ自体は大切だと思うし、いいこともたくさん書いてるけど、
誰か日本人がわかりやすく書いて欲しいと思ったりする。

1913年の日本の本の出版点数は、
イギリスより多く、アメリカの2倍だった。
日本の出版文化は昔からのものである。

グローバル化は西洋のものか。
紙や火薬は東洋からグローバル化により世界に広まったという。
それは、グローバル化とは言いません!!!
文化伝播は人類発祥からずっとあります。
グローバル化とは、全地球の同時性の問題です。
マクドナルドやハリウッドが世界中に進出し、
全世界で同時に作用することです。
紙や火薬の文化伝播とは全く別物です。

古代ギリシャ人はヨーロッパ人であるゴート人より、
エジプト人、イラン人、インド人と交流したという。
その通り。ギリシャ文明は西欧文明ではないです。ホントに。

聖徳太子の十七条憲法
独断せず議論すること、
人が違うことを受け入れること
などがある。意外にリベラルなのだ。

中国はインドより平均寿命が高い。
しかし、インドのケララ州は中国より平均寿命が高い。
インドのケララ州は公共の論理が民主制で守られているからという。
……あのねー。
部分を取り出せば高くなるのは当然だろ。
何で中国は全体で、インドから一州を選ぶのかね?
逆にして、中国で一番寿命の長い省を一つ選んで、インドと比較すれば、
共産党独裁が平均寿命を延ばすことになっちゃうぞ。

人権の概念とは
ある人の自由が、別の人の自由によって、
どんな場合に制限されるのを見極める倫理。
法的規制されるべき行動を決定する。

ブッダの指摘
人間は他の生物より能力があるのでその力の不均衡により、
自分より弱いものに責任を負う。
これは重要なことである。
責任とは、その能力に付与されるものである。
ただ力が大きいというだけで責任を背負うのである。
本人の意思は関係がないということを知っておくべきだ。
首相や、企業のトップの発言が、
一般人の発言と同じだけの自由を持たないのもそのためである。

『肉食の思想/鯖田豊之/中公新書/1966』
著者:西洋中世史
評価:日本と西欧の違いを知る

日本の五公五民、六公四民などの税金は、
水田の異常な生産力の高さなくては不可能だ。
中国史では、十分の一税とか三十分の一税なので、
日本の税率には違和感があったが、
それも水田の力だったわけか……

肉食率が高い西欧では人間と動物の違いを強調する必要がある。
それがキリスト教の人間の強調へとつながるわけだ。

・今日の一言
権力には常に責任がともなう。
Authority must be accompanied by accountability.
큰힘에는 큰 책임이 따른다.
权力伴随责任。

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