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教育力(岩波新書) [本(教育]

『教育力』
斉藤孝(教育学、身体論)
岩波新書(2007)


教育者が身につけるべき能力を知る良書。

先生が生徒とともに変化すると場が盛り上がる。
生徒を変化させるだけでなく、自分も変化するのである。
教師が学ぶことをやめると教育力が落ちる。
教師が新しい知識を求めようとする意欲を持つと、
子どもにそれが伝わる。すると、子どももよく学ぶわけ。

天才とは自分自身が自分の先生になれる人。
よい先生がいなくても学べるのが天才。
普通の人に必要なのがよい先生。

ストップウォッチを持たずに授業するのは犯罪だ。
他人の時間を大切にせよという。
こうした時間感覚というのは大切だと思う。
人生は意外に短い。日本人でもだいたい三万日程度だ。
一日一日を大切にしたいものだ。

テストは子どもの力量差でなく教師の力量を見るものだ。
テストを否定する教師は、
実は自分の無能さが暴露されるのを恐れているという。
学校や地域の学力差をまるで差別の元のようにいう人がいるが、
実際は、先生が自分たちにかかる圧力を回避しているだけなのだ。

小栗監督の映画に客が入らなくなった。
映画の観客の質の低下という。
これは間違い。単に時代が変化しただけである。
時代ごとに求められるものが違うだけだ。
映画は特に近年人気がある。
基礎的な見る人が増えたのにレベルが下がるはずもない。

道徳は時代により変化するもの。
昔は良かったとは、昔と今の道徳が違うために生じる感覚である。
新しい道徳が生まれた分だけ古い道徳が消え去る。
新しい道徳を受け入れられない人間には、
古い道徳が失われた分だけ、今の人間には道徳がないと感じるのである。

教師は言葉の力を信じること。すなわち体罰しないこと。
言葉を磨くことは教師の最も重要なことと思う。

教育者の資質。相手の変化を待てること。
つい、すぐにも相手の変化を促そうとするが、
消化する時間を待つことも必要なのである。

何でも口を挟む子どもがいる。これは先生に甘えたいということ。
甘えとは、相手との距離を測る行動であり、
交流が初期の段階で起こる。
だから甘えたい段階の子どもを見分け、
その子には以前との比較を見てあげるようにするがよいようだ。

授業の作業をゲーム化し、楽しく学ぶ。
これは目標を細かくするということでもある。
小さく点数をつけることで、小さな目に見える目標を消化する。
すると、生徒は自分の学習成果を感じ取ることができ、
よく学べるわけである。

先生は息を長く吐けなければならない。
言葉のための呼吸を調整できるべきという。
また相手と言葉が重なってしまう人は、呼吸センスが悪いらしい。
このあたりの身体論は斉藤氏の得意分野で興味深い。
斉藤氏は3秒吸って2秒止めて15秒吐くという訓練をしているという。
これは是非、私も練習してみようと思う。

・今日の一言
テストは先生の能力を見るためにある。
Exams are conducted to check the skills of the teacher.
시험은 선생님의 능력을 보기 위해서 한다.
为了调查老师的能力,进行考试。

タグ:斉藤孝
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