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中国古代軍事思想史の研究 [本(東洋史]

『中国古代軍事思想史の研究/湯浅邦弘/研文出版/1999』
著者:中国哲学
評価:漢代までの兵書の思想変遷を知る良書

中国史で始めて歩兵部隊を創設したのは晋の重耳
"三行"と呼ばれる部隊がそれである。

春秋時代の兵書『軍志』
『三略』に出る『軍讖』や『軍勢』と似たタイトルだ。
『軍讖』『軍勢』も古い本なのだろうか?

『孫子』は将軍の過剰な廉潔さと慈愛を戒める。
『三略』も同じ記載がある。将軍の適性は、臨機応変である。

兵法の系統の三分類
徳の尊重し、平時から軍事を導くのが、『孟子』『荀子』『三略』
軍法を平時に適用するのが『商鞅』『孫子』『尉繚子』
平時と戦時をはっきり峻別するのが、『司馬法』

『三略』は礼を尊び禄を重くする、爵財礼義の重視の用兵。
『孫子』や『尉繚子』は文、武、威、愛を述べるが
『三略』はその文と愛に重点があるのだ。
また『三略』は君主だけでなく家臣にも徳と威を求める。
平時の文と愛の原理を軍事に適用するが『三略』である。
その兵法は『孟子』や『荀子』の系列にあるという。

『三略』は君主を読者対象とした政治論、
漢代の中国的文武観の成立と儒教の国教化の密接に関係するという。
こうなるとやはり光武帝編著説がますます強まる。
読者が君主すなわち、漢の皇帝なのであるから。
もし臣下が漢の皇帝に自分の書を読ませたいのなら、
その内容を問答形式にするだろう。
伝説の聖王と軍師の問答にするはずだ。
今の皇帝より偉い人の言葉とすることで、
皇帝に読ませることができるのだ。
権威付けもないものを皇帝に読ませることがどうしてできよう。
臣下の分際で、『三略』のように、
ただ皇帝はこうあるべきと書いた本を、漢の皇帝に提出できるだろうか?
不遜きわまりない自殺行為ではないか。
有り得る可能性は一つ。
『三略』は、建国の皇帝が後に続く皇帝に書き残したということだ。

秦律の詳細さ
耕作地の雨量に留意し、
春2月の材木伐採の禁止や動植物の狩猟採取の解禁期がある。
牛や羊の最低出生率も明示され、工人たちは賞罰でノルマ達成を促される。
徹底的した競争社会である。
平和な日常すら戦場であるのが、秦という国なのである。

『周易参同契/魏伯陽/明徳出版/1977』
著者:後漢時代の錬丹術家
評価:1900年前の錬丹術書・妖しい想像が出来て楽しい

儒道同源、儒道一理の思想、周易先天の学。
易象をおしひろめて丹道運火の法を説く本。

『火記六百篇』は練丹の火を運らす法を述べたもので、
周易の六十四卦のことという。
ゾロアスター教の聖典説には否定的だ。

陽燧とは凹レンズのこと。火珠あるいは火方諸ともいう。
太陽から火を取る器である。凹レンズで火をつけるわけ。
方諸とは、月から水を取る鏡らしい。
これは朝露でも集めるのかな?

言葉一つ一つに隠された意味がある。
周易参同契の参は三、同は通、契は合で、
それは周易と黄老と炉火が通じて道に合するの意という。
また面白いのは、本文の委時去害……以下の部分が、
魏伯陽という著者名の三字の隠語なのである。

・今日の一言
およそ2000年前の錬丹術書も原文で読むことができる。
We can read the book of alchemy about 2000 years ago in the original.
약 2000년전 연단술서(煉丹術書)도 원문대로 읽을 수 있다.
大约两千年前的炼丹理论书也会直接看其原文。(?)

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