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いじめと現代社会 [本(教育]

『いじめと現代社会』
内藤朝雄(社会学者)
双風舎(2007)


教育制度と社会構造とその変革の方法を考える。

学校暴力への法の介入と
学級制度の廃止を提唱する。
いじめ対策として有効であるが、
失われるものがあるようにも思える。
たとえば教育の自立性が失われ
国家管理が強まる可能性など。
これら得失の比較が難しい。

親が教育に熱心になると親でなくなるという。
これは親が教師になれば、家庭までが学校となってしまい、
安全地帯としての家庭が失われてしまうということだろう。
家庭を競争の場にしないということだ。
教育に熱心も、その内容が問題であると思う。

マスコミが主観的不安社会をつくっている。
これは事実である。日本は犯罪は増えておらず、
今も世界で一番安全な国である。

内藤先生とは呼ばないでといい、内藤さんと呼ばれているらしい。
私はあまりいいと思わない。無責任さの現れいう気がする。

人間というのは平等な能力を持ってはいない。
能力があるものが、能力のないものを助けなければ社会は成立しない。
先生とは、ある能力において優れていることを示す言葉であり、
先生と呼ぶのは、その能力を評価しての発言である。
先生と呼ばれることを敢えて拒否するのは、
自分が人に頼られてその期待に応えられなかったときに、
責任を負うのを避ける行為である。

親が子どもに自分の名前を呼ばせる友達親子というのも同じ心理である。
これも親としての責任を回避するための手抜きであり、
身勝手な心理による行為に過ぎない。

専門家はその専門において先生と呼ばれることを避けてはならない。
親は親として子どもの上に立つことを恐れてはならない。
人より何かを先に進むことができた人が先生である。
そして、先に進んだ者が、後の人を導くのは義務であると思う。

憲法に日本の文化と伝統を入れてはならないという。
まあ確かに必要はないと思うが、
入れてはならない理由はよくわからなかった。

右派でも左派でもないリベラリストの独立勢力が必要である。
メディアでオランダやデンマークなど
ヨーロッパスタイルの宣伝をすべしという。
広井良典らが宣言する、脱「ア」入欧である。

全く同感なのであるが、
メディアは大企業の販売促進システムに過ぎないため、
メディアを動かすには、大企業のトップたちに
正しいマクロ経済学を理解してもらわねばならない。
これがなかなか時間がかかりそうだ。

人を殺してはいけない理由はある方が怖い。
あるとその理由のない人は殺してよいことになるという。
しかしこれは、
社会とは殺してよい理由がある怖いものであるということを
否定したことにはならない。
それに、動物を殺してよいかといった問題を考えると、
この考え方で多くの人を納得させるのは無理だろう。

自分のために人を殺す人の方が歴史的には普通で自然に近い。
過去の貴族が身分の低い人を殺したために失脚したときの怒りなど、
これは歴史的にありきたりであった。
人の殺さない今の人たちの感覚の方が特別なものである。
普遍的な人間の尊厳は純粋な自然感情ではなく、
近年になって生まれたものなのだとする。

ただ、そういう人たちがそんなに多いのかは気になる。
法律制度の完備により、単に殺人が割に合わなくなっただけではないか。
戦争で人を殺した人にはPTSDを抱える人がいる。
しかし、PTSDにならない人もたくさんいるのだ。

とはいえ過去よりはそうした人が増えたのは間違いないだろう。
それは教育やメディアにより、他者視点を推測する人が増えたためと思う。
現代人、現代の若者は、大人たちより遙かに道徳的である。

社会秩序のタイプ
・有限項準拠連鎖タイプ
・超越性準拠タイプ
 ・隆起一貫型
 ・瀰漫浸潤型

日本語のセンスがひどすぎる。
個別連鎖型、理想志向型、空気型とかではダメなのかな?

やる気のない人もそこそこ生きていける社会をを作らねばならない。
不完全な社会がダメなのではなく、
不完全さに耐えられない社会がダメとする。

全く同感である。
社会は変化し続ける柔軟なシステムでなければならないと思う。

『「家族」を作る』
村田和木()
中公新書ラフリーライタークレ(2005)


養育里親とは何かを知る。

子どもを預かる社会的な親が里親。
養子縁組すると過剰な期待を押しつけてしまうと、
法的に親子にはしないことも多いようだ。
3日や1週間だけの里親もいるらしく、
急増の背景に失業率も関連しているようだ。
政府の経済失策の罪は重い。

『人間の心と法』
河合隼雄(臨床心理学者)
加藤雅信(法社会学者)
有斐閣(2003)


最後の韓国のデータが面白かった。

河合隼雄
心の状況や取り巻く環境を
相互作用の中で最も納得して悟るとき
神話という形を取る
神話を調べることで
人々の心の在り方を推測できるという。

詩人ゲーリー・スナイダー
アメリカ大陸先住民が全く遺跡を残さないのはあっぱれだという。
高い文化が自然を破壊しないということだからだ。
……といいたいが、
アメリカ先住民がどれだけ自然を破壊したか知らないようだ。
彼らの南北アメリカ大陸到達で、動物種のほとんどは絶滅したのである。
高貴なる自然人という幻想はなかなかなくならない。

韓国では警察へのネガティヴイメージが強い。
法に対する信頼が極めて低いのだ。
世界的に見ると、日本も法に対する信頼が相当に低いのだが、
韓国はそれを圧倒しているという。
道理で、犯罪者が捕まらない映画が多いはずだ。
警察と裁判が信頼されていないのである。

・今日の一言
日本の新しい指針は脱ア入欧である。
A Japanese new guideline is 'Escape from the U.S. and Enter Europe'.
일본의 새로운 지침은 "탈미입구(脫美入歐)"이다.
日本的新政治指南是"脱美入欧"。

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