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プロ作家になるための四十カ条(ベスト新書) [本(読書と文章]

『プロ作家になるための四十カ条』
若桜木虔(ミステリー作家、小説家養成講座)
ベスト新書(2006)


小説執筆のためのチェックリスト。

小説の二つの意外性
1.先を予測させない波瀾万丈のストーリー
2.知識と蘊蓄

歴史小説は展開が決まっているから、
1は不可能であり、2が中心となるわけだ。

時系列はできるだけ乱さないこと。
映画やテレビは映像があるから許されるのだ。

回想は重要な伏線で絶対必要なときのみ許される。
これも時系列を乱して混乱させるだけだから。

冒頭のポイント
主人公の年齢、性別、ファッション、趣味を提示する
舞台設定を提示する
主人公をランニング・モードにする。例えば主人公を慌てさせる
平凡なシーンは駄目。すぐにつまらないと見なされる
話が動くまで説明を挟まない
出し惜しみしない
予想のつくシーンは削り予想外を詳しくする

ある日目覚めたら虎になったという作品を例にあげ、
カフカの変身を連想するという。
ええーっ、中島敦の山月記だろ普通。
そのまんま虎になった話なんだが。
筆者がミステリー作家であって歴史作家ではないから、
こういう感覚なのかな。

篠田節子の書き方
1.まずおおざっぱにすっ飛ばして書く
2.矛盾点を解消する
3.人物を書く
4.ポイントを絞って取材する

3と4は考えたことがなかった。
この方式だと頭から順番に書ているわけじゃないようだ。

"言う"は使わない。
"言う"を囁く呟く喚く怒鳴るなどにすること。

心理描写と体感描写を精密に。
読者に想像する余地を与えないよう詳しく描写する。
詩との違いはここにあるかな。

冒頭における神様の視点から主人公の視点への移動はOK。
最初の舞台説明では神様の視点でいいわけだ。

挿話と解説は伏線のみ。
流れに関係のない余談は小説には不要なのだ。

ミステリーでなくてもどんでん返しが必要。
最低3回だそうだ。
確かに意外性というのは、歴史小説でも必要だと思う。

書いてはいけない人物とは?
最初に主人公に絡みながらその後は出てこない人物
会話や回想だけに出て現実には姿を見せない人物
また馬鹿や間抜けを出してはいけない。
金庸先生~。あなた全部やっちゃってますよ~。

難解な謎は探偵が語る
普通の謎は周囲の人間に気づかせる
誰でもわかることは地の文で書く

筆者はプロットを決めずに流れに任せて書くという作家の言葉を、
嘘だと強調する。
ところがこの本の解説として筆者の生徒加藤廣が出てきて、
章立てするだけで思いついたまま頭から書いていくと言い切っている。
おそらく筆者はミステリー作家であるから理解できないのだろう。
ミステリーと他の小説ではかなり意味が違うのだ。

『現代詩作マニュアル』
野村喜和夫(詩人、批評、翻訳、比較詩学研究)
詩の森文庫(2005)


詩の解説書。

雪の肌という比喩。
これは雪⇒白という提喩+白⇒肌という提喩に分解できる。
比喩の基本は提喩なのである。

詩とは言葉による世界の捉え直し。世界を再構成すること。

詩は回帰的循環的。循環して閉じている。
通常の言説は線条性を持つ。
入口と出口があり開いているのである。

用語集
エクリチュール:書かれた文字、文字言語、記述、書く行為そのもの
寓意・寓話:アレゴリー、諷喩、一連の事柄の系列を
 別の一連の事柄の系列にたとえ話としてあらわすこと
コノテーション:言外の意味、意味のずらし。
抒情:リリシズムの訳語。
 竪琴リールが語源。元々は楽器に合わせてうたう詩のこと。

・今日の一言
まず主人公を慌てさせる。
우선 주인공을 당황하게 된다.
首先使主人公着急。
You should throw the hero into confusion first.

タグ:若桜木虔
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