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脳は生まれか育ちか [本(脳科学]

『脳は生まれか育ちか』
ジョン・E・ダウリング(神経科学)
青土社(2006)


脳はどのように育つかを知る。

胎生4ヵ月まで
平均毎分50万個の神経細胞が生まれるという。
凄い数だ。

脳の形成。
シナプスを成形する軸索をもったニューロンが生き残る。
脳細胞も競争により淘汰されるのだ。

海馬の新生ニューロン。
新生ニューロンは海馬の顆粒細胞のある入力領域に限定される。
ほとんどが数週間以内に消失するらしい。
発達途上と同じく過剰に作られて、
シナプスを作る相手が見つからないと死滅するのだという。

これは新生ニューロンのシステムが、
脳の発達システムを流用していることを意味するだろう。

記憶とは環境を参考にした成長なのである。

『思考と脳』
渡邉正孝(脳科学、心理学)
サイエンス社(2005)


考えるときの脳のしくみを知る。良書。

・モルガンの公準
より低次の心的過程で説明できるものを
高次の心的過程で説明してはならない。

・脳の計測の難しさ
神経活動の抑制にもエネルギーが必要だ。
抑制と興奮が拮抗し活動がない場合も、
酸素やエネルギー測定では大きな活動を記録してしまうのだ。
脳活動変化のオーダー違いもある。
視覚一次野や運動野などは1-2%だが、
前頭連合野では一ケタ少ないのである。

ネズミの8方向迷路の学習課題。
バッドレーはワーキングメモリでなく長期記憶と主張する。
計測では、海馬が活動しているからかな?

ワーキングメモリは、
前頭連合野とそれと他の脳部位とのネットワークに担われる。
その通り。そのループ回路こそが意識と思考を担うのである。

ロボトミーの恐怖
ケネディ大統領の妹のローズマリーもロボトミーを受けた。
ハリウッドスターのフランセス・ファーマーは、
共産主義への同調と政府攻撃を行ったため、
ロボトミーを強制された。
手術後に過激な言動がなくなったという。
ロボトミーは言論弾圧の手段ともなったのだ。

『すべては脳からはじまる』
茂木健一郎(脳科学者)
中公新書ラクレ(2006)


読売ウィークリーと中央公論の時評。

美味しいものを最後に食べるのは
予期の喜びを長引かせるため。

そういうことではなく、
だんだんブラスになるのは快適だが、
だんだん下がるのは不快だからでしょう。
美味しいものから食べると後にまずいものが残ることになるから。
最後を快適にして終わりたいということ。

『対談 心とことばの脳科学』
山鳥重(神経心理学者)
辻幸夫(認知言語学者)
大修館書店(2006)


言語と脳の関係を知る。
文法機能の心的器官として独立してることを
サポートする生物学や生理学のデータはほとんどない
チョムスキーの言語論は間違い部分も多いのである。

ウェルニッケ領域を刺激すると、あるところで名前が言えなくなる。
その1cm横の刺激では何も起こらないが、
さらにその1cm横の刺激ではまた名前が言えない
そして……と繰り返される。
領域が離散的なのである。

韓国語の擬音語擬態語の出現頻度は日本語より多い。
韓国人の自然そのままの感覚が表れているのだ。

『目からウロコの脳科学』
富永裕久(サイエンスライター)
PHP(2006)


最初の意識についてと系を紹介し過ぎ。
内容も詰め込み過ぎ。

ウィリアムズ症候群の子どもは
見聞きした文をすべて丸暗記するという。
どうも、言語能力が何か特別高いと思える人には
丸暗記能力の高い人が多いように思う。

小学校の漢字教育では、画数や複雑さで各学年に割り振られる。
朝夕晩などが1年~6年に分散する。
確かに対立する概念を同時に学ばないのは非効率だ。

『心の輪郭』
川合伸幸(心理学)
北大路書房(2006)


ザリガニ、ネズミ、サル、チンパンジーの知恵比べ。

潜在制止
パブロフの犬の実験はベルを鳴らして餌を与える。
そこで、最初にベルで食物を与えないことを繰り返す。
その後にパブロフの犬実験をすると、
ベルと食物の学習が困難になる。
これは魚類では起こらない。

がっかり効果
32%の砂糖水を飲んでいたネズミ。
4%に変えると元々4%を飲んでいたネズミよりも飲まなくなる。
ネズミもがっかりするというわけ。
これも魚類にはない。

画面に映った数個の円を大きい順にスイッチを押す。
サルは一回一回一番大きいのを見つけて押した。
チンパンジーは大きい順を覚えて一気に押した。

チャンキングは人間のみ、チンパンジーはしない。
心の理論とはその理論の有無ではなく情報の階層化能力の差。

で、これがワーキングメモリの差であると思う。
ただ、この本では、
チンパンジーとヒトのワーキングメモリが変わらないとしているが、
これは実験がワーキングメモリを計測していないと考える。
視覚的な全体同時把握とワーキングメモリを混同しているのではないか。

・今日の一言
記憶とは環境を参考にした成長である。
기억은 환경을 참고하면서 성장하는 일이다.
记忆是参考环境的成长。
Memory is the growth with the help of the environment.

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