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だまされない〈議論力〉(講談社現代新書) [本(論理思考]

『だまされない〈議論力〉』
吉岡友治(比較文学、演劇理論)
講談社現代新書(2006)


志高い野心作。ただし著者の論理力には問題が多い。

正解がないのが議論の始まり。
正解が見えない問題こそ議論する価値があるわけだ。
この本で扱われる問題も多く倫理問題である。

ナチスの暴走は民主主義に従い立憲主義を無視した結果という。
立憲主義は、時空を越えた民主主義といえよう。
民主主義はその場にいる人の協議だが、
立憲主義はそこに過去の人を巻き込むことができるのだ。

判断したものが、
判断される対象から反論されない構造の場合に注意が必要という。
まさしく。俗流若者論が流行るのも、
テレビ新聞の情報ループに若者が含まれないことが原因である。

今や、5権分立の時代が来るのかもしれない。
立法、司法、行政、マスコミ、インターネットである。
『産廃ビジネスの経営学』
石渡正佳(産廃Gメン)
ちくま新書(2005)

で、挙げられた5つの異議申し立て窓口である。

主観的な選択と考えられるものこそ、
統計調査して関係を見いだす価値がある。
人それぞれは他を尊重するようでコミュニケーションの拒絶になる。
これらは真に思考を深めるために大切なことだ。

中国は地域共同体が強いというが、これは事実ではないです。

高校生の規範意識のグラフの読み方。
ほとんどの項目に対して高いは事実誤認という。
どう見ても事実誤認ではないです。
その後の論証がまずいのであって、問題はそこではない。
どうも結論に導くための強引な論証と感じられる。

移植くじ問題
臓器の悪い人のためにくじ引きでドナーを決める。
一人のドナーが死ぬことで二人助かるなら、
この移植くじは実行するべきなのか?
ほとんどの人が反対と感じることだが、
全体の幸福度を考えれば実行することになってしまう。
このパラドックスはなぜ生まれるのか?

特別な自分を他者と同じと見なし、
全体の幸福計算に組み入れることを求めるができっこない、
だから間違っている、が著者の解答。
しかし、こんなの全然説得力ないでしょう?
"できっこない"が論証か?

いつ死ぬかわからないのがよくないというなら、
交通事故もそうだという。
しかし交通事故はなくすべきと考えられているのであって、
肯定されているのではない。

これは自由の問題を考えるべきだと思う。
交通事故は自分で避けることができない……だろうか?
違うだろう。ある程度の回避性がある。
外に出掛けない、車に乗らない、
車は安全運転する、など確率を変化させることができる。
交通事故の被害にもある程度の自由があるのだ。

ところが、移植くじには完全に自由がない。
この自由を奪うということが許されないと感じられるのだ。

人を殺したら罪なのに牛を殺して罪にならないのはなぜか?
これは共感性の問題である。
相手の生命に精神性が感じられ、
その精神に共感し同調できるものは殺すべきではないと感じるのだ。
従って牛やイルカに共感を想定する人間は、殺すことを嫌悪し、
罪であるとして欲しいと感じるのである。
かつて奴隷が殺してもよいと考えられたのは、
奴隷の精神は共感の対象ではなかったからだ。
あるいは、人種差別を行う人がいたり、
戦争において民族が異なり言葉通じないほど虐殺が起こるのも、
その共感の困難性の問題である。
言語で意志疎通できることほど共感を高めるものはないのだ。

この手の議論や論理をテーマにした本には変なものが多い。
議論がテーマなのに著者一人で考えたものだからではないだろうか?
こうした議論や論理の本は、
複数の著者による共著にしてこそ優れた本ができるのではないだろうか?

『論証のレトリック』
浅野楢英(論理学、弁証法、レトリック)
講談社現代新書(1996)


アリストテレスのレートリケーの理論を整理解説。

弁論の3種
・審議弁論
勧奨と制止するもので、将来のための利益と損害を民会議員に述べる。
・法廷弁論
告訴と弁明をするもので、過去についての正と不正を裁判委員に述べる。
・演示弁論
賞賛と非難をするもので、現在についての徳と悪徳を観衆に述べる。

それぞれ使用される論法が違ってくるというわけ。

『論理表現のレッスン』
福澤一吉(認知神経心理学)
生活人新書(2005)


非常に初歩的な話が難しくわかる。

土井たか子の言葉
"ダメなものはダメ・説明してもわからないヤツは話にならない。"
これって本当かな。文脈がわからないが、
これでは事実上、議会制民主主義を否定しているよなあ。

・今日の一言
論理をテーマにする本は共著にすべきである。
When you write a book dealing with logical thinking, you should make it as joint authorship.
논리를 테마로 하는 책은 공저로 해야 한다.
写逻辑思考的书,应该做共同著作。

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