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「小さな政府」を問いなおす(ちくま新書) [本(日本の問題]

『「小さな政府」を問いなおす/岩田規久男/ちくま新書/2006』
著者:経済学者
評価:名著・わかっている人がいるのに進展しない世の中にため息……

バカボン面の平蔵なんて使わず、この人に権力を与えてくれればねえ。

初中等教育に教育切符制度や、
生活保護制度より勤労意欲を阻害しない負の所得税制度の導入など、
見るべき提言が多い。

政府の大きさとは、政府支出と経済への介入度。
サッチャー政権とは?
政府の市場介入は縮小したが
政府の大きさそのものはわずかに大きくなった。
規制緩和はいいが、政府そのものを小さくしたわけではないのだ。

スウェーデンの国の支出の公共投資は2%。
国防と外交以外の仕事は家計へ地方自治体への所得再配分。
戦後の雇用増加はほとんど政府部門で、
ほとんどは女性であり、内容は医療、教育、育児であった。

日本はこの部門はいまだ未開拓であり、
経済発展の余地を大幅に残しているといえるだろう。

行政サービスの受益者と費用の負担者が乖離していると、
住民の行政サービスの要求水準が過大になる。
地方自治体間による住民獲得競争を起こし、
住民の"足による投票"を実行させるのだ。

実際の規制は消費者の利益でなく供給者のためのものになる。
05年に法人による農業参入が解禁された。
今まで禁止されてたなんて。
それじゃ日本の農業が復興しないのは当たり前じゃないか。

田中角栄による社会主義革命。
金日成以外は、
田中角栄が社会主義革命を実践していると気づかなかったという。
毛沢東も気づいてたみたいだけどね。

03年の生活保護世帯は92年より6割増加し94万世帯に。
母子家庭の生活保護率が急上昇したのだ。
パートなど非正規社員の賃金低下とその数の増加が原因である。

そういえば以前、
"ベンツに乗っているのに給食費を払わない親"というニュースがあった。
私はとても違和感を覚えた。
そんな馬鹿は昔から一定数いるものであり、
急に増えたりするものではないからだ。
今回これで、一つのストーリーが見えた。

母子家庭の生活保護率が急上昇し、
生活苦から給食費を払えない家庭が増加した。
給食費未払いという新聞ネタを見つけた記者が教師に取材する。
すると教師は、仕方のない例よりも日頃の憤懣を含んだ例を挙げる。
お金がなく仕方のない例など面白くないからだ。
すなわち、"ベンツに乗ってお金があるのに
払わない人もいるんですよ"と答えるわけだ。
そして記者は、
生活苦から給食費を払えない家庭というものが想像できず、
お金があるのに払わない人を記事にしてしまう。
おそらくお金があるのに払わない人などは
昔から比率は変わらないと考えられるが、
それを読んだ読者は、
経済政策の失敗でなく道徳問題へとミスリードされる。

・今日の一言
負の所得税制度を導入せよ。
Introduce a negative income tax system.
부의 소득세 제도를 도입하라.
导入逆所得税制度。

タグ:岩田規久男
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