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中国現代ことば事情(岩波新書) [本(中国事情]

『中国現代ことば事情』
丹藤佳紀(読売新聞、北京特派員)
岩波新書(2000)


わかりやすく現代中国を知る。良書。

1997年に黄河が断流した。
河水が黄海に届かない日が226日もあったという。
あのどでかい黄河が海にとどく前に涸れてしまうのだ。

83年、容疑者を市中引き回したり、競技場で公開銃殺した。
まだ20年ちょっと前のお隣の国の出来事なんだな、これ。

1995年、大学で法律を学んだ裁判官は全体の5%。
裁判官の質に問題ありすぎ。法律が信頼されないわけだ。

99年、中央省庁のキャリアウーマンが厚底サンダルに茶髪で現れた。
まあ、やまんばメイクでないだけましか。

『中国の小さな古鎮めぐり』
清水安雄(写真家)
産業編集センター(2006)


隠れた観光スポットを知る。というか失敗した観光村おこし。

孔明の子孫が住む諸葛八卦村は、八卦の形の山に囲まれた村。
近所には村全体を太極図の形に作り直した太極星象村がある。
これって、名称から由来が生まれるパターンな気がする。


『シナ人の思惟方法』
中村元(インド哲学者)
春秋社(1988)


仏教思想の受容に見る中国人の認識パターン。

非論理傾向と対話的精神の未発達。
事物をその個別性に即して観察する。
歴史重視と空間的風土的特殊性の重視。
すべての学問が実践の学。
人間中心の傾向。
個人主義の過剰。
など、思惟というより認識パターンの分析。

日本人は熟視しないですぐ結論し性急に法則を立てたがるが、
中国人はじっくりと見てなかなか結論を出さない。
この点の違いは面白い。
良く言えば日本人は技術の試行錯誤に適しているといえよう。

中国人は議論の末に古典をくとくさり引用すると、
みなが賛成するという。
古いものの価値が認められているのだ。

中国は、村落の集団性の程度が低い。
灌漑や共同耕作が少なく違反者への制裁も村内で行われることが少ない。
村民への圧政もないが強力な統制もなく、村落の自律自治も消極的だ。
地方の力が伝統的に弱いのが中国の難点なのである。

『中国の黒社会』
石田収(現代中国論)
講談社現代新書(2002)


世界と中国の中国人犯罪事情。

全世界で200万人のチャイニーズマフィア。
中国国内も凄い。
中国の売春婦の数、89年10.2万人。
91-95年の売られた人の数は88759人、その内の児童は9%。
93-94年の誘拐事件33143件、保護されたのはわずか7482人。
96年の殺人27356件。
無法地帯と化しつつあるようだ。

政府関係者の腐敗の原因は、
給与では暮らせないこと、
世論の監視が弱いこと、
司法が独立していないこと。
4つの権力、司法、立法、行政、マスコミの独立性が弱いのである。

『中国人犯罪グループ』
森田靖郎(ノンフィクション作家)
中公新書ラクレ(2004)


犯罪統計の理解に問題が多い。

日本で殺人強盗した二人の中国人、
父はともに資産家で貧しくはなかった。
貧しさが原因ではないわけだ。

中国人留学生の1割以上がいた酒田短期大学。
その内の約200人は首都圏で生活していた。
全然、大学として機能していなかったわけ。

SARSは目から感染する。
マスクより医療用のゴーグルが必要らしい。

日中強盗団の日中の分業化が進んでいる。
犯罪は来日中国人の窃盗グループに下請けされるという。

中国人のみの凶悪犯罪というのは少なく、
日本のヤクザが絡んで凶悪化することが多いようだ。

日韓中の政治体制を民主化と近代化から比較する。
日本を基準にして考えると、
韓国は、高度成長後にIMFショック、すなわちオイルショック後
中国は、近代化が始まるも民主化はまだ、すなわち明治時代
北朝鮮は、近代化も民主化もない宗教専制王朝、すなわち江戸前期
ぐらいとなる。

社会とは法整備の問題でもある。
法が整備されると社会が変わり、また必要な法も変わる。
この繰り返しにより社会が成熟していくのである。
風土も民俗も異なる国では、それぞれ独自の法が必要だから、
他の国から学んで、法を整備すれば終わり、とはならない。
法体系と社会の相互作用により、少しずつ発達するので、
社会の成熟には時間がかかるのである。

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