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語は行為を導く [本(言語学]

『ハとガ-助詞「は」と「が」の原理/坂野信彦/ブイツーソリューション/2006』
著者:国文学
評価:助詞「は」と「が」について考えました

「は」と「が」は既知と未知とする説がある。
しかし、この本では反する例が挙げられる。

行ってない国はある? 北朝鮮は行ってません。

ここでは未知なのに「は」が使われている。
既知と未知では、説明しきれないのだ。

「が」の不思議さは、主語だけでなく目的語にもなること。

水が飲みたい。

などである。

「は」と「が」にはどんな法則があるのか?
みんな使えるのだから原理は単純なはずだ。
そして著者の結論がこれ。

「が」は特異事項をとおして当該事物を特異化する
「は」は仮設与件を提示して適合事項を導く

うーん。著者の説明の方が難しくない?
こんなに難しい原理じゃ日本人も使えないよ。
まあしょうがない。特別に、答えを教えてあげよう。

「は」は疑問で、「が」は感嘆だということ。

「イチローは?」
「イチローが!」
ということ。

「は」の続きには疑問が隠れていて、
「が」の続きには感嘆が隠れているのだ。
日本語の助詞は後に続く述語の出先機関なので、
述語を限定するのである。

もう一つ重要な原理は、言葉は分類だということ。
相互排他性と包括性がある。
分類は重ならず、それでいてすべてを網羅しなければならない。
日本語の主格は「は」と「が」と「も」と「φ」だけなので、
その内のどれかを選ばなければならない。
一番ましなものが選ばれるのである。

言葉の意味とは、それが生み出す行為である。
それは、機能語である助詞でも変わらない。
私たちが自由に言葉を使えるのは、その行為を体感できるからである。
「は」や「が」にも行為の感覚があるのだ。

「は」は文章を飛び越える。
それは、疑問に対する答えが列挙されていくからだ。

砂漠で行き倒れている人は言う。
"水が飲みたい"

"水を飲みたい"よりも感嘆がこもるのである。

面白いことがある。
韓国語にも「は」と「が」の使い分けがあって、
ほぼ同じ……だけど少し違う。
疑問文での反転がないのが韓国語。
誕生日はいつですか? は、

誕生日がいつですか?
생일이 언제입니까?

になるのが普通なのだ。

なぜこんな違いが出るのかというと、
韓国語の「が」である이/가には感嘆の力がなく
ニュートラルだからなのである。

・今日の一言
誕生日はいつですか?
When is your birthday?(◯)
생일이 언제입니까?(◯)
你的生日几月几日?(◯)


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