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若者を排斥するニュースメディア [本(日本の問題]

日本政府が中央の冨を地方に分配していることは有名である。
地方自治体はほとんどが借金だらけで、
中央の援助でやりくりしている。

なぜそうなるのか?

『戦略思考のすすめ/河瀬誠/講談社現代新書/2004』
に、政治家から見た有権者の価値の解説がある。

都会と地方では一票の価値が最大で4倍も違う。
さらに高齢者と若者は投票率が3倍も違う。
二つ合わせて考えると、
地方高齢者は都市の若者の12倍の価値があることになる。

もちろん、最大で12倍ということだが、
平均でも4~6倍はあると見てよい。
だから、政府は中央で稼いだお金を地方へとばらまくのだし、
一票の価値の格差が開いても積極的に是正しないのである。

この考え方はテレビを考えるのにも有効だ。


『テレビのからくり/小田桐誠/文春新書/2004』
に、2003年ビデオリサーチのテレビ視聴率年報の
テレビ視聴時間の表がある。

4-12歳の男女     2時間42分
13-19歳の男女    2時間56分
20-34  男  2時間25分 女 3時間21分
35-49  男  2時間50分 女 4時間24分
50歳以上 男  5時間15分 女 6時間 4分


テレビを見ている時間は、高齢者ほど長い。
若年層に比べればほぼ2倍と考えて良い。

さらに、誰がどんな番組を見るのかを考える必要がある。
昼のワイドショーは熟年女性が多く、
夜のテレビニュースは熟年男性が多く、
アニメは子どもが多く、
トレンディードラマを見るのは若い女性が多く、
バラエティーは若い男性が多いだろう。

テレビで社会世論を担う番組は最初の二つである。
そしてそれは熟年視聴者が圧倒的に多いのである。
また、新聞の読者もテレビと構造が似ている。
メディアの社会世論は熟年向けに作られていると理解してよい。
ニュースメディアにとって若者はあまり存在価値がないのである。

メディアは視聴率を求めるものなので当然、熟年者が喜ぶものを作る。
メディアは社会に問題があれば、若者へ責任を押しつけることになる。
これはメディアのシステムからいって必然なのである。

メディアだけでなく、政治も同じである。
政治家にとって都市の若者は価値が低いので、
ここに責任を押しつける。
前代未聞の低能発言である、若者の徴農などというものも、
政治システムからいって当然なのである。

宮台真司は、コミュニケーションの島宇宙化を述べている。
テレビもまた、
大衆ではなく分断化された一部の人たちの代表でしかないのだ。

以下の本は一読の価値がある。

『安全神話崩壊のパラドックス/河合幹雄/岩波書店/2004』
『バックラッシュ!-なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?/宮台真司・上野千鶴子,他/双風舎/2006』
『「ニート」って言うな!/本田由紀・内藤朝雄・後藤和智/光文社新書/2006』
『日本人のしつけは衰退したか/広田照幸/講談社現代新書/1999』
『反社会学講座/パオロ・マッツァリーノ/イースト・プレス/2004』
『反社会学の不埒な研究報告/パオロ・マッツァリーノ/二見書房/2005』

・今日の一言
マスメディアは老人の妄想を増幅する。
The mass media add to old man's delusions.
매스 미디어가 노인의 망상을 증폭시킨다.
大众媒体放大老人的妄想。

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