SSブログ

愚鈍な文化相対主義 [本(論理思考]


『ウンコな議論/ハリー・G.フランクファート/筑摩書房/2006』
著者:道徳哲学者
評価:ウンコ議論=おためごかしについて・非常に薄い本

愚鈍な文化相対主義。
すべての文化的知見が同じぐらい正しいとし、
魔術や迷信を正統化してしまう。

不確定性原理をたてに、
あらゆる現象は観察者次第で客観的事実はなく
それを前提にした西洋科学は間違っているとする。
あるいは、不完全性定理をもとに西洋科学だって不完全だとする。
その正しい意味を理解せず、断片的な言葉を利用して、
その考えを当てはめるべきではない対象に当てはめる。
こういう手合いは科学嫌いに多い。困ったものだ。

あるいは、東洋と西洋を対立させ、
西洋=科学とし東洋的な思想と対比したりする人もいる。
これも完全に間違い。
東洋思想と対比してよいのはキリスト教思想とか、
ギリシャ思想とかインド思想とかである。
科学は思想ではない。
例えば、東洋医学は西洋医学と対比するものではない。
東洋医学と対比するべきなのはアーユルヴェーダや、
アラビア医学や各国の伝統医学である。

なぜ東洋で科学が生まれなかったのか?
それは科学が西洋的なものだからではなく、
ただ単に先に西洋で生まれたからである。
科学は普遍的で力が強いため、
一度生まれれば他のところで生まれるより速く伝播していくのである。
東洋より情報の蓄積度が高かった西洋が先に到達しただけである。

情報量=知識量の多さが
その知識そのものの構造を変えたのが科学革命である。
知識量の増大が知識の質の変化を生み出す、
質量転化の法則であり、相転移というべきものである。

科学知識の特徴は、知識を生み出す知識であることだ。
自ら自己増殖する構造を持つため、爆発的に広まったのである。
科学は知識そのものの普遍的な構造である。
科学とは知識の内容でなく、その構造のことなのだ。
地域を問わず普遍的なものである。

科学はたまたま西洋で生まれたに過ぎず、
西洋的特性とかいうものではなく、より普遍的なものなのだ。

『使える弁証法/田坂広志/東洋経済新報社/2005』
著者:経営コンサルタント
評価:ヘーゲルでIT社会の未来を読む・意外に良い本

これはあくまでの経営コンサルタントの本。
ヘーゲルの勉強のために読む本でない。
それがわかっていればかなり良い本だ。

物事は螺旋的に発展する。
螺旋は上から見ると元に戻るように見えるが一段高くなっている。
物事はこのように少しずつ上に登るが、
それが見た目には同じことが繰り返されるように見えるのである。
そのため、懐かしいものがさらに便利になって戻ってくるという。
これを本では例を挙げて説明していく。

弁証法はさまざまな事象の変化の法則を述べている。
弁証法自体は、直接答えを導く力はないが、
思考や変化の枠組みを決め、間違いを消去する力がある。

亀井勝一郎の言葉:割り切りとは魂の弱さである。
ものを割り切って行動するのは楽である。
割り切るとは、それと対面するのを捨て次の行動に移ること。
苦悩せず安易な行動するということで、
悪く言えば逃げているということだからだ。

『行動経済学入門/多田洋介/日本経済新聞社/2003』
著者:経済学者
評価:まとまり悪い・これからの学問という感じ

認知科学の実験の紹介。
利用可能性の近道バイアス。
英単語のrで始まる語と3番目がrの語はどちらが多いかを問う。
ほとんどの人はrで始まる語が多いと答える。
しかし、正解は3番目がrの単語。
rで始まる単語の方が思い浮かべやすいための錯覚である。

言葉の言い方で変わる印象。
ある国で伝染病が流行り対策が必要となった。
このまま放置すると600人死亡する。

対策Aでは200人助かり、
対策Bでは1/3の確率で全員助かり、2/3の確率で全員死亡する。

すると、2/3の人が対策Aを選んだ。
次に、これを言葉を言い換えて質問した。

対策Aでは400死亡するが、
対策Bでは2/3の確率で生存者0となり、1/3の確率で死者0になる。

すると、2/3の人が対策Bを選んだという。
内容は同じなのにである。

『社会病理学概論/星野周弘/学文社/1999』
著者:社会学者
評価:教科書・多様な考えがまとめられている


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。