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日本文化論の系譜-『武士道』から『「甘え」の構造』まで(中公新書) [本(日本の問題]

『日本文化論の系譜』
大久保喬樹(比較文学、比較文化)
中公新書(2003)


コンパクトで便利。それぞれの違いがわかりすい良書。

西田幾多郎の哲学。
主体はそれが置かれている場があっての主体であり、
その場に包含されその一部として機能する存在という。

主体とは外部に開かれているだけでなく、
連続的に溶け込む境界線のない存在だ。
ただし、それが個たりうるのは中心があるからだ。
心的存在は、焦点を持つ広がりとして存在しているのだ。
他者と独立していてかつ融合しているのである。

丸山真男はいう。
日本の思想には対話がなく、雑然とした集合だと。
明確な個人主体の意識が希薄で、与えられた状況を受身的に取り込むだけと。
個の弱さは東洋的欠陥であると思う。

坂口安吾の実際の必要から生まれる実質的な美の話。
軍艦や兵器類の美や、運動選手の動作の美などを挙げている。
これは私の美的感覚にぴったりと整合する。
極限まで鍛え上げられた機能的な存在に美がある。
実用能力という核を持った存在にこそ美を感じる。

私はプロ野球が好きでときどき見る。
野球選手のホームランや投手の快速球などに美を感じるのだ。
あるいはメカニカルな無骨な機械に美を感じる。

美とは価値観であり、個人により異なるものだが、
この人それぞれの違いはどこから来るのか。

脳の回路から色彩の美と運動の美の違いを挙げることができる。
網膜の中心は色を認識し、周囲は動きを認識する。
脳の後頭葉には、色を認識するV4と動きを認識するMT野。
空間認識の頭頂葉と、物体認識の側頭葉下部。

脳の回路の発達の差異が色彩美と躍動美を生み出すのだ。

『日本の外交は国民に何を隠しているのか』
河辺一郎(日本外交史)
集英社新書(2006)


日本がどれほど積極的に米国追随しているかわかる。

米国の国連分担金の滞納はよく指摘されることだが、
実は日本は米国に次ぐ国連分担金の滞納国。
それを新聞や議員も認識していない。

日本は軍事関連でも米国追随。
核兵器使用の違法化に反対し、
PKOや対人地雷禁止条約の作成に否定的行動を示す。

国連の傭兵条約によると、傭兵は犯罪者。
それで彼らを民間軍事会社と呼ぶのだそうだ。

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