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後漢政治制度の研究(早稲田大学学術叢書) [本(東洋史]

『後漢政治制度の研究』
渡邉将智(漢代政治制度史、後漢政治史)
早稲田大学出版部(2014)


宰相機能の波紋的循環発生
尚書台を禁中に宿衛させて
政策の立案と事実上の決定を担う
政務担当機関とした。
三公九卿以下の官僚集団である外朝を
政策の実施を担当する政務執行機関とした

賢良、方正の察挙科目は宣帝期に始まったが制度として定着したのは後漢
漢王朝の官僚機構は後漢において基本的に整備された

前近代中国の皇帝支配体制の原型は後漢において形作られた

皇帝の執務場所・生活空間と、
諸官の執務場所の"空間的な距離"にこそ、
皇帝と諸官の"政治的な距離"が投影されている

洛陽北宮は皇帝の儀礼執行、
南宮前殿は執務場所、
ただし北宮でも執務することも

皇帝の生活空間は北宮の掖庭
省尚書事は"尚書の事を省る"
領尚書事は"尚書の事を領す"
録尚書事は"尚書の事を録ぶ"、官僚機構の統率と国政の総覧
平尚書事は"尚書の事を平す"、尚書台が上奏文を皇帝に伝達する前に被閲する

宦官は中常侍の制度から権力を発揮
三公形骸化説の論拠は仲長統『昌言』。
その台閣は尚書でなく光武帝自身のこと

政策作成の中心は三公や将軍
尚書台は南宮、禁中の外にあった
南宮の禁中の内部に皇太后の居所たる長楽宮

後漢和帝永元四年以降中常侍は宦官専任に
後漢に廃止した散騎、諸吏、左曹、右曹、給事中

光武帝が親政した時期には、三公に加えて、
建国の功臣たちもまた政策の立案を担当

太医令や侍医は前殿の門の付近に宿衛
皇后の居所は長秋宮、側妾は掖庭

☆☆☆☆☆
難易度4/5 推薦度3/5

官僚の執務場所の検討が興味深い。

・今日の一言(本文より)
政策案の作成は、尚書台の所属する官の任官者に限らず、官吏であれば誰にでも許された行為であった。
정책안의 작성은 상서대(尙書臺)에 소속하는 관위에 임명된 사람에 한정되지 않고 관리라면 누구에게도 허가된 행위였다.
制定政策案者不管是尚书台所属的任官者,只要是官吏就被允许。
All government officials, not just the ones assigned to the Shoshodai section, were permitted to draft plans for policies.

タグ:渡邉将智
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