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思想としての仏教入門 [本(仏教]

『思想としての仏教入門』
末木文美士(仏教学、日本思想史)
トランスビュー(2006)


西欧の哲学は行き詰まった、
今こそ東洋の時代だと
短絡的に主張するのは危険

中観派が空を主張するのに対して、
それでは迷いと悟りの原理を
十分に分析できないとして、
唯識派が形成された

インドの仏教は、1203年にヴィクラマシーラ寺が
イスラム教徒によって破壊されてほぼ全滅し、
現代に至ってアンベードカルらによって復興されるまで、
インドには仏教は存在しなかった。

心が高められ深められていく過程を表明した
空海の十住心の体系はヘーゲルの精神現象学の体系と較べられている

富永仲基の加上説。仏教と儒教
仏陀の無記とカントの先験的弁証論

アートマンがないではなく、
アートマンでないものをアートマンと認めてはいけない。
原始仏教は無我説ではなく非我説

縁起はもともとはどうして人生の苦が生じてくるのか
原因を解明しようというもの。
後に広く一般的に事物の相互依存関係を意味するようになった

説一切有部の説では一二縁起を
過去世1-2、現在世3-10、未来世11-12とみる

涅槃二説:
1.輪廻から解放され空無に帰する、ブッダの存在もなくなってしまう、
2.完全な自由、永遠を得る、無常の原則に抵触

あらゆる事物は一瞬間存在するだけで、
次の瞬間には別の存在が生起する。刹那滅
龍樹は刹那滅を否定

識。ヴィジュニャーナ。対象を識別し認識するはたらき
フッサールのノエシスとノエマ

眠っているときなど認識が中断しているときの連続性を保証するもの。
連続性を作る阿頼耶識

ブッダの智慧
大円鏡智:鏡のようにすべてをありのままに映し出す智慧。阿頼耶識
平等性智:すべてのものの平等が体得される智慧。マナ識
妙観察智:万物を正しく観察する智慧。第六識
成所作智:万物の活動を正しく成就させる智慧。前五識

円仁。朝題目、夕念仏
原始仏教。預流⇒一来⇒不還⇒阿羅漢⇒仏陀
真如は法身を抽象的に捉えたもの

インドのカーストの差別は、業と輪廻の説に密接に結びついている。

廻向parinama。展開すること、変化することの意味

インドや中国の思想史では仏教は過渡的な位置を占めた。
無我、無自性、空の思想の不安定さのため

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度4/5

放送大学のテキスト。
わかりやすくよくまとまったお勧めの一冊。

・今日の一言(本文より)
業と輪廻の思想は差別を固定化し、よい境遇の人には自分が恵まれていることを合理化し、悪い境遇の人にはその境遇に甘んじるように諦めさせる役割を果たしてきた。
업(業)과 윤회(輪廻)의 사상은 차별을 고정화하고, 좋은 환경에 있는 사람들에게는 자기가 혜택을 받고 있는 것을 합리화하고, 열악한 환경에 있는 사람들에게는 그 환경을 감수하도록 체념시키는 역할을 해 왔다.
"业"和"轮回"的思想把歧视给固定化了,让境况好的人觉得对自己的优待是合理的,让处境不好的人接受自己的境况,起到了这样的社会效果。
The ideology of karma and transmigration of souls has played a part in solidifying discrimination, it encourages people in favorable circumstances to rationalize that they are blessed, and causes people in unfortunate circumstances to give up and to resign themselves to that situation.

タグ:末木文美士
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