SSブログ

輪廻と解脱:苦界からの脱出(講談社現代新書) [本(仏教]

『輪廻と解脱:苦界からの脱出』
花山勝友(インド哲学)
講談社現代新書(1989)


日本仏教のすべての宗派は、
この世に生きている間に仏陀に成るとする即身成仏か、
次の世界では西方極楽浄土に往生して
そこで仏陀に成るとする往生成仏の、
どちらかの立場をとるようになったため、
事実上、輪廻転生説を否定することになった

梵天の一日は43.2億年
バラモン教ではアートマンが不滅なので輪廻転生する

十二因縁。過去世の原因、無明⇒行⇒。
現在世の結果、識⇒名色⇒六入⇒触⇒受⇒。
現在世の原因、愛⇒取⇒有⇒。未来の結果、生⇒老死

 無明:迷いの根本原因としての無知
 行:無明から出てきて、識を起こす働き
 識:母親の胎内にやどる瞬間
 名色:母親の胎内で心と身体とが発育する段階
 六入:眼、耳、鼻、舌、身、意の六つの感覚器官が備わって母親の胎内から出ようとする段階
 触:生まれて二、三年、苦楽をはっきり識別しないまま外界の物体に触れる
 受:六、七年経過し、苦楽を識別しながら感受する
 愛:十四、五歳になり、さまざまな欲望があらわれ、苦を避けて楽を求めようとする愛
 取:自分の欲望が求めているものに対して執着するようになる
 有:愛、取をもちながら生きている
 生:再び生まれる
 老死:生まれてまた死ぬ

今までは 人のことかと 思うたに おれが死ぬとは こいつはあたまらん。太田蜀山人

輪廻の主体、阿頼耶識。
人間の身口意の行為が種子となって阿頼耶識に蓄えられる

瞬間瞬間で阿頼耶識の種子の数が違う
末那識が阿頼耶識を実体と思わせる

まさにこの現在生きている人生こそが、
二度と繰り返すことのできない、
他の誰にも代わってもらうことのできない、
たった一度きりの人生である。

遺伝子や縁により次の世代へと伝わる

☆☆☆☆☆
難易度3/5 推薦度4/5

著者は事実上、輪廻を遺伝子とミームに置き換えていると思う。
末那識が阿頼耶識を実体と思わせる。
利己的遺伝子がミームを実体と思わせるのだ。

・今日の一言(本文より、蓮如)
されば、朝には紅顔あって夕には白骨となれる身あり。
그런데 아침에는 홍안이 있고 저녁에는 백골이 되는 몸이 있다.
因此早上有红颜,晚上就化为白骨。
A ruddy-faced youth in the morning may change into a skeleton by the evening.

タグ:花山勝友
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。