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脳に刻まれたモラルの起源:人はなぜ善を求めるのか(岩波科学ライブラリー) [本(脳科学]

『脳に刻まれたモラルの起源』
金井良太(実験心理学)
岩波科学ライブラリー(2013)


実証科学としての倫理学の研究が始まりつつある
功利主義的倫理観も義務論主義的倫理観も脳に対応する機能が備わっている
社会心理学における倫理観を記述する五つの道徳感情:
1.傷つけないこと、2.公平性、3.内集団への忠誠、4.権威への敬意、5.神聖さ純粋さ

保守主義
義務などへの拘束:345が強い人。前頭葉下部梁下回、島皮質前部が大きい。

自由主義
個人の尊厳:12が強い人。背内側前頭前野が大きい、
頭頂葉内側楔前部が小さい。楔前部が小さい人は共感が強い。

どのような倫理観を重視するかは脳の構造の違いを反映している
腹内側前頭前野の損傷で異常なまで功利的に倫理判断をする
恐怖を感じると人は保守主義になる。嫌悪が強い人も保守傾向
前部帯状回。リベラルなほど大きい
右扁桃体と島皮質前部。保守的であるほど大きい

オキシトシンスプレーを吸い込むだけで人間の他者を信頼するようになる
オキシトシン投与で自閉的傾向がある人が
一時的に共感能力を向上させることができる
アメリカでは不安を和らげる薬としてオキシトシンスプレーが認可
オキシトシンは不安を減らし他人の失敗を喜び嫉妬心を高める
オキシトシンは家族の絆を形成するホルモン
オキシトシンが自民族中心主義を生む
オキシトシン受容体遺伝子の違いで
楽観的、ポジティブ思考、自尊心などが予想できる

共感力:共感的配慮、視点取得、空想、個人的苦悩
共感的配慮に関係する部位:楔前部と前部帯状回
空想:背外側前頭前野
個人的苦悩:島皮質前部と体性感覚野
1958-1987年の主観的幸福度は統計的に有意な変化なし
フェイスブックで友達が多い人ほど中側頭回と上側頭溝が大きい
孤独感と相関する上側頭溝の後部。他者の視線の知覚処理の部位。

☆☆☆☆☆
脳科学もついにここまできたかという感じ。

歩道橋のジレンマだけど、あれは設定の非確実性が問題ではないか。
大男を落としても言った通りにならない感じが強すぎるのだ。

一万倍の金額での説明は、これは意味が違うので不適切だろう。

・今日の一言(本文より)
脳科学は「人殺しはなぜ悪なのか」に答えることはできないが、その代わりに「人はなぜ殺人を悪だと思うのか」という問題に答えを出せる。
뇌과학은 "살인은 왜 악인가"에 답할 수 없지만, 그 대신에 "사람은 왜 살인을 악이라고 생각하는가"라는 문제에 답을 낼 수 있다.
脑科学不能回答"杀人为什么是坏的?",但是能回答"人为什么会感到杀人是坏的。
Brain science cannot answer why murder is evil, but instead it can answer why people think murder is evil.
Brain science cannot answer why murder is evil, but instead it can answer why people consider murder evil.

タグ:金井良太
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