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グローバル経済と現代奴隷制 [名著再掲] [本(世界事情]

『グローバル経済と現代奴隷制』
ケビン・ベイルズ(社会学者)
凱風社(2002)


衝撃の告発書。
モノとして使い捨てにされる2700万人を救え!

(質問)
歴史上、最も奴隷人口が多かった時代はいつか?

(解答)
現代

原題はdisposable people=使い捨て人間。
現代はまさに使い捨て人間の時代である。
その数は、世界全体で少なくとも2700万人、多ければ2億人である。

ここで紹介される実例は5つ。
・タイの売春奴隷
・モーリタニアの太古から続く奴隷制
・ブラジルの炭焼き労働者
・パキスタンのレンガ窯
・インドの債務奴隷

奴隷は先進国にもいる。
パリには家事奴隷がおよそ3000人いる。
主に子どもであり、当然、学校に行くこともない。

日本にいる奴隷はタイ人、フィリピン人、ヨーロッパ人。
ほとんどが売春奴隷。
一番多いのがタイの売春婦で5万人いるらしい。

アマゾン金鉱の売春奴隷。故障すれば廃棄処分になる。
病気になったり、体を壊せば、
文字通りに首を斬って焼却処分にするのである。

警察は奴隷支配を支える重要な存在である。
地元警察は奴隷支配の強制執行人なのだ。
タイ、パキスタン、インド、ブラジルでは、
警察が奴隷契約を実行を強制するのである。
ちなみに日本の警察も、奴隷の摘発には消極的であり、
告発しても非協力的に追い返してしまうのだ。

現代の新奴隷とかつての旧奴隷の違い。
かつての奴隷は値段が高く貴重品だが、
今の奴隷は安いので使い捨てである。

かつては合法であり、今は非合法である。
かつては原価が高かったが、今は奴隷は激安で買える。
かつては利益が低かったが、今は超高利益を出すことができる。
かつては奴隷は不足していたが、今は余っている。
かつては長期に使用したが、今は短期で捨ててしまう。
かつては調子が悪くなるとメインテナンスして使ったが、
今は壊れれば捨ててしまう。
かつては民族の対立が根にあったが、今は民族は関係がない。

奴隷の利益率の例。
アメリカ南部の奴隷の年利益率は5%だった。
現代のインドの債務奴隷の年利益率は50%である。

タイの売春奴隷の一生。
12~15歳の少女が、貧乏な村から10~25万円で購入される。
もちろん学校に行くことはない。
奴隷主には年利益率800%をもたらす。
そしてHIVになると元の村に送り返される。
村に帰っても売春婦として差別され、
本人も穢れた賤しい存在と思い、罪悪感に苛まれたまま、
まともな治療を受けることもなく数年で死ぬ。

タイの売春婦は50~100万人で、
その中のかなりの割合が、上記の人生を生きている。
彼女たちには、有無を言わせずその場でただちに痛い目に合わせ、
徹底的に無力感と罪悪感を与え続けるのが良い奴隷にする秘訣である。

ミャンマー政府の戦争奴隷。
鉄道敷設に老人、妊婦、子供を強制労働している。

ブラジルの貧富の差。
ブラジルでは、5万人が広大な国土の97%の土地を所有している。
ブラジルは中国を超えるジニ係数の国である。

死刑予告の町として有名なパラ州のリオ・マーリア。
かつて8人の反奴隷制度運動家の名前が死のリストに載り、
6人は死亡した。

奴隷主の言い訳。
インドの地主はいう。債務奴隷は親子のようなものと。
無知な彼らを助けているのだと。
あるいは食えないのを助けているのだという。
"奴隷でも死ぬよりましだろ"と言うのだ。
恥知らずである。

インドでは、14歳以下の子ども6500万人~1億が児童労働し、
うち1500万人は児童奴隷である。

こうした新奴隷制度が生まれた要因。
・人口爆発
・経済のグローバル化と農業近代革命
・強欲と暴力と腐敗
これらに対応した制度が世界に求められている。

奴隷問題は他人事ではない。
現代では奴隷所有者は見えなくなっている。
企業の投資家という形になっているからだ。
これを読むあなたですら奴隷主であるかも知れないのだ。

国際反奴隷制協会へ入会を、とのこと。

思うに、派遣社員やフリーターの問題を見れば、
日本にも使い捨て人間の時代が到来したと言えるかもしれない。

・今日の一言
今や人間も使い捨ての時代です。古くなったら廃棄処分して新しいものと交換しましょう。(現代の奴隷主)
바야흐로 사람도 다 쓰고 나면 버리는 시대입니다. 낡아지면 폐기 처분하고 새 것과 교환합시다.(현대의 노예 주인)
现在正是一次性人的时代。如果人旧了,就报废而换成新的吧。(现代的奴隶主人)
Today we are living in the disposable human age. If it will become old, you can dispose of and exchange it for something new.(The modern slave master)

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