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ネットde読書会《狼图腾》第5章 [語学学習記録]

神なるオオカミ第一章(Mandarin Note)
轮读书活动《狼图腾》 第二章(ラジオ中国語とPodCastでHSK 8級!)
10-06) ネットde読書会(神なるオオカミ第三章)(我的中文日記)
20100223 ネットde読書《狼图腾》第四章(極めろ!何を?中文を!)

ネットde読書会《狼图腾》第5章
・学習法について
"声調や発音を間違えたら10字戻る"ルールでによる音読。5章を読むのにかかった時間は140分。一分当たり90字程度。反復を考慮しても150字程度。テキストビューワでの確認しながら読みなので、十分に楽しみながら読むことができます。ちょうど自分の中国語の理解速度と一致するので進めやすい。ラジオ音声は少しだけ聞きました。自分の頭の理解速度より少し早いので、楽しむのは難しいようでした。

テキストビューワを使った音読は、発音の練習になるだけでなく、語彙、コロケーション、文型などを自然にかつ効率的に覚えることができるのでお薦めです。特に読書好きで、日頃からたくさんの本を読む人にとっては最高の語学学習法ではないかと思います。

・内容
第5章は主人公の陈阵はお休みで出てきません。巴图と沙茨楞が率いる馬たちと狼たちとの戦いです。狼たちは、自分たちの取り分であるはずの羊を人間に奪われ、そこにさらに子どもをさらわれた母狼が復讐のために戦います。狼たちが地形や気候を利用した戦いを展開します。狼の決死の攻撃とそれによってやられた馬の凄まじい死に方がグロテスクに描かれます。そして馬と巴图たちは窮地に追い詰められ、巴图が発砲して……。

・音声
ラジオの音声の読み上げは、文章が意図的に変更してあるようです。"蒙谚:"は"蒙古谚语说"と読まれています。それ以外にも細かい変更があります。これは元の文章は字を見て読むには問題がないが、聞いたのではわからないため、変更されているのでしょう。

・描写
中国語は日本語に比べて具体的で細かく描写すると言われます。馬の死に様などの描写からはまさにそう思えます。しかし、よく考えると古典文学では定型的な表現で詩にして描くことも多く、その場合はかなり抽象的なように思います。たとえば三国志演義などでの戦闘描写なども、全然リアルではありません。この差異は何でしょうか?

--- 感想 ---
自分の書く中国語とは違うなと感じた点を挙げます。

・無生物主語
中国語の特徴として英語に似た無生物主語の多さが挙げられます。
接近泡子的下坡地势加快了马群的冲速,越刮越猛的白毛风又以排山倒海的推力,把马群加速到了冲跃腾飞态势...
下りの地形が馬を加速するというのは、日本語からは思いつきにくいです。

・リズミカルな反復
リズミカルな反復を使ってスピード感を生み出すのは中国語の特徴でしょう。
几百只马蹄不约而同地加重了向下的力度,猛踩、猛跺、猛踢、猛尥。

それが四文字になるのも特徴です。
...吓破了胆,惊失了魂。
刹那间,胃包崩裂,胃食飞溅,柔肠寸断。

・"被"と"使"
受身文が多いこと。受身の"被"は5章だけで59個あります。使役の"使"は16個、"让"は12個、"令"は2個です。"把"は42個。介词は"向"が38個、"对"が10個。"把"は日本人にとっても使いやすいものの、"被"と"使"は使うのが難しい。この二つを使いこなすことが自然な中国語文を作るコツと感じました。

"被"
后来才知马群被体检报告耽误了一天。
人被白毛风呛得憋紫了脸,被雪砂打得睁不开眼,马也被刮得一惊一乍。
几条被裹夹到马群中马肚下的狼,被栅栏一样的马腿前后左右密密圈住,跳不出,逃不掉。

どうも受身を使う目的が中国語、日本語、英語では異なるように思います。英語で受身を使うのは、ある言葉を強調して順序を変えるために使うことが多いと思うのですが、中国語の受身を使う基準は、被害を表す場合に使うという要素が強そうです。日本語ではわざわざ被害の受身と言う言葉で英語との差異を示すことから、強調の受身と被害の受身の両方を使うのかもしれません。

"使"
侧风却使狼群如虎添翼。
大屠杀的血腥使疯狂的狼群异常亢奋残忍,
十几年的放马经验,使他感到狼群就要发起最后的总攻了,
但愿碱土硝灰也呛迷了狼眼,使它们再跟马群瞎跑一段。
暴雪酷寒使泥浆更冷更胶着,

"使"はみな無生物主語とセットで使われています。"使"の主語は原因/理由であり、それが対象に作用して結果を生みます。"使"は因果関係を時系列に沿って表現すると言えるでしょうか。英語も一般に文章の内部を時系列に合わせて、原因を主語して表現することが好まれます。"使"は使役の"make"のような使い方ができそうです。

上記の文章も日本語から書こうとするとつい"因为"で文章を始めてしまいそうです。しかし"因为"を使うと、描写の視点が外でなく内側になってしまいます。客観的な情景の変化を描くときに"使"が活躍すると言えるかも知れません。

被害感を際ただせる受身の"被"、客観的状況描写の使役の"使"、この二つをうまく文章に組み込むと自然な中国語表現ができるかもしれません。

次は乙矢杏さん、Life as a Travel、よろしく~。

p.s.Marie隊長!私の次回の担当は4/19~4/25ですが、4/18がTOPIKですので実際には今回のように週末になります。

・今日の一言
但是,侧风却使狼群如虎添翼。
しかし横風はかえって狼の群れには力を与えた。虎に翼を添えたように。
그러나 옆바람은 오히려 늑대 무리에게 힘을 주었다. 범이 날개를 얻은 격이다.
On the contrary, the side wind made the pack of wolves stronger. Just like adding wings to a tiger.

タグ:狼图腾
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コメント 4

arip

内容はとてもわかりやすいです。構文を数えたり詳しく分析されていると思いました。音声は可哀想でじっくり聞く気になりません。
by arip (2010-03-06 15:20) 

Kay-akira_Hirota

馬の死に方が壮絶でしたよね。
by Kay-akira_Hirota (2010-03-07 23:41) 

Marie

次回の担当章ですが、新しい参加者さんが入られたので、aripさんとの交代分が18章、5/31になりますが、大丈夫でしょうか…?
問題があるようでしたらお知らせください!
by Marie (2010-03-30 00:32) 

Kay-akira_Hirota

了解しました!
by Kay-akira_Hirota (2010-03-30 06:17) 

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