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自閉症の現象学 [本(脳科学]

『自閉症の現象学/村上靖彦/勁草書房/2008』
著者:レヴィナスを中心とした現象学、フランス哲学
評価:自閉症児の内面を探る・野心作


著者経歴を見て、
32歳と38歳の時にフランス語で単著を出してるのを見て仰天……
日本人が30代で外国語で専門書を単行するって考えられん。

自閉症児の特徴。
・呼びかけられても気づかない
・会話ができないのに漢字を書く
・くすぐられてパニック
・転んでも痛がらない
・人物を描いても目が描かれない
注意に特徴があることがすぐわかる。

欧米自閉症児の人称代名詞の混乱。
Iとyouの入れ替えた会話をしてしまうこと。
これは基本的にはワーキングメモリの小ささに起因していると思う。
私は中国語の文を読むと、
しばしば我(I)你(you)を入れ替えてしまうんだけど、
関係あるかも……

放浪画家山下清は放浪していなかった。
線路と行く先を理解して線路づたいに歩いていた。
当てもなく放浪したのではないのである。

自閉症者が好むハグ・マシーン。
人に抱かれるのは嫌なのになぜか。
それは自分でコントロールできるから。
コントロール感が必要なのである。

自閉症児もミラーニューロンが働く。
ただしアニメのキャラクターなど自分の興味のある対象のみ。

自閉症者の言語感覚。
一回目は音がする。2回目は声がする。
三回目で何を言っているかわかる。
これは外国語学習と比較すると面白い。
実は私も韓国語で会話しているときこれと同じ似た経験をするのだ。
ところが英語や中国語ではそうはならない。
そして私の英語、中国語、韓国語の水準には大差はないのである。

自閉症者の思考の個人差。
絵で考えるグランディンと、
運動パターンと用途の身体運動で考えるウィリアムズ。
自閉症児はイメージ連鎖思考であり、
定型発達は語を作動させ、芸術家は絵画や音楽で考える。

語の意味は本質的に身体運動感覚なので、
ウィリアムズは実は定型発達に近いのだと思う。
実際、グランディンとウィリアムズの伝記を読み比べると、
グランディンの方が定型発達との差異が大きく感じる。

言語能力とリズム感。
リズムへの慣れが理解力を左右する。
自閉症者は棒読みになりやすい。
リズムが言語の再帰構造の形成を助けるのだろう。

・今日の一言
リズム感が良いと言語の理解力も高い。
리듬감이 좋으면 언어의 이해력도 높다.
节奏感好的话,对语言的理解力也会高。
The person who has a good sense of rhythm also has a good power of understanding of the language.

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