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日本人の脳に主語はいらない(講談社選書メチエ) [本(脳科学]

『日本人の脳に主語はいらない』
月本洋(人工知能、データマイニング)
講談社選書メチエ(2008)


p140まで名著、p141からと本。

仮想的に身体を動かすことでイメージを作り言葉を理解する。
身体が世界の意味を作り出すのであり、
言葉の意味は仮想的身体運動とする。
これは全く正しく、
かつこれに重大な意味があることはあまり知られていない。

言葉を内的に聴くと、聴覚野の活動が抑制される。
脳内で音を聴いているのだが、それは50%の抑圧されるらしい。
いわゆる音痴と呼ばれる人は、自分の実際の声でなく、
脳内の理想音が強い人たちであろう。

英語についての考え。
日本語が主語を省略するのではなく、
英語が人称代名詞を必要としている。

これは全く正しい。
英語こそ助詞の"が"と"を"省略する言語なのである。
英語のような特殊な言語を基準に考えるから混乱するのだ。
日本語は書字体系こそ複雑だが、音声言語として平凡であり、
また私たちは日本人であるから、日本語から考えるのが正しいのだ。

この本は後半になると、とんでなく暴走していく。

・英語の人称代名詞は機能語に近い存在だ
近いも何も、機能語そのもののはずだが。

・昔の英語ではthereは主語ではなかった
今でも主語ではないはずだが

・イギリス人は母音を右脳で聞く
角田氏の実験は、母音単音を英語ネイティヴが聴くと、
言語でなくただの音として認識するということ。
母音単音に意味がないからだ。
日本語は母音単音の単語があるが英語には少ないのである。
だから通常の文章で聴くときは、日本人と同じ左脳を使う。
ただ実験の場で単音で聴かせたときだけ右脳が反応するに過ぎない。

・韓国語と中国語で主語の必要性が高いのは子音が多いから
間違い。文末の助詞の違いのため。
日本語は文末の助詞で主語が特定できるのだが、
韓国語や中国語にはそうした助詞がないのである。
特に、普通の肯定文と命令文に差がないのが大きい。

たとえば、
中国語の"去"は"行け"にも"行く"にもなるし、
韓国語の"가"も"行け"にも"行く"にもなるのだ。
だから、我,你,나,너,といった人称代名詞が必要になるのである。

主語や人称代名詞の省略とは、
語尾に隠れ主語が不在であるということなのだ。

従って、
・母音の比重の大きい言語では主語や人称代名詞がよく省略される
というのは、偶然の一致に過ぎないし、

・主語や人称代名詞の有無が舌の動きによって決まる
というのは間違いである。

・今日の一言
単語の意味は体の動きが基準に作られている。
The meaning of a word is based on body movement.
단어의 의미는 몸의 움직임을 기준으로 만들어진다.
单词的意思是以身体的运动为基准做成的。

タグ:月本洋
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