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真理の哲学(ちくま新書) [本(哲学思想]

『真理の哲学/貫成人/ちくま新書/2008』
著者:現象学、現代哲学、歴史理論、舞踊研究
評価:20世紀哲学を超越論的パースペクティヴィズムから見直す

超越論的パースペクティヴィズムとは、
真理や価値が形成される構造やメカニズムについての分析。

ニーチェのキリスト教への考え。
弱者が心理的優位に立つためのものが道徳的価値。

力への意志とは、
さまざまな実体も真理も諸力の拮抗と均衡において生成するということ。

フッサールの存在論。
そのつど存在するとは知覚されることである。

『人間の条件/ハンナ・アレント/ちくま学芸文庫/1994』
著者:ドイツ生まれのユダヤ人の政治思想家
評価:労働が優位の現代に仕事と活動を復権を

人間の条件は3つ。労働、仕事、活動。
・労働とは生物として維持行為
・仕事とは目的を持った制作行為
・活動とは人間関係の中で自己を示す
そしてこの3要素が歴史の中で、
どのようなヒエラルキーを形成してきたか分析する。

思うにこの3つが相互排他的でなくわかりにくい。
適切な分析かも疑問を感じる。

『リバタリアン宣言/蔵研也/朝日新書/2007』
著者:経済学者
評価:確信犯的「と」本。意図的に書いているようだ。

この思想の誤りは次の3つに起因する。
・偶然への無理解
・時間の有限性への無自覚
・自律した個人という幻想

アメリカで人気のある個人主義の作家アイン・ランド。
20世紀の小説のベスト1位、2位、7位、8位にランキングされたという。
Rushの歌詞の元になったので気になっていた。
読んでみようかな。

テレビ業界は既得権益で儲かる仕事。
フジテレビ職員平均39.8歳で年収1567万、
TBSは43.5歳で1443万である。

年金制度のトリック。年金は弱い者を助けない。
低所得者層は就業が早く掛け金が高くなる。
収入が安定している高学歴者に有利。
低所得者は早く死ぬのであまり受け取れない。
年金は公務員が有利にできているのである。
……納得しました。

日本の薬は高い。
アメリカでは、500mgアセトアミノフェン入りのタイラノールが
500個入りで1500円と安いらしい。
日本の製薬会社と厚生省の癒着は問題だな。

以下、明らかに変だと思う点。

保険に入らずのたれ死ぬのも本人の自由だという。
周囲に迷惑。犯罪も増える。
怪我や病気は予測できない偶然が多いことを考慮していない。
人間は周囲に迷惑を掛けずに死ぬことなどできない。

民間で医師免許を発行するべきという。
能力が無くても発行されるようになるだろう。
素人には判定できないからだ。
情報の非対称性の問題だ。

格付け機関は競争があるから信用できるという。
そもそも格付け機関は信用できない。
サブプライム問題がそれを証明している。

教育はNPOにせよ。金のない学生には融資でよいという。
アメリカの大学生はみんな借金まみれ。
学生が借金だらけとはおかしな話だ。

耐震基準もいらない。危険な建物も自分の選択だという。
建物の危険は周囲にも及ぶ。
専門知識は個人では確保できない。
これも情報の非対称性の問題だ。

社会福祉は個人のボランティアでよい。
ビル・ゲイツの寄付など見よという。
効率が悪い。
ビル・ゲイツの寄付は巨額だが、
アメリカの国家予算から見れば少額である。

研究者やスポーツ選手は利己的な目的で達成したという。
違う。周囲の支えによるものだ。
個人でできることではない。
もちろん、成功してから自分の力で自分のためにしただけだと、
昔のことを忘れてしまう人たちはいるが。

年収300万でも生活できるから十分という。
でもそういう人の子孫は絶えてしまう。
さらにそういう人は意外に忙しい。
ワーキングプアがたくさんいるのだ。

福祉による再分配は、努力や才能により得たものを取り上げること。
これを正当化できるのかという。
偶然という要素が抜けている。
また努力や才能だけで成功する人はほとんどおらず幸運で成功するからだ。

才能があっても場が得られなければ成功しない。
場が得られるかどうかは偶然の問題である。
そして成功した人間はお金により、場を作ることができる。
お金を得た人間はそのお金によりさらに成功することができる。
だから再分配しなければ、隠れた才能はそのまま埋もれてしまい、
社会全体として、たくさんの才能が無駄に失われてしまうだろう。

世界がどれだけ偶然に満ちているか理解できていない。
時間の有限性というのも理解できていない。
さらに自律した個人などという幻想にも囚われている。

また個人の自由を主張するなら、相続税100%を主張しなければならない。
親子といえど他人だからだ。
生まれてくる子どもたちをすべて平等にし、
育つ環境も平等しなければならない。
少なくとも成人するまでの環境と、
持って生まれた遺伝子を同じにする必要があるだろう。
それができてこそ、再分配を否定できるのだ。
しかし、世界の環境は平等にはできないし、
個人の遺伝子などの条件も平等にはできない。
だから政府が再分配しなけれぱならないのである。

・今日の一言
弱者が心理的優位に立つための幻想が道徳的価値である。(ニーチェ)
The illusion for the weak to gain psychological dominance is the moral values.(Nietzsche)
약자가 심리적 우위를 차지하기 위한 망상이 도덕적 가치이다.(니체)
为了弱者在心理上占优势的幻想是道德价值。(尼采)

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