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13歳の冬、誰にも言えなかったこと-ある学習障害の少女の手記 [本(脳科学]

『13歳の冬、誰にも言えなかったこと/サマンサ・アビール/春秋社/2006』
著者:計算障害者の作家、詩人
評価:時間と数字と音楽と運動と外国語の不思議な関係を知る

著者は言語能力が上位7%の高い成績で、
社会科や国語も好成績で、人間関係も行動も良好である。

ところが、数学は下位5%という低い成績。
計算障害なのである。
数字の大きさというものが比較できない。
そのため買い物でも、お金がいくら必要なのか全くわからない。
時計を見ても時間の長さが理解できないのである。

この謎は他にも現れた障害が解いてくれる。
方向感や距離感がないことや、
言語能力もスペルや文法の間違いは多いこと、
母国語の英語は凄いが、外国語は全く駄目だということ、
商品の値段を比べられず、小銭は数えられないので紙幣を出す。
テーブル・セッティングや客室の掃除ができないこと、
運動競技やダンスはできず、楽譜は読めないこと。

面白いのは、一度弾いたピアノの同じ曲を2度弾くことができないこと。
さっき弾いた曲を覚えていないのである。

またパニック障害で腹痛や、恐怖や不安の発作に襲われることもある。
パニック障害は、大脳基底核に原因がある可能性が高い。

これはどういうことかというと、
運動を顕在記憶として覚えることができないわけだ。
運動性の記憶と顕在記憶を結びつけることができないのだ。
彼女は運転免許は持っているから、
小脳や大脳基底核を使う手続き記憶には問題がないはずだ。
ただ手続き記憶と連携してエピソード記憶を構成できないのだ。
大脳基底核と頭頂葉との連結に問題があるのかもしれない。

それがなぜ数字の大小の比較に影響するのか?
量の感覚は大脳基底核で構成されているからだろう。
ある対象を二つ思い浮かべても、
それがおそらく数直線を脳に形成できなくし、大小も比較できなくする。
発達性の計算障害で、
数感覚が記憶できないために計算能力が発達しないのだ。

誤植かな。
p4のPneumonia(肺結核)とあるけど肺炎だよね。

面白いと思うのは、計算障害で外国語もできないこと。
国語と外国語とが全く違うものであることを示している。
外国語は国語より数学に近いのだ。
そういえば理系の研究者って英語がうまい人が多いよね。

・今日の一言
数学は外国語の一種である。
Mathematics is a kind of foreign language.
수학은 외국어의 일종이다.
数学是一种外语。

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