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ルポ貧困大国アメリカ(岩波新書) [本(世界事情]

『ルポ貧困大国アメリカ/堤未果/岩波新書/2008』
著者:ジャーナリスト
評価:多国籍企業に支配されたアメリカの実態を知る

アメリカの教育の実態。
公立小学校の給食はジャンク・フードざんまい。
マクドナルドみたいなのが給食なのだ。
なかには、二ヶ月たってもカビの生えない食パンなど不気味なものも。
2004年ルイジアナ州では、フードスタンプ受給率63.8%。
食料配給を受けている人たちばかりである。
もちろんこの配給もジャンクフードである。
そのため貧困地域は肥満児と肥満成人ばかりである。

ハリケーン・カトリーナは人災だった。
業務を外部に委託したEEMA。
そのため災害対策が機能しなかったのだ。

アメリカの医療の異常な高騰。
ニューヨークで盲腸手術して一日入院すると242万円である。
医師も儲けているとは言えない。
アメリカの産科医の収入の半分は、
損害賠償保険の掛け金に消えることもある。
過酷な医療環境のため、
一年間の医療過誤死亡者数は4.4万人~9.8万人という。
医療システムの利潤は、保険会社と製薬会社に吸い上げられているのだ。
日本もこの方向に進みつつのが不気味である。

兵士を増やすためのアメリカの秘策。
落ちこぼれゼロ法では、
生徒の個人情報を軍へ提出しないと助成金カットされるという。
2004年の公立大学卒業生の62%は学資ローンを抱えている。
貧乏人をお金で兵士にするのである。

アメリカのメディアは既に大企業に制圧されている。
タイムズ紙はルパート・マードックに買収された。
そのためイラク戦争支持の社説を書くように指示されていた。
アメリカの三大テレビネットワークは、NBC、CBS、ABC。
NBCはGEに買収され
CBSは投機会社に買収され、
ABCはディズニーに買収されているのだ。
日本のメディアの独立性は大丈夫なのだろうか?

私は、産業はその効果で分類して経済を考えるべきと思う。
価値を生み出す生産産業と、
生産を安定させる調整産業、
生産を守る防衛産業である。
調整産業と防衛産業は、それ自体は何も生み出さない。
生産産業で生み出されたものを分配しているだけなのだ。
アメリカは、非生産産業に食い潰されているのだ。
軍隊、弁護士、保険業、金融、これらは何の価値も生産しない産業だ。
これらはすべて営利団体が担当すべきではないと思う。
軍隊、弁護士、保険業、金融が発達した国は、
いつか必ず衰亡へと向かうだろう。

『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命/堤未果/海鳴社/2006』
著者:著作家、ジャーナリスト
評価:アメリカで行動する運動家たち・ちっとも希望を感じないけど?

この程度なら報道からでも十分わかるし、
とても希望があるといえるほどのレベルではないと思う。
私は正直、想像したよりずっと、動きも力も弱いことに落胆させられた。

アメリカの矛盾
アメリカは世界の冨の1/4を持つのに、3100万人が飢える国
アメリカでは大学卒業時に平均で借金が4000ドル以上あるという
乳児死亡率はキューバより悪い

アメリカの自己破産の理由は医療費と離婚費用
毎年200万人に影響してしまう
4500万人に医療保険がないし、民間の保険は高て入れない

ヒラリーの国民健康保険政策は製薬会社の圧力で潰されるという。
この国は既に企業に支配されているのである。
アメリカという国家は、多国籍企業の販売促進共同体でしかないのだ。

ブッシュ当選の選挙
スピード違反切符ですら投票権を失った。
この国のマイノリティーは投票権すら奪われているのだ。

アメリカ人はほとんどが無知である。

アメリカという国は戦国末に中国を統一した秦と類似点がある。
競争至上主義であり、民衆に対する愚民主義である。
情報統制することで体制自体のおかしさを決して問わせないのだ。

秦は天下を統一し、そして崩壊した。
おそらくアメリカも猛威を振るった後に崩壊せざるを得ないのだが、
問題はそれがいつになるのかである。
そして、ポスト・アメリカの受け皿を誰が用意するのかである。

『日本のニート・世界のフリーター/白川一郎/中公新書ラクレ/2005』
著者:経済学者
評価:マクロ経済がわかっていない・データは面白い

イギリスでは700万人が読み書きができないという。
ブレア改革はまだまだ大変なわけだ。

イタリアは女性の社会進出が遅れている。
イタリア女性の労働参加率は50.6%、OECD平均は60.1%である。
イタリアやスペインは住宅費が高い。若者は親と暮らすのだ。
イタリア男性25-29歳の6割が親と同居、30-34歳も25%である。

アメリカの意外な若年雇用対策。
16歳以下の女性の妊娠率の引き下げ。これが効果があるのである。

フルタイムとパートとの賃金格差
日50.3英73.9オランダ62.3オーストリア81.4ドイツ83.2・スペイン52.4
同じ仕事が違う値段というのは、不公平であり問題であろう。

労働分配率
日本は53.9%、フランス41.6%、OECD平均は49.6%。
日本の労働分配率はまだまだ高いという。

労働分配率とは、
会社全体で生み出した付加価値のうち
人件費として従業員にどれだけ支払われているか
である。

だから労働分配率の高い会社は、労働分配率の低い会社より不利である。
しかし、社会全体として労働分配率が高いことは別に問題ではない。
賃金として受け取らなかった分は、生産物や価値となり、
消費者という別の立場で受け取ることになるからである。
この著者はマクロ経済というものがわかっていないようだ。

国家間の競争においても労働分配率は問題にならない。
なぜなら国家というものは企業ではなく、
生産者と消費者の両方を管理する存在であるからだ。

スペインで非正規雇用の解雇条件を厳しくしたところ
雇用全体が減少したという。

著者は、日本の最低賃金を下げた方がいいと思っているようだ。
しかし、この本にある05年の最低賃金
日本655円、アメリカ566円、英国921円、フランス1027円
でもわかるように別に日本の最低賃金が高いという事実はない。

そもそも最低賃金以下の仕事は存在する必要がないと思う。
生活できないレベルの仕事があるのは、構造問題であろう。
無くなるべき仕事を搾取対象として残しているのか、
不要な規制のために賃金が上げられないのかである。

その仕事に需要があれば生活レベル以下の賃金にはならない。
生活レベル以下の賃金では刑務所の懲役と変わるまい。

『サブプライム問題とは何か/春山昇華/宝島新書/2007』
著者:株式運用、投資
評価:サブプライム問題を簡潔に知る。

サブプライムローンとは低所得者向け住宅ローン。
こうした住宅バブルを拡大させたのは証券化という金融技術である。

日本にも類似の危険があるらしい。
おまとめローンが日本版サブプライム問題を起こす可能性があるそうだ。

日本人とアメリカ人の気質の違い。
日本では貯金がどれだけたくさんあるかで人を評価するが、
アメリカではお金をどれだけたくさん借りられるかで評価する。
可能性を見るアメリカ人らしい危なっかしさだ。

・今日の一言
アメリカの学校給食はジャンクフードである。
The school meals in the United States are junk food.
미국의 학교 급식은 정크 푸드다.
美国的学校食堂的饭菜是垃圾食品。

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