SSブログ

1940年体制 新版-さらば戦時経済 [本(日本の問題]

『1940年体制 新版/野口悠紀雄/東洋経済新報社/2002』
著者:公共経済学
評価:日本経済の特徴は戦時中に生まれた。有名な名著。

官僚制度と金融制度の戦中からの連続性を指摘する。
1940年頃に導入された政治経済体制こそが、
日本型経済システムと呼ばれているのだ。

自動車産業は戦時体制の中で発展したし、
大新聞は戦時期に統合により成立したもの。
労働組合の起源すら産業報国会に求めることができるという。

1930年代までの日本の企業や金融構造はアングロサクソン・タイプ。
株式による直接金融の比重が高かったのだ。
それが戦時期に間接金融中心となり株主中心から従業員中心へとなる。
1940年に世界初の源泉徴収制度も始まった。

思うに、株主中心から従業員中心になったのは、
良い変化であるとに思う。

1941年、都市の持ち家は76万戸なのに対して、借家は260万戸。
41年に借地法・借家法が改正。
地主家主に正当な理由がある場合を除くと、
借地借家人が契約が延長できるようになった。
賃貸人が自分で使用する場合は正当な理由だったが今はそうではないのだ。
一度、人に貸すと契約期間以降もその人は住み続けることができるのだ。
これでは家に余裕があっても人に気軽に貸すことができず、
土地の有効利用もできない。日本の問題点であると思う。

日本企業の特徴。会社の経営陣は内部出身者である。
これも良い変化であると思う。
アメリカでも優れた経営者は内部出身者なのだ。
『ビジョナリー・カンパニー2/ジェームズ・C・コリンズ/日経BP社/2001』

年功序列賃金はネズミ講と同じ原理を持つ。
最初に入った人が有利だから。
しかし安定性もあり、利点もあるので得失は難しい。

高度成長期の政府の役割は、
社会的摩擦を最小限にするための後向きの調整だった。
政府は弱い産業のソフトランディングのために機能したのである。

社民主義は固定資産税と相続税の強化が主張されるべきとする。
固定資産税と相続税の強化を主張する政治勢力が少なすぎると思う。

著者はただ日本の構造を指摘したいのではない。
40年体制は日本の歴史的特性ではないから変えることが可能という。
まだ日本はステップアップできることを指摘しているのである。

・今日の一言
日本はいまだ戦時体制のままである。
Japan is still placed on a war footing.
일본은 아직 전시 체제인 채로 있다.
日本是仍旧在战时体制下的。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。