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抗癌剤-知らずに亡くなる年間30万人(祥伝社新書) [本(医療問題]

『抗癌剤』
平岩正樹(外科医、癌治療)
祥伝社新書(2005)


癌は不治の病ではない。癌との戦い最前線レポート。

癌とは何か?
癌は200種ある。癌は一つの病気ではないのだ。
種類により性質も治療法も異なるのである。
癌と肉腫を合わせてガンと呼ぶ。
ガンはたくさんの病気の総称なのである。

癌は治療方針の多様さ。
甲状腺未分化癌は治療できないので放置する。
潜在的前立腺癌は治療する必要がないので放置する。

日本の医療技術は非常に高い。
日本の手術は世界一安全だ。
2000例以上も生体肝移植して手術死が2003年5月に初の死亡例が出た。
報道を見ると多く見えるが、世界水準で見れば高レベルなのだ。
比較対照を取らないメディア・イリュージョンの恐ろしさを感じる。

今や半数の癌は治癒する。
しかし、早期癌は告知され進行癌は告知されない。
治療のため、進行癌にこそ告知が必要である。
癌は告知されなければならない。

薬の適量は個人差で10倍の開きがある。
薬量の匙加減の意義を立証した北欧の研究。
匙加減で副作用を抑えるのだ。

生物の特性を生かしたクロノテラピー・時間治療。
細胞分裂のDNA合成は深夜は半分以下である。
夜間だけの抗癌剤投与で副作用が激減した例を挙げる。

大病院へ行くときの紹介状は今はなくなっている。
そのかわりが診療情報提供書。

医師は薬で儲けたりしていない。
1980年代から薬価差益はなくなっているのだ。

アメリカでは薬代の倍ぐらいが技術料として病院収入になる。
ところが日本では技術料が無料である。

肺癌新薬イレッサは、一錠9000円で発売された。
著者は患者の足下を見る製薬会社を糾弾する。
薬の金額は需要と供給から計算されてはならない。
原価から計算されるべき。
そういう意味でも、医療は自由競争経済に適さないと思う。

どんな癌にも効く薬はない。
あればインチキ。
癌はそれぞれが別の病気だからだ。

◯◯のおかげで一年も生きられたという奇跡の薬。
医者は常に余命を短く予言する。
余命より早く死ぬと遺族に訴えられるからだ。
◯◯のおかげで長く生きられたのは、
ただ最初の予言が短すぎただけである。

混合診療の是非。
これは新薬承認の遅さの問題という。
日本人発明の抗癌剤である、
イリノテカン、カペシタビン、オキサリプラチンなども、
日本ではなかなか使えないのだ。
だからといって混合医療が良いとは思われない。

著者は逆混合診療を推薦している。
高額医療を保険対象とし少額医療は自己負担にするのである。
これはシンガポール方式かもしれない。

『患者漂流』
中野次郎(循環器内科)
祥伝社新書(2007)


医療危機を警告する。アメリカ医療の知識が古い。

2004年の新生児111万人、そのうち早期死亡は1184人。
出産は必ず成功するというものではないのである。

ジェネリック医薬品を扱う、沢井製薬、東和薬品、ニプローマ。
相談に乗ってくれるらしい。

アメリカでは医師は子どもを医学部に入れさせないらしい。
医師が厳しい仕事だからだ。
日本もそうなりつつあるように思う。

アメリカでは病院経営者は医師ではないが、
収益主義にならなかったという。
これは情報が古くないだろうか。
保険などのため、まさに収益主義になっていると聞く。

日本はこのままだと勝ち組は高度な医療を受け、
負け組は病院に入院もできなくなるという。
それはまさにアメリカのことである。

著者は1925年生まれ。
アメリカの情報は古すぎるのではないだろうか?

『リピーター医師』
貞友義典(弁護士、医療事件)
光文社新書(2005)


医療事故の常習医師の恐怖を知る。

1973-1995年の間に、100万以上の損害賠償請求された医療事故を、
2回以上起こした医師数は511人。
そのうち2回が391人、3回が82人、4回が22人、5回が16人も
いるという。

医師が医賠責保険を使うには、
全てを保険会社に任せなければならない。
そのため個人で非を認めることなどできないのだという。
しかも、医療事故を繰り返し賠償金を払っても保険料の増額もない。

このあたり明確に法制度に問題があるようだ。

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