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法然(講談社学術文庫) [本(人物伝記]

『法然/大橋俊雄/講談社学術文庫/1998』
著者:仏教史学、歴史学
評価:浄土思想を知る良書

成仏、悟りを開くことは難しいが、
極楽浄土への往生はたやすい。
苦悩にあえぐ罪悪の凡夫に手を差しのべ導くのは阿弥陀仏しかない。
仏の願力により煩悩にさいなまれている人でも往生できる。
浄土門しか迷いの世界を離れる方法はなく、
これは一般民衆に開かれた門戸であるという。

武士や女性たちの罪悪感の克服の願い。
母への思いやりが女人往生を生み、
武士たる父への思いが悪人往生を生んだ。
ものの命を殺すものは地獄におちるのにどうすればよいか。
武士、猟師、遊女などに法然に帰依する人が多かったらしい。
武士道徳にもかない庶民性を持つのである。

これは、罪悪感からいかに解放されるかと言い換えられる。
心理学的に言えば、
カウンセリングと鬱病治療という意味があることがわかる。
鈴木大拙は、『日本的霊性/鈴木大拙/岩波文庫/1972』で、
日本の思想的特性を鎌倉仏教に求めている。
また、日本は世界的に見て自殺率が高いことが知られている。

六時礼賛という詩で、
阿弥陀仏の徳を美しい声で節を付けて称える美男子安楽房遵西。
エクスタシーを感じる人も多く、
女性に人気があったそうな。

法然の還俗した名前は藤井元彦。
これって、今の人の名前でいるんじゃないかな?

阿弥陀仏の四十八願中の第十八願
"心から念仏する者たちすべてが往生できるまで仏にはならない"
この言葉に従い念仏するのである。

仏教徒の四大聖地。
釈尊生誕の地ルンビニー
成道の地ブッダガヤー
初転法輪の地サルナートまたは転法輪の地ラジギール
入滅の地クシナガラ
今は観光地なのかな?

『日蓮入門/末木文美士/ちくま新書/2000』
著者:仏教学、日本思想史
評価:研究書

田中智学の日蓮主義。
日蓮を大元帥とし大日本帝国の力で法華経による世界統一を目指す。
何か怖いぞ。

日蓮の願い。日本第一の智者となし給え。
他の時代の宗教者とは少し違う感じだ。

教相判釈とは、経典の相対的な位置づけ作業。
その基準は五時八教。
経典を説いた順序の五段階。
華厳時⇒鹿苑/阿含時⇒方等時⇒般若時⇒法華涅槃時。

日蓮の考え。
邪を捨てて正しい教えに帰依すれば災害がなくなり国家も安定する。
邪法とは浄土宗のこと。

南無妙法蓮華経というのは唱題。
南無阿弥陀仏というのは称名念仏。

日蓮の自信の言葉。
"蒙古が攻めてきてたすけ給え日蓮御坊と叫ぶことでしょう"
全然、宗教者っぽくないなあ……

『世界の法思想入門/千葉正士/講談社学術文庫/2007』
著者:法哲学
評価:法の基礎に宗教あり

法の三ダイコトミー
法の公式性:公式法か非公式法か。
形態上の区別:法規則と法前提。
文化性:固有法と移植法。
こうして法を分析するわけ。

教皇グレゴリウス七世の教皇革命と1075年の教皇教書。
教会国家体制とその法体系が西欧法伝統の基礎になったらしい。

西欧法思想の特徴は、法と宗教の分離。
ただし法文化としては不可分のまま。
ユダヤ、イスラム、ヒンドゥー、仏教などは分業体制を拒否。
中国と日本は原則がない。

法と時間の関係
ヒンドゥー、仏教では、
ダルマの観念による宇宙永劫の時間における人間の輪廻。
中国法思想では、
天の運行を宇宙の法則として人はその命を受ける存在である。
しかし、近代西欧法思想では、時間と儀礼的行為の軽視が特徴。

・今日の一言
心から念仏する者たちすべてが往生できるまで私は仏にならない。(阿弥陀仏)
If people sincerely prays to Amida Budda but they can not go to Pure Land, I will not be Buddha.(Amitabha Buddha)
진심으로 염불하는 사람들이 모두 왕생할 수 있을 때까지 나는 부처가 안된다.(아미타불)
假使所有由衷念佛的人们还不往生,我就不成佛。(阿弥陀佛)

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