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誰が日本の医療を殺すのか-「医療崩壊」の知られざる真実(新書y) [本(医療問題]

『誰が日本の医療を殺すのか』
本田宏(外科医、医療制度研究会代表)
新書y(2007)


資料豊富かつ面白くテンポよく読める良書。

日本を土建国家から福祉国家へ転換せよ!

役人や大臣は電話一本で、
病院のベッドを家族のため空けさせることができるらしい。
恐ろしく不平等だ。というより、何か犯罪にならないのだろうか?

日本の医師は少ない。
医師総数は25.7万。
これを10万人あたり医師数とすると、
日本198人、フランス337人、ロシア425人、イギリス230人
ドイツ337人、スペイン330人、イタリア420人である。
日本の医師不足は明白である。

この医師数は国家統制があり、医学部定員は国が決めている。
すなわち、国が意図的に医師を少なくしているのである。

その契機になったのが、1983年の吉村仁の医療費亡国論。
これが日本を誤った方針へと導いたのである。

労働基準法無視の勤務医の労働。
過労死した研修医は時給で150円、月に400時間労働だった。

逆にお金が高いケース。
尾鷲市は産科医を給与年5520万で募集した。
ところが一年で辞職。
その仕事は、休日は年末2日のみで、
分娩室の隣に住み込み24時間生活するという。
これはほとんど奴隷労働ではあるまいか。
いくら高額でも非常識である。

こんな医師が逃げるような現場は安全ではない。
医療事故が増えるのは当然である。
まず何より医師を増やすこと。これが結論である。

病院は儲からない。病院の7割は赤字らしい。
ところがである。
日本の実質患者負担割合は、アメリカを除くG7で最高の11.1%だ。
その他の国の平均は3.3%なのだ。
日本では患者はたくさんお金を払わねばならない。

患者がたくさんお金を払い、病院も儲かっていない。
これはなぜか?
それが、製薬メーカーへの援助金と医療機器にはアメリカへの心付け。
医療費の半分は、
製薬メーカーや機器リース業などにピンハネされているのだ。

混合診療の危険。
混合診療するとお金になる患者とならない患者が生じ、
医療倫理が崩壊するという。
これも同感である。

民間保険会社は医療費削減にならず押し上げるという。
アメリカの株式会社病院では、
高くて質の悪い医療が横行しているのだ。
私も民間保険会社には断固No!と言いたい。
アメリカの医療保険事情を考えれば、言うまでもないことだ。

病院はダムと違い継続的な公共事業だという。
雇用効果高いのだ。
福祉と医療は日本経済の活性化に効果的なのである。

日本は世界最大の土建国家である。
公共事業予算は、サミット6ヵ国合計より多いのだ。

それに対して国家負担の医療費は10兆。これは公共事業の1/5である。
パチンコ産業の売上は31兆。これが日本全体の医療費と同じらしい。

国家予算に占める公共事業費の割合。
アメリカ1.9%、フランス2.8%、ドイツ2.0%、
日本6.0%。

国家予算に占める医療と社会保障費の割合。
イギリス12.4%、アメリカ4.8%、フランス6.1%、ドイツ7.4%、
日本3.4%。

日本は国土を掘り返すばかりで、人間はどうでもいいらしい。

より詳しくはこちらで。
勤務医の主張 NATROMの日記

・今日の一言
日本を土建国家から福祉国家へ転換する。
Turn Japan into a welfare state from a construction state.
일본을 토건 국가에서 복지 국가로 전환한다.
把日本变土木建筑国家为福利国家。

タグ:本田宏
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コメント 2

きっと福祉国家へ転換するでしょうね。
by (2007-11-04 07:43) 

Kay-akira_Hirota

そうだといいですね。
by Kay-akira_Hirota (2007-11-05 01:04) 

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