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天人女房 ほか5話(日本・中国・韓国の昔話集Ⅰ) [本(言語学]

『天人女房 ほか5話/日中韓子ども童話交流事業実行委員会/国立オリンピック記念青少年総合センター/2004』
著者:日中韓子ども童話交流事業実行委員会
評価:絵も味わいがあり、すべての昔話が三ヵ国語表記、良書。

天人女房
牽牛星と織女星
仙女と木こり

天道さん、かねのくさり
熊ばあさん
お日様とお月様になったきょうだい

の6話

すごくいい本ですが、非売品です。何たること!
販売して欲しい。こんないい本もったいない。
ただ、この本は日本全国のほとんどの図書館に所蔵されています。
みなさんも一度どうぞ。
三国の絵がそれぞれ違った味わいがありますよ。
6つの昔話がそれぞれ日本語、中国語、韓国語で記載されています。

最初の三話は、羽衣伝説をベースした日中韓の昔話です。
天女が羽衣を男に隠され、天に帰ることができず夫婦になり、
子どもが出来るも、羽衣を見つけて天に帰り、
男もまた追いかけるという話。

これが日中韓でストーリーに変化がついてとても面白いです。
というか、先生とともにツッコミを入れて一緒に爆笑してしまいました。

日本の話を基準に比較すると、
韓国の特徴は、天に帰った後、男がさらに地上に戻ってしまうこと。
地上に残したお母さんが恋しくて帰ってしまいます。
マザコンが多いという韓国だけはあります。
母>妻と子なんですね。

日本の話では、
いじわるな天帝=天女の父が出てきて無理難題をふっかけます。
このときの日本の若者の頼りないこと。
「こんなのできないよ」
「あなたが寝てる間に、私が何とかするから」
が何度も繰り返されます。情けなーい。
ちなみに、中国では天帝でなく西王母が出て、二人の邪魔をします。
韓国では、偉いさんは出てきません。

韓国、日本ともに天女は子どもを連れて帰ります。
韓国の場合、子どもが多いと帰れないので、
子どもを四人作れと指示されています。
天女と子どもとの結びつきが示唆されています。

爆笑したのは中国。
牛飼いは羽衣を隠したくせに、天女に一緒に暮らそうと言われても、
気が小さいのか、人間と天女じゃ無理と断ってしまいます。
それじゃ、何のために羽衣を隠したのさ?
そこを天女が押し掛けて夫婦になってしまいます。
日本、韓国と立場が逆じゃん!(笑)

数年後、子どもができてから、天界から呼び出しがあり、
天女は帰ってしまいます。
もともと機織り女なのでまた機織りしないといけないとか。
そういって、空を飛んでいきます。
……あれ? 羽衣は?
羽衣なくても飛べるみたいです。
……ええっ、じゃあ、天女は仕方なく地上に残ったんじゃなくて、
単に仕事サボって地上に居座ってアバンチュールしてただけ?
しかも天女は、
牛飼いに子どもを「よろしくね~」と預けたまま去ってしまいます。
子ども連れてけよ! 子どもたち泣いてるじゃん!
つか、父ちゃんも泣いてる……
牛飼いが子どもを連れて天女を追いかけるシーンは涙を誘います。(笑)

……結論。中国の女は強い。

・今日の二言
私が何とかするから。(天女)
I can handle it.(angel)
제가 어떻게든 해보겠습니다.(선녀)
我来替你想办法。(天女)

日本の若者はニート、韓国の木こりはマザコン、中国の牛飼いは召使いだ。
The Japanese young man is a NEET, the Korean woodcutter is a mother's boy and the Chinese cowherd is a servant.
일본 젊은이는 니트족, 한국 나무꾼은 마더 컴플렉스, 중국 견우는 하인이다.
日本的小伙子是neet族,韩国的樵夫是恋母情结,中国的牛郎是佣人。

그럼 그렇지, "엽기적인 그녀"의 견우도 하인인 것 같았네요.
怪不得《我的野蛮女友》的"憨牛"也象佣人呢。

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コメント 3

すごい興味ある本です。
じつは〇十年前、出版の仕事に携わっていた時期がありましたが、まったくおなじテーマの出版を企画したことがありました。結果として出版まで漕ぎつけられなくて悔しい思いをしたことがありました。
図書館で探してみようと思います。貴重な情報、ありがとうございます。
by (2007-09-24 09:23) 

krause

それぞれの似たような国の異なる特徴があって興味深いです。
by krause (2007-09-24 11:26) 

Kay-akira_Hirota

これ本当にいい本なんです。手に取った人はみんな欲しいと必ずいいます。童話交流で子どもにプレゼントされる絵本なので、特別なのかもしれません。
by Kay-akira_Hirota (2007-09-25 00:12) 

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